オデロの呼び出し

ウィルは父オデロから呼ばれ、実家に帰った。

いつでも転移できるウィルはちょくちょく帰ってはいる。

主な目的は甥っ子のクルツと遊ぶため。


しかし、今回は珍しく、呼び出しがあった。

実家に帰ると、応接室に通された。

そこには父オデロと母マリアンヌがいた。

ついでに執事のバルデスもいた。


「ウィルよ、呼び立ててすまなかった。

まぁ、座ってくれ。」


「失礼します。

ところで、どうしたんですか?

改まって呼び出すなんて。」


「実はな、ウィル、お前の結婚のことだ。」


「結婚?」


「そうだ。

普通の貴族なら結婚している年だ。

結婚していなくても婚約ぐらいはしている。

だが、ウィル、お前はその兆候すら無い。

特にお前は、その年で新たに伯爵となったのだ。

さすがに、そろそろ身を固めねばいかん。

後継ぎの問題もある。

そろそろ決断して欲しい。」


まさかの結婚話。


更に母マリアンヌからも、

「あまり女の子を待たせてはいけないわ。

別に1人に絞る必要も無いのよ。

ウィルは伯爵なんだから、第二夫人や第三夫人がいても全然おかしく無いんだから。」


「でも、そんな相手がいませんよ。」


「大丈夫よ。ウィルが声をかければ結婚を受け入れてくれる女の子はいっぱいいるはずよ。」

「そうだ。お前の才覚ならば結婚相手を見つけることぐらい簡単なことだろう。」


「は~、それは親のひいき目です。

なかなか、そんな簡単にはいきませんよ。」


「まずは動いてみろ。それで駄目だったら、その時は他の方法を考える。」

「わかりました。やるだけのことはやってみます。」



う~ん、どうしたものか。

よし。相談してみよう。

選んだ相手はレオンとキース。


「なんの相談かと思ったら、そんなことかよ。」

「お前なら、大抵の相手と結婚できるぞ。後はお前が誰を選ぶか次第だ。」


まず、驚いたことにキースは結婚していた。

と言うか、学園に来る前に親が相手を決めていたらしい。


更に驚いたことに、レオンも実はモーリンと魔王討伐後に結婚を約束していた。


「すごいな。2人とも。

いつの間に結婚を決めてたんだ。」


「俺の場合は親が勝手に決めてたからな。

学園卒業後に会ったけど、悪い娘じゃなかったから、わざわざ断りもしねぇよ。」


「俺は学園を良い成績で卒業出来たら、父親の上司の娘と結婚って話があったんだけど、まさかの勇者パーティー入りしただろ。

だから一旦話は白紙になったんだ。

そこでモーリンと話をして、彼女も元々は卒業後は地元の名士と結婚って話になってたみたいだけど、嫌だったらしい。

そこで、これは!って感じで2人で結婚しようってなったんだ。

まぁ、勇者パーティー入りした時点で、悪いがモーリンの親父さんがコントロールできないランクになっちまったからな。」


「なるほど、、、

親が決めた結婚と手近なところで決めた結婚か。」

「いや、言い方!」


「悪い、悪い。

でも参考になったよ。」


「ウィルは誰と結婚するつもりなんだよ?」

「大きな決断だぞ。」


「まだ決めてないよ。

でもなるべく早く決めないとな。」



やっぱり、友人に相談するのは参考になるね。

と言うことで、相談第二弾。

夕食の席でウィリアムの街のメンバーに相談してみた。


「なんの相談かと思ったら、そんなことかよ。」

ディーンは呆れ顔をしているが、一部メンバーは顔が真剣だ。


「非常に重要な問題です。ウィル様は領主なんです。その奥様と後継ぎに関わることなんですよ。

一般人の結婚とは意味が違います。」

ミルが重要性を強調した。


「今のウィル様の影響力を考えると結婚相手は確かに重要ね。」

ミレーヌが同調する。


「国内だけでなく、各国と強いコネクションを持つウィル様です。結婚相手を探していると知れば、世界的な問題になりますね。各国から結婚の申し出が殺到しますよ。」

ヘンケンが追加する。


「まさか~」


「おそらく間違いありません。

ウィル様ご自身が考えているより大事になりますよ。」


「そっ、そっか、、、」


「ウィル様。私に提案があります。」

名乗り出たのはタチアナだった。

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