結果発表
「ウィル様、お待たせ致しました。
ようやく結婚相手候補のリストが完成致しました。
後で事務室にお越し頂けますか?」
「おぉ~。ついに出来たんだ。
良かった~。あれだけ動いて、立候補ゼロだったらどうしようか不安だったんだ。」
「まったく逆です。
応募者が非常に多く、身元の調査などで時間がかかってしまったぐらいです。」
「本当に!?
嬉しいな~。
じゃあ後でタチアナの事務室に行くよ。」
「よろしくお願い致します。」
というやり取りが朝にありました。
そして、タチアナの事務室。
コンコン
「ウィリアムだよ。」
「どうぞお入りください。」
ウィルが入ると、
「そちらにお掛けください。」
応接セットにウィルが座る。
タチアナが冷えたジュースと書類の束を持ってやって来た。
「こちらがウィル様との結婚を希望する女性のリストです。
個人情報も一緒に書いておきました。
ご一読ください。」
「ありがとう。」
「それと、このリストの内容は秘密にしてください。誰の名前があったか、なども口外しないようにお気をつけください。」
タチアナから強い圧力がかかる。
「わ、わかったよ。誰にも話さないよ。」
「ありがとうございます。リストを確認して頂き、ウィル様も結婚しても良いと思える女性に丸をつけてください。
人数は気にしなくてもかまいません。
その後、女性の立場や関係性などを考慮し、正室や側室などの序列について、こちらで整理して案をお渡し致します。」
「なるほどね。いつまでにリストに丸をつけたらいいのかな。」
「出来れば10日間ぐらいでお願い致します。あまり女性を待たせると無用のトラブルを招く可能性がありますので。」
「ん?ソニア、どうしたの?」
急にウィルが言ったので、タチアナが驚き、周囲をキョロキョロと見回す。
「打ち合わせ中に失礼致します。」
急にソニアが現れた。
「どうした?」
「国王陛下から緊急通信です。どうも大きな問題が発生しているようです。」
「わかった。すぐに行く。
タチアナ、すまない。
後でゆっくり確認させてもらうよ。」
言葉だけを残して、ウィルの姿は消えていた。
残されたタチアナとソニア。
「大事件でしょうか?」
「国王陛下が慌ててウィル様に頼ってこられたってことは相当な問題だと思うわ。
普通の問題ならオデロ様が解決されるもの。」
「確かにそうですね。」
そして、通信室。
ウィルが通信に入ると、各国の王がそろっていた。
「申し訳ございません。遅くなりました。」
「かまわん。来てくれたことに感謝する。」
「で、どうされましたか?」
「大きな問題が2つ起こっている。」
「2つ。」
「そうだ。
1つは謎のモンスター『ノロイ』の大量発生だ。
1体1体はたいしたことはないが世界中で大量に発生している。増え方が異常だ。」
「そうなんだ。
ちょっと調べてみるよ。
各国の対応はどうなの?」
「まぁ待て。ここに、もう1つの問題がからんでくるんだ。」
「どんな問題なのですか?」
「アンデッド化だ。
死んだ人間やモンスターが全てアンデッドになってしまうんだ。
倒したモンスターはアンデッドになってもう一度襲ってくる。
もし兵士が死ねば、アンデッドになって敵に変わってしまう。」
「そのアンデッド化はどれぐらいの範囲で発生しているのですか?」
「各国で発生している。おそらくドルマ帝国でも、だろう。」
「世界規模でアンデッド化・・・。
ダダダ魔王に出来るとは思えないな。」
「魔王以外の誰かがやっているのか!?」
「いや、気にしないでください。調べてみます。」
「そうか。まぁいい。とにかくノロイの大量発生。倒してもアンデッド化するから、実質2倍の戦力になる。しかも兵士が死ねば、アンデッドになって敵になる。兵士の士気を維持するのも困難だ。」
「戦場だけではない。病気で亡くなった老人がアンデッドになって、周囲の人間を襲い、村がアンデッドだらけになるような事件も起きている。」
「わかりました。
原因究明と対応策を検討致します。
ただ、かなり大規模な事件です。
少なからず時間はかかると思います。
各国も独自に防衛をお願い致します。」
「もちろんだ。
全てをウィリアム任せにするつもりはない。
我々としても最大限の対策は行う。
国内での対応も打ち合わせしたい。後でこちらに来られるか?」
「そうですね、夜には行けると思います。
先にドルマ帝国にも足並みを揃えるように釘を刺しておきます。その後でもよろしいでしょうか?」
「もちろんだ。ドルマ帝国が背後を脅かさないだけでも、戦力を集中させられる。」
「ドルマ帝国を牽制してくれるだけでも、数万の兵力を得るのと同じだ。」
「では、協力して、この難局を乗りきりましょう。」
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