幕間 勇者カレンの冒険

ウィルがカンロ連合王国で暗躍している頃。

勇者カレンも遊んでいた訳ではなかった。


「もう1本お願い致します!」

「かかってこい。」

カシムと手合せをするカレン。

クラリス、リディア、エリュートロン、キース、モーリン、レオン。

勇者とそのパーティーは修行に励んでいた。


先日行われたウィリアムの街の武術大会。

そこで力不足を痛感した一行はドラクロアダンジョンをベースに修行していた。

レベルアップと技術の向上を目指し、日夜努力を重ねていた。


「かなり腕を上げたね。」

ウィルが声をかけると、

「まだまだ力不足です。」

「カシム様には遠く及びません。」

「ゲオルグさんやキルアさんとも戦えるぐらいの実力を着けたいんだ。」

皆からはもっと修行したいという声が上がった。


「それはいいんだけど、あんまり長期間魔王を放置しておく訳にもいかないだろ?」

「しかし準備不足で挑んで、返り討ちにあっては元も子もありません。」


「う~ん、、、じゃあ腕試しに魔王軍の幹部と戦ってみる?

さすがに魔王の部下には遅れを取らないと思うよ。」

「大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だと思うよ。ゲオルグやキルアに比べるとかなり格下のはずだし。」

「わかりました。チャレンジしてみます!」

「じゃあ、魔王軍の幹部の位置を調べとくよ。いつも通り先にドラゴンを向かわせるね。」



そして翌日。

「行って参ります。」

「なんでだよ~~~~」

コロネの挨拶とハンスの悲鳴を乗せてドラゴンは飛び立った。


目指すは魔王軍の幹部。

危険性がある作戦のためにドラゴンも編隊を組んでいる。ハンスとコロネを乗せたドラゴンを中心に10体のドラゴンが集合した。


そして魔王軍四天王レクターの所在地にたどり着いた。

レクターは魔王城を離れ、工場にいた。

ドルマ帝国に提供する英雄装備の原料を製造していたのだ。

「あれが魔王軍の施設でしょうか?」

「おそらくな。なんの施設か、誰がいるかはわからんが、ウィルがいるというならいるんだろうな。」

「ウィル様のおっしゃることに間違いはございません。」

「は~」

ハンスがやれやれというポーズをとる。


「では、カレン様たちを呼んで参ります。」

コロネがポータブル転移陣を利用して転移する。


数分後。

「あそこに魔王軍の幹部がいるのね。」

「勝てるかな~?」

「絶対に負けられません。最初から全力でいきましょう。」

「作戦はどうする?」

「私に考えがあるわ。」

クラリスが作戦を皆に伝える。


「さすがです。」

「それでいこう!」

「腕がなるわ。」


まずはレオンがみんなの能力をアップさせる。


「では、始めます!」

クラリスが魔力を練り上げる。

どんどん魔力が高まっていく。

「メテオ!!」

クラリスの最強の極大魔法が放たれる。

それに呼応して編隊を組んでいたドラゴンたちも全力のブレスを吐く。


隕石とドラゴンのブレスの共演。

それは圧倒的な破壊力をもたらした。

工場は一瞬のうちに灰塵と化した。

巨大なクレーターが出来上がっていた。


そこから這い出て来たのがレクターだった。

「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。

なんだったんだ、、、」

フラフラしながらも生き残ったのはさすが四天王と言ったところか。

突然の事態にダメージも重なって理解が追い付かない。


「今だ!!」

前衛チームの、エリュートロン、キース、リディアが混乱状態のレクターに畳み掛ける。

隙だらけのレクターに3人は大技を叩き込む。


そして、

「グハッ」

レクターは粉々に打ち砕かれた。


「気をつけて!

この程度で死ぬはずがありません。」

「みんな!死角を作らないように密集陣形」

「どこかに潜んでいるのかしら?」

「キルアさんみたいな技が使えるのか?」


円形に集まり、周囲を警戒するカレンたち。

「あれ??」

「出てこないな、、、」

「逃げた?」

「まさか本当に倒したのか?」

「ゲオルグって元魔王軍の幹部なんだろ。ゲオルグなら、これぐらいなら全部切り払っているぞ。」

「同じ魔王軍の幹部なんだろ。こんな弱いのか?」

「なんか拍子抜けだわ。」

「まぁ、とりあえず魔王軍の施設を破壊できたんだ。良かったとしようぜ。」

「そうね、まずは戻ってウィルに報告しましょ。」

「そうですね。ウィリアムの街に帰りましょう。」

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