キルアとゲオルグとキリク
「ウィルはバンパイア使いが荒いな~。」
キルアの気楽な声がする。
「多産型のモンスターか。面白い戦いは期待できないな。」
ゲオルグはつまらなそうにこぼす。
「・・・。」
無言のキリク。
三者三様。
海上に集まった3人。
「キルア、そろそろ始めよう。」
「そうですね。
では作戦を説明します。
今回の作戦の目的はノロイ本体を倒すこと。
方法はシンプル。我々3人が3方向に別れて探索し、発見次第倒す。それだけのことです。誰かが発見して戦闘を開始したら、その気配を頼りに集まってください。
注意点は3つあります。
1つ目。大量のノロイがいる可能性が高いですが、優先順位は本体が最優先です。他は倒せる範囲で倒せばいいとのことでした。
2つ目。ノロイ本体は転移の手段を持っている可能性が高いようです。転移魔法なのか、転移陣なのか、子細は不明です。追い詰めて逃げられるようなヘマのないようにしてください。
3つ目。想定外の第三者の介入する可能性があります。これについては何の情報もありません。ただ危険を感じた場合は命を守ることを最優先して欲しいと言われています。」
「その3つ目はなんだ?」
ゲオルグが疑問を示す。
「残念ながら、これ以上の情報はありません。ですが、、、警戒は必要でしょうね。
何よりウィルさんが非常に嫌そうな顔をしていましたから。」
「わかった。だが、やることは変わらん。さっさと終わらせるぞ。」
「そうしましょう。」
キルアは返事をし、キリクは無言で頷いた。
3人は海に潜り、バラバラに別れた。
泳ぐ、というよりも、海中を飛ぶように移動する3人。
そして、ヒットしたのはキルアであった。
「ふ~、うじゃうじゃいますね。」
大量のノロイが大小混ぜこぜにひしめきあっていた。
キルアは迷わず極大魔法を選択した。
「小技は不要でしょう。
いきますよ!
『常世の闇』」
辺り一面を闇が飲み込む。
そして、ことごとくノロイが死滅していく。
闇が晴れると巨大なノロイ空白地帯が出来上がる。
しかし、ノロイの数はまだまだ多い。
全体から見れば、空白地帯はごく一部だ。
「多過ぎますね。
ですが、、、弱音も言ってられませんか。」
キルアはため息をつきつつも、攻撃の手は緩めない。
駆け抜けながら、闇をばらまく。
海底は視認性が低く、地形が複雑。
本体を探すのは容易ではない。
キルアは探しながら数を減らす、という選択をした。
キルアの極大魔法の余波は広範囲に広がった。
当然、ゲオルグとキリクも感知した。
そして、キルアの方角へ飛び立った。
しばらくすると、3人が集結した。
「多過ぎますね。減らしても減らしても実感がありません。」
「ヤツらの増殖能力と我々の攻撃力、どちらが上回るかの勝負だな。」
「おそらく本体の近くに行けば行くほど、大型の割合が高いはずだ。少しは手がかりになるのではないか?」
「その考え方は悪くないですが、海底の視認性の悪さが邪魔ですね。」
「ならどうする?」
「3人で極大技を放ちましょう。
この3人で力を合わせれば、相当な威力が出せるはずです。
それこそ、アンデッド化など気にする必要の無い、圧倒的な破壊です。」
「わかった。」
「やりましょう。」
3人が力を高める。
3人ともがウィルに次ぐ実力者だ。
その本気が合わされば、歴史上、地上で放たれた攻撃としては最強の威力を持つことになるだろう。
キルアの極大闇魔法。
ゲオルグの闇属性の斬撃。
キリクの無属性の斬撃。
それが合わさる。
闇一文字。
3人から放たれた一文字の斬撃。
それは扇状に広がり、伸びていく。
その巨大過ぎる斬撃は触れる物みな斬り裂いていく。
半径数キロの扇形にいたノロイは、すべて真っ二つに斬り裂かれた。
ノロイだけではない。
そもそもの海が上下に分かたれていた。
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