クラリスの疑問
「ウィル、魔王軍の幹部を倒しました。」
カレンがウィルに勝利を報告した。
「おめでと~♪
でもなんか喜び!って顔じゃないね?」
「私たちは騙されているのでは?と危惧しています。」
クラリスがウィルの問いに応えた。
「状況を説明してくれる?」
カレンたちは、
メテオとドラゴンブレスの奇襲。
魔王軍の幹部登場。
前衛チームによる総攻撃。
瞬殺?
という一連の流れを説明した。
「これ程あっさり倒せるとは思えません。」
「何かの罠でしょうか?」
リディアやエリュートロンも疑問を口にする。
「ゲオルグさんならノーダメでもおかしくないぞ。」
キースも意見を口にする。
「あ~、そういうことか。
現場にいなかったから100%ではないけど、おそらくその魔王軍の幹部は倒してるよ。」
「どういうことですか?」
「ゲオルグを基準に考えちゃダメだよ。
確かにゲオルグは元魔王軍の幹部だけど、その後、数百年修行してるんだよ。
学園に入ったばっかりのカレンと今のカレン、同じ勇者でも全然強さは違うよね。」
「なるほどな、今の話は説得力があるな。」
キースが納得した顔をしている。
「それにゲオルグはゴリゴリの戦闘特化だけど、倒した魔王軍の幹部は変な施設に居たんでしょ。
おそらく直接戦闘を得意とするタイプじゃない可能性もあるよ。
同じレベルのキースとレオンじゃ単純な戦闘能力は比較にならないだろ。」
「なるほど、じゃあ今回倒した幹部はトレーニングする前のレオンってところかしら。
ふふふ。」
クラリスがイタズラっぽく笑う。
「そこまで弱くはないと思うけどね♪」
「クラリス~、ウィル~」
レオンが困った風の声を出している。
「さてと、話を戻すけど、
魔王軍四天王はこれで全滅したはずだ。
大軍を率いたバルゴス。
邪魅の雫で暗躍したハモン。
武術大会に乗り込んだゴドウィン。
名前も知らない誰か。。。
四天王なのに名前も知られずに倒されてるのは、なんか可哀想になるね。」
「それだけ奇襲が上手くいったってことよ。」
「そうそう。わざわざ名乗るのを待ってあげる義理は無いわ。」
「後の歴史書に名称不明とか書かれるのかな~?」
「意外と歴史の7不思議みたいな感じで、四天王を名乗っているのに3人しかいない、みたいな扱いになるのかもよ。」
「名前ぐらい訊いてあげれば良かったね。」
「じゃあダダダ魔王に訊いてみる?」
「「「「「えっ?」」」」」
ウィルの発言に全員が???という顔をした。
「さすがに魔王に訊くのは無理じゃない?」
「訊くのは無理じゃないよ。教えてくれるかはわからないし。」
「でもわざわざ魔王のところに行って名前だけ訊くってのはあり得ねぇだろ。魔王と会えば戦うし。」
「大丈夫だよ。
ダダダ魔王が登場した時に世界中に声を届けてたでしょ。
その時に割って入ったのをアレンジすれば、離れた場所でも会話できるんじゃないかと思ってさ。
試していい?」
「でも、わざわざ遠くから声をかけて、
『死んだ幹部の名前は何ですか?』って訊くのか?
さすがに魔王も激怒するだろ。」
「魔王を怒らせて、魔王が怒りに任せて変なことをしても困ります。」
「そもそも、あっさり倒した幹部の名前にそこまで興味ないしね~。」
「ウィル、お前、新しい魔法を試したいだけだろ。」
「えぇ~、集中砲火だな~。」
「当たり前です。魔王をあまり挑発しないでください。魔王も後がないはずなので、何をしでかすかわかりません。」
「もう少し自重しなさい。」
「はい。」
そんなに皆に責められるとは!?
ちょっと魔王をからかうだけなんだけどな~。
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