新ダンジョン発見

結婚相手募集が行われている間、ウィルは見捨てられた地で遊んでいた。

だが、ただ遊んでいた訳ではない。

探索と収集。

見捨てられた地は前人未到の大陸である。

そこにいる動植物は独自の進化をしている。

その中で役に立つ物、美味しい物などを見つけては持ち帰り、ダンジョンで栽培したりしている。

また、鉱石なども変わった性質の物があればチェックしている。

ちなみにウィルは鑑定も出来るため、初見の物でもだいたいの情報は獲得出来る。


当然だが、地図は存在しない。

ウィルは探索をしながらマッピングを行っている。

見捨てられた地はスキルが使用できない。

しかし、ウィルは既にスキルに頼らずに大抵のことは出来るようになっているので、移動しながらマッピングを自動で行っている。


その中で幾つかのダンジョンを発見している。

大抵はダンジョンマスターがいないため、死んだダンジョンであったり、出来たばかりの新しいダンジョンであった。


そんな中、ついに大型ダンジョンを発見した。

このダンジョンは明らかに他のダンジョンとは違っていた。

一般的なダンジョンと比較して超高難度。

クリアさせる気があるのか、と言いたくなるぐらいのレベル。入った瞬間から、レベル80以上のモンスターが出迎えてくる。

しかも、通常のスキルは使えないのだ。

カシムであっても苦戦は必至だろう。


・・・残念ながら?ウィルは例外であった。

スキルという概念を既に大きく逸脱し、レベル100オーバーのモンスターを瞬殺するウィルにとっては、ちょっと強いモンスター多いな、ぐらいの感覚であった。


さくさく進んでいくウィル。

道中のトラップも致死性の高いものばかりだった。

凶悪なトラップ、強大なモンスター、休む場所もない迷宮。

ダントツの難易度で行く手を阻む。。。


ウィルの行く手を阻むことは全然出来なかったけど。


そして、ついに最深部の手前に到着。

「ふ~、長かったね~。」


最凶最悪のダンジョンである。

ウィルだから、『ふ~、長かった』程度の感想だったのだ。

おそらくカレンたちパーティーではたどり着くことも出来なかっただろう。


そのボスモンスターは圧倒的な禍々しさを放っていた。

邪龍ガルガイアの威圧感も相当なものであるが、比べ物にならない。

ウィルは早速鑑定する。


『冥府之王ジュデッカ』

仰々しい名前だね。

でもその名前に負けない威圧感がある。

強さももちろんだが、他のボスモンスターとは一線を画する邪悪さがあった。

『地獄』ダンジョンのボス『ヘルサウザー』も悪魔であり、邪悪な空気を放っていたが、それを遥かに凌ぐものであった。


ウィルが部屋に入ると、

ジュデッカが咆哮をあげた。

魂を否定する咆哮。

回避不可能な魂への直接攻撃。

ウィルは結界を張り、防ぐ。


その隙にジュデッカが一気に距離を詰める。

ジュデッカの右手から闇の帯が幾つも襲いくる。

ウィルは剣を抜き、切り払う。


その瞬間、再度ジュデッカが咆哮をあげた。

間近での咆哮を防ぐ手段はない。

ウィルを直撃する。


ウィルの最期を確信するジュデッカ。

悪辣な笑みを浮かべる。


しかし、終わらない。

ウィルを包むように光のベールが咆哮を防ぐ。

「惜しかったね。

今度はこっちからいくよ!」


ウィルが剣を上段から振り下ろす。

ジュデッカも闇を束ねて切り結ぶ。

数合の切り合い。

互角に思えるが、形勢はウィルに傾く。

ウィルの一撃一撃がジュデッカの闇の束を削り取る。

ウィルの連撃は激しく、ジュデッカは立て直す時間がない。


徐々に細くなり、やがて、、、

ウィルが闇の束を切り裂き、そのままの勢いでジュデッカに切りつける。


ジュデッカも咆哮をあげ、更に闇の帯を両手から大量に紡ぎ出す。


「ワンパターンだね。」


ウィルを包む光のベールが一気に広がる。

光のベールは広がりながら、闇の帯を霧散させていく。


ウィルの行く手を阻むものは何も無い。

ウィルが剣を振り抜く。

一刀両断。

だが、手を緩めない。

そこに連撃。

ジュデッカの最期であった。


「薄気味悪いヤツだったね。

さてと、ここのダンジョンマスターはどんな人なのかな♪」


ウィルは最深部に入っていく。

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