食卓会議

今日はウィルの邸宅で夕食を食べています。


ウィルが声をかけて集めている。

参加者はカシム、ソニア、ミル、メル、ルル、マリベル、ミレーヌ、キャナル、ヘンケン夫妻、タチアナ、リンカ、ミリア、ディーン一家、リクソン。

あらかた食べ終え、食後のデザートを食べ始めた時に、ウィルが本題に入った。


「あのさ、報告と相談がちょっとあるんだ。」

全員がウィルの方を見る。

「国王陛下に呼ばれて、爵位を受けることになりました!」

「「「おぉぉぉ」」

パチパチパチパチ

感嘆の声と拍手があがった。


「授与式が終われば、『ウィリアム=ドラクロア伯爵』になります。」

「「「おぉぉぉ」」」

「父上と同じ伯爵になられるのですね。」

「おめでとうございます。」

「お祝いのパーティーをしないといけませんね。」

お祝いの言葉のシャワー。


「領地はどうなるのですか?」

お祝いムードからヘンケンが事務的な確認をする。

「領地はこのウィリアムの街とセイロード島だよ。」

「セイロード島ってどこなの?」

「たしか、本国から少し離れた無人島だったと思います。」


「さすがタチアナ。博識だね。正解だよ。」

「ウィル様、どうしてそのような無人島を希望されたのですか?」

「えっ、ウィル様が自分で希望したの!?」

メルが驚きの声をあげる。

「お姉ちゃん、当たり前でしょ。

国王陛下がウィル様にわざわざ、そんな離島を指定するはずないじゃない。

おそらくウィル様が指定して、陛下を困らせたんじゃないかしら。」

「え~、困らせてはいないと思うけどな。」


「ウィル様、間違いなく陛下は苦慮されたと思います。

私が宰相なら、力を持ち過ぎたドラクロア伯爵の領地を半分に割ってウィル様にお渡しすると思います。そうすれば八方丸くおさまりますので。」

「最初はそんな提案されたね。もちろんお断りしたけど。」


「それでそのセイロード島を指定した狙いは何?」

ミレーヌが質問する。

「ウィリアムの街と繋いで、海上拠点にしようかと思ってね。交易の拠点や海軍の拠点にしようかと思ってる。」

ウィルが地図を出して、場所を示す。


「確かに、ここなら海上輸送の拠点としては申し分無いですね。エール王国はもちろん、フィガロ王国、ロンム王国、カンロ王国との交易にも大変便利です。」

キャナルが商会の主としての顔を見せる。


「ウィリアム騎士団には軍船がなかったので、ここに海上戦力を置けば有事の対応力は大幅に上昇します。

人材募集と軍船の製造が必要ですね。」

リクソンが軍事面からの発言をする。


「どちらにしても造船所を作る必要がありますね。セイロード島に作ることは可能ですか?」

「大丈夫だと思うよ。造船所を作るスペースならあるから。ただ林を作るスペースは島に無いから、ここから運ぶ必要はあるかな。」

「それなら転移陣さえ用意して頂ければ問題ございません。ダンジョン内には木材は大量にございますので。」


ウィルが要望を伝える。

「ポジションとしてはダンジョンの外街と同じ感じかな。

閉鎖的にするつもりは無いよ。

一般の人にも解放するつもり。

ただダンジョン内街との交流は発生するから、そこの管理はお願いしたいな。」

「わかった。転移陣については俺たち警備隊で責任を持って守ろう。」

「警備隊や騎士団の人員募集は必要ですね。ウラドラ商会の人員はどうかしら?」

「万年人材不足ですが、人員募集は我々で行います。」

「セイロード島も独立した街として運営するなら行政組織も必要です。

その点はどうされますか?」

「ウィリアムの街からは離れているからね。

代官は必要だと思うよ。

メルに人員の選定は任せるよ。

ヘンケンがサポートしてあげて。」

「承知しました。」


「当面は忙しくなると思うけど、ウィリアムの街とセイロード島を頼むよ。

私の領地をよろしくね。」

「はい」「おう」「承知しました」

皆が口々に応じる。



「それと、もう1つ報告があってね。」

「まだあるのか。」

「もうお腹一杯よ。」

「大丈夫、大丈夫。

次は軽い話だから。」

「は~、ウィル様の軽い話は、

本当にどうでもいい話と、

世間一般では大事件が入り雑じるから厄介なのよね。」

「ひどい言われようだな~。

じゃあ報告は明日の方がいい?」

「こんな状態で引っ張らないで!」

「生殺しは一番キツイですよ。」

「じゃあいくよ。」


ウィルの報告は続くのであった。

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