ノロイ

「やったか?」

ゲオルグが呟く。


「は~、そういうセリフが出た時はだいたい終わってない時なんですよ。」

キルアが残念そうに呟く。


「なんの話だ?」

ゲオルグが口にするが答える者はいない。


3人が周囲を確認するが変化はない。

斬撃の範囲に生存した敵はいない。

ノロイの残骸が漂うだけだ。


「おそらくですが、ノロイ本体を倒したからと言って、その眷属が全て滅んでくれるような設計は無いでしょう。

倒したかどうかの判定は大型ノロイが増えるかどうかです。

今の斬撃に耐えられるとは思えません。

死んでいる。

範囲外にいた。

海溝などに潜み難を逃れた。

そのどのパターンかを確認する必要があります。」


「また手分けをして探すしかないのか。」

「そうですね。

面倒ですが仕方ありません。

ですが、今の一撃で巨大な空白地帯が出来ました。何処からノロイが増えてくるかを確認すれば発見の糸口になるやもしれません。」

「わかった。私とキリクが斬撃の両端に沿って動く。キルアは中心を頼む。」


3人は一斉に動き出した。


そして、、、

キリクが極大技を放った。

その理由は簡単。

斬撃の範囲内で海溝からノロイが溢れ出て来ている場所があった。

そこに向けてキリクは技を放った。

しかし、大量のノロイが邪魔で、どこまで続くのかわからない。

溢れ出てきたノロイを危なげなく倒していく。

助けは呼ばない。

怪しい場所だが、集まるほどの状況ではないと判断した。


海溝に向けてキリクは攻撃を放ちまくる。

しかし、それは新規に湧いてくるノロイを倒すだけだった。


「なら!」

キリクは剣を抜き放ち、海溝に突貫する。

そこは、まさにノロイの巣。

大型ノロイだらけ。

中型ノロイが止めどなく湧いてくる。


キリクが

斬る。

斬る。

斬る。

斬る。

斬る。


ノロイを斬り裂きながら前に進むと、、、

ようやく海の底が見えた。


・・・いや、違う。

海底ではない。

海底一杯に広がった超大型ノロイであった。

その巨大な体の表面からポコポコと大型ノロイを生み出している。


小型ノロイで大人の胸程度の大きさ。

中型ノロイは大人2人分ぐらいの大きさ。

大型ノロイは木がそのまま動き出したような大きさだ。

その大型ノロイを次々に生み出す本体は、もはや島と見間違える大きさであった。


その巨体を海の底、大きな割れ目に潜ませていた。

キリクが攻めたてる。

飛ぶ斬撃を放ち続ける。

狙う必要は無い。

的は途轍もなく大きいのだ。


反撃は大型ノロイを差し向けること。

本体に直接の攻撃手段は無い。


斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、、、、


幾度目の斬撃の後だろう。

ようやく、ノロイ本体が死んだ。

徐々にその巨体が粒子となり霧散していく。


だが、ノロイ本体を倒してもノロイたちは消えない。

さすがのキリクも、

「まだまだ掃除は続くのか。」

愚痴をこぼすのだった。



一方、ゲオルグはある物を発見した。

「転移陣か。ここからノロイを陸地に飛ばしていたのか。」


ゲオルグは迷うことなく、転移陣を破壊する。

そしてノロイを倒しながら移動を続けると、

「またか。」

再び、転移陣を発見。

もちろん、破壊。


なんとなく法則性を感じたゲオルグは、次の転移陣を目指す。

サーチ&デストロイ。

次々に発見し、破壊していく。



そして、ある程度ノロイの数が減った時点で3人は集まった。

それぞれの持ち寄った情報を整理する。


「なるほど。

海溝に本体は隠れ、大型ノロイを生み出し続けていた。

そしてノロイ本体から離れた場所にぐるりと囲むように転移陣が設置。

これはある程度ノロイが増えて、その転移陣まで達するほどになれば自動で転移させるというシステムでしょうね。

確かに誰かの作為を強く感じますね。

しかも、かなり悪質ですね。

我々がいたから対処できましたが、普通は無理です。カレンたちには荷が重いでしょう。」


「ウィルが警戒していたのは、その何者か、か。」

「でしょうね。勝利はしましたが、嫌な気持ち悪さが残りますね。」

「どうする?

その仕組んだ何者かを探すか?」

「止めておきましょう。我々は我々の役目を果たした、それで十分だと思いますよ。」


こうして3人は帰還した。

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