人魚アロア
「ウィリアムさん、良かったら一緒に食事でもどうですか?人魚の食事が口に合うかわからないのですが、、、外の世界の話を聞かせて欲しいのです。」
「もちろん。喜んで。」
そこから、水中にいた人魚たちも次々に上陸してきて、瞬く間に宴会が始まった。
基本的には魚介類や海藻ばかり。
普段はあまりしないらしいが焼いたり、蒸したりと調理をしてくれた。
ただ、調味料や香辛料が無いので味が単調ではあった。
飲み物も基本的に水しかない。
ウィルはアイテムボックスから調味料や香辛料を出して、ウィルも腕をふるった。
ウィルは料理スキルもMAX なので、ムラーノほどではないが抜群に上手い。
とりあえずのアヒージョとアクアパッツァ、パエリヤを完成させた。
更にウィリアムの街特製ワインも提供。
人魚大興奮!!
宴会は大盛り上がり。
なにせ初めての料理に初めてのお酒。
更に途中で調子に乗ったウィルがソーセージなどの肉料理も投入。
初めての肉汁に狂喜乱舞。
全員がはめを外して宴会を楽しんだ。
ウィルも外の世界の話を身振り手振りを交えて話をしたし、人魚たちもダンジョンのこと、人魚のことなどを色々教えてくれた。
そして宴の後、、、
ウィルの周囲は死屍累々。
初めてのお酒に飲み過ぎた人魚たちが大量に雑魚寝している。
全員が美男美女。
しかも露出多め。
半分くらいの人魚は術が解けて、下半身が魚に戻っていた。
シュールだね。
ウィルは酔ってはいるがほろ酔い以上にはならない。毒の耐性が高いのが影響しているのかな、と思っている。
ウィルが1人で後片付けをしているとアロアが起きてきた。
「すいませんなのです。こんな美味しい物は初めてでした。ワインというのは飲み過ぎると危険なのです。」
「お酒はほどほどにしないとね。飲み過ぎるとこうして寝ちゃったりするし、起きてからも二日酔いとかでしんどくなるからね。」
そう言うとアロアの体がうっすら輝く。
「わぁ!頭とお腹がスッキリしました。ありがとうございますなのです。」
「みんなに楽しんでもらえて良かったよ。そろそろ行くね。」
「ウィリアムさん、本当にありがとうございました。とても楽しい時間でしたのです。
お願いがあるのです。
先ほどの飲み物や食材をお譲り頂きたいのです。代わりに欲しい物があればご用意するのです。」
「いいよ。
それと私からも提案があるんだけど、いいかな。」
「もちろんなのです。」
「私も実はダンジョンマスターなんです。私のダンジョンとここを行き来できるようにつなぎたいんだけどいいかな?」
「みんなと相談させて欲しいのです。勝手には決められないのです。」
「そりゃそうだね。
色々と準備をしてからまた来るよ。
外は刺激も多いけど、危険も沢山あるし、悪い人もいるからね。安全を確保する方法を考えておくよ。」
「何から何までありがとうございますなのです。私たちもウィリアムさんに賛同するかしないかを相談しておくのです。」
「お願いします。
そうだな~、3日後くらいに来るからそれまでに考えといて。」
「そんなにすぐに来られるのですか?!
ダンジョンを突破するのはかなり大変だと思うのです。」
「大丈夫だよ。
転移魔法が使えるから。
一度来たことある場所ならすぐに来られるんだ。」
「凄いです。外にはウィリアムさんのような方が沢山いらっしゃるのですか?」
「ハハハ、私は外でも少し珍しいタイプですよ。転移魔法はあまり一般的ではないですね。」
「そうなのですね。
私がダンジョンマスターをしている時にウィリアムさんと出会えて幸運なのです。」
「私もです。世界を旅しているとこういう出会いがあるから楽しいんです。たまには会いたくないような相手と会ってしまうこともあるんだけどね。」
「この出会いは人魚の歴史を変えそうな気がするのです。」
「良い方向に変わるように祈ってるよ。
じゃあね。」
ウィルは手を振って消えていった。
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