結婚相手選定対策室

ウィルの結婚相手募集を発表してから2週間。


ウィリアムの街。

タチアナ、ミレーヌ、ミルが集まっていた。

ウィルの結婚相手として応募してきた女性のエントリーシートが山積みされている。


「いっぱい来ましたね。」

「これに全部目を通すのか~。」

「まだ後1週間あるんですよ。まだまだ増えますよ。」

「全部燃やす?」

「王族も多数参加してるけど、燃やす勇気ある?」

「少しぐらい現実逃避させてよ。」

「諦めて頑張りましょう。」

「タチアナはホントすごいわね。」

「私は前から側室を狙っていましたからね。少しでもチャンスを作りたいかったんです。」

「まぁ、そのおかげで私たちもエントリーできるんだけどね。」


実はタチアナ、ミレーヌ、ミルもこっそりエントリーしていた。

ウィルは伯爵。

ヘンケンの孫であるタチアナはランクが合うが、ミルやミレーヌは身分違いで結婚など本来はできない。

しかし、身分を問わず広く募集をかけたおかげで参加することができた。


「応募者はどんな感じ?」

「各国の王族から一般市民まで。

年齢も70代から5歳まで。

幅広く応募が集まっています。」

「5歳とか本気なの?」

「貴族では産まれた時に結婚相手が決まるパターンもあるからね。今回は自分でエントリーが条件だったから、最低年齢が5歳になったんじゃない。」

「なんでもアリね。」

「更にダンジョン中街の未婚女性の多数がエントリーしてるわ。

凄まじい数よ。」

「領主夫人になるチャンスがあれば飛び込むわよね。」

「確かに。」


「それで、真面目な話、選定基準はどうするの?

私たちの好き嫌いって訳にもいかないでしょ。」

「ざっくりですけど、『その女性の存在がウィリアムの街にとってマイナスにならないか』、でいいと思っています。」

「言いたいことはわかるけど、フワッとしてるわね。」

「スパイや二心ありそうな人を外せばいいんでしょ。」

「それと、素行に問題のある人なんかも除外ね。」

「それじゃ、何人か一緒に選定してみましょう。」

「いいわね。」



「まずは1人目、クラリス王女です。」

「合格でしょう。」

「「異議なし」」


「2人目、リディアさん。備考欄に『クラリス王女が正室になられた場合に限る』とされています。」

「まあ、当然と言えば当然の但書ね。」

「こちらも合格で問題無いんじゃないですか。」

「そうですね。」


「次は聖女リンカさん。」

「『祈り子様』から『聖女』になられた方ですね。」

「もちろん知ってるわよ。ミリアとよく一緒にいるもの。」

「合格でいいと思うわ。単純にウィル様を慕っている感じだし。」

「教会との結びつきも問題になるレベルではないと思います。」

「合格よね。」


「次はメルティー様。現フィガロ国王の妹です。」

「大国の国王の妹。大物ね。」

「普通ならあり得ないわ。でもたしかフィガロ国王っていい年齢よね。おいくつなの?」

「もうすぐ60歳です。」

「・・・扱いに困るわね。」

「後継ぎを産むという点では不適格かと。」

「そうね。争いの火種になりそうね。」

「不合格でいいんじゃない。」


「次はイリアさん。こちらはドルマ帝国の宰相トルティ氏の娘です。なかなかの美女との評判です。」

「また扱いに困る案件ね。ドルマ帝国宰相の娘か。でも、どう考えてもエール王国と敵対する気満々よね。」

「ウィル様をろう絡するのが目的かと。」

「不合格ね。エール王国での立場が悪くなるわ。」


「さてと、そろそろバラバラに審査しましょうか。」

「そうですね。判断に迷う方や、情報が足りない方は、一旦保留としましょう。

必要な情報は収集してもらいます。」

「オーケー。これを通常業務と並行してやっていくのね。気が遠くなりそうだわ。」

「なんとか乗りきりましょう。」

「これだけ頑張って、ウィル様に側室に選んでもらえなかったらどうしよう。」

「ライバルは多いし、ハードルは高そうね。」

「ライバルが各国の王族クラスだからね。」

「気持ちを切り替えて頑張りましょう。」

「そうね。」


「やるぞ~」

「「おー!」」

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