中間報告

ウィルの屋敷にいつものメンバーが集まった。


現在のノロイの大量発生とアンデッド化の対策の進捗報告の為である。


司会進行はマリベル。

メルとミルの母親である。


「まずは順番に報告をお願いします。」


ミルが最初に話し始めた。

「ウィリアムの街は問題ありません。

多少の人口流入はありましたが、トラブルになるほどじゃありません。」


次はディーン。

「ウィリアムの街及び、ドラクロア伯爵領についてはノロイの被害もない。警備隊と冒険者で手分けして巡回を強化している。

数が増える前に発見、殲滅が出来ている。

ドラクロア伯爵領が安定しているため、オデロ様、エリック様、アルガス様が手分けをして、周辺エリアの援護に回っていらっしゃる。」


タチアナ。

「補足です。大群化してしまったノロイについてはフルブライト卿が撃破。エール王国内はある程度の安定を取り戻しつつあります。」

メルは参戦したが、他人事のように聞いているだけだ。


ヘンケン。

「ロンム王国、フィガロ王国、カンロ王国、ドルマ帝国、被害はありますが、すべて人間が勝利しています。手配した援護が奏効しました。」


リクソン

「中小国家への派兵も問題ありません。各地でノロイたちを殲滅しています。海上でもノロイが確認されています。上陸前の殲滅を行っています。

ただし、全体的に人手不足です。

派兵できていないエリアが多数あります。」


キャナル

「派兵できていないエリアでは、突如上空に人影が現れ、落雷と共にノロイを滅ぼす現象が各地で目撃されています。

女神様の使いではないかとの噂が流れています。」


ディーン

「ウィル様も飛び回ってたんだな。」


ウィル

「けっこう忙しかったんだよ。」


マリベル

「オホン。報告に戻ってください。」


ミレーヌ

「マジックアイテムの生産は順調よ。トーマスに協力してもらって、材料になるドロップアイテムを優先的に確保してもらってるわ。だけど、足りてないのは間違いないし、一部地域では価格の高騰が進んでいるわね。」


キャナル

「ウラドラ商会はある程度流通を維持出来ています。しかし、世界的には物流の停滞が発生しています。ノロイの被害地域などでは食糧難も起きています。食糧供給を優先的に行っていますが我々だけでは限界がございます。」


ウィル

「まぁ、神様じゃないから限界はあるよ。出来る範囲でベストを尽くせばいいよ。」


キャナル

「有難うございます。」


リクソン

「喫緊の対策は整ったかと思います。

しかし、解決の糸口が見えない状態です。

長期化は更なる混乱を呼ぶ可能性がございます。」


ウィル

「その通りだね。

正直に言って、けっこう厄介なんだよね。

でも、ノロイの方はなんとかなる見通しが立ったよ。」


ディーン

「何か分かったのか?」


ウィル

「ノロイの数が一気に減ったことで、ノロイの本体の位置がだいたい目処がついたよ。」


リクソン

「どの辺りですか?」


ウィル

「海底だよ。」

そう言いながら、地図の海のど真ん中を指差した。


「おそらくだけど、海底に本体がいる。安全な場所で大型ノロイを増やしているはずだ。ある程度の数がそろったら地上に転移させているんだと思う。」


「転移だと!?」


「でないと、世界的に同時発生した理由が説明できない。」


「確かに、海底ならバレずに数を増やせますね。グングニルを派遣しますか?」


リクソンの問いかけに対して、

「いや、さすがにグングニルでも厳しいだろうね。海底での戦闘を前提にはしてないからね。」


「ではどうされますか?」

「大丈夫。手は打った。最強の一手だよ。」

「キルア様ですか?」

「良い読みをしてるね。キルアとゲオルグに頼んだんだ。」

「ウィル様が直接動いた方が早いのでは?」

「まだアンデッド化の問題が残っているからね。私はそっちの対応に集中する感じかな。」

「なんとかなりそうですか?」

「まあね。幾つか作戦は考えてるよ。もう少し待ってて。」


「少しいいか。」

ずっと沈黙していたキルクが発言した。


「どうぞ。」

マリベルが促す。


「海底の戦いに俺も参加しよう。足手まといにはならないつもりだ。」

「そりゃ助かるよ。」


ディーン

「ちなみに、どれぐらい強いんだ?」


「カレンが後10年ぐらい修行したら、いい勝負になるんじゃないかな。」

「マジかよ、、、」


「それじゃ、ノロイ本体を倒すとしますか。」


この後、幾つかの確認を行い、会議は終了した。

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