幕間 ブルーノの1日
「陛下、次は元議員のサライ氏とモランド氏との打合せです。」
「わかった。」
「なお、30分後には戦争での功労者の表彰がございます。打合せは手短にお願い致します。」
「善処する。」
マーズからスケジュールを聞き、頭を押さえるブルーノ。
あの戦争から、色々あった。
カンロ連合王国は2つに別れた。
カンロ王国
カンロ連合共和国
カンロ王国はブルーノが建国した国だ。
今までの議会制を廃し、王国制になった。
主にドルマ帝国に占領された都市を中心に作られた。
元々のカンロ連合王国の約半分が参加した。
カンロ連合共和国は元々のカンロ連合王国の流れをそのまま残した国だ。
お飾りの王が牙をむいて出ていったため、純粋な議会制の国家となった。
主に帝国侵攻の影響が少なかった国が参加している。
共和国と王国の関係は微妙だ。
ブルーノによる強引な建国への反発。
しかし、共和国側には戦力がない。
しかも共和国の中心にいるのは商人だ。政治的な対立よりも実利を優先する気風がある。
現在の国力は五分五分。
王国側についた都市は帝国侵攻によるダメージと体制変更による混乱が続いている。
共和国側には戦争の影響は少ない。場合によってはビジネスチャンスとして儲けた人間も多数いる。
王国はドルマ帝国とは対立し、エール王国、ロンム王国、フィガロ王国とは友好関係を築きつつある。
共和国は今まで通り、商売優先。どことでも利益が出るなら取引を行っている。もちろん、カンロ王国やドルマ帝国とも取引を行っている。
その日の夕方。
ロンゾがブルーノのもとを訪れた。
「陛下、お疲れのようですな。」
「すまない。それよりも軍の再編は進んでいるか?」
「なかなか難しいな。既存の正規兵の顔を立ててやらねばならんが、実力主義の傭兵からは反発も大きい。
今はリクソンが協力してくれているから、その間に安定させねばならんな。」
「頼むぞ。ドルマ帝国とは明確な敵対関係となっている。いつ再び攻めてくるかわからんからな。」
「承知した。」
「ちょっといいかな?」
「「「なっ!?」」」
いきなりウィルの声がして、
会話をしていたブルーノとロンゾ、それに傍らに控えていたマーズが驚きの声をあげた。
「いきなり現れないでくれ。心臓に悪い。」
「この館も部下に警備させているんだが。。。」
「ごめんね。
ちょっと顔出そうと思ったら、ロンゾもいて都合が良いから、参加させてもらおうと思って。」
「ふ~、まぁいい。
用件があるんだろ?
何の用だ?」
「話が早くて助かるよ。
ちょっと帝国に嫌がらせをしようと思ってね。
バカみたいに魔王の思惑にはまって、人間同士の争いを助長してくれるから。
だから帝国の戦力を落としておこうかなって。」
「ちょっとした嫌がらせで帝国の戦力ダウンか、、、
どの程度の被害を与えるつもりじゃ?」
「帝国がまた黒ずくめ部隊を準備しているから、とりあえず黒ずくめ部隊は潰して、再度作ろうとは思わない程度の被害は出そうと思ってる。」
「そんなことを個人で当たり前のように言えるのはお前だけだろうな。」
ブルーノとロンゾが呆れた顔をしている。
「まぁ、すぐに帝国が侵攻してくることはないと思うから、慌てず、しっかり組織作りをしてよ。
じゃあね。」
ウィルがスッと消える。
「無茶苦茶だな。」
「だがあやつの部下と一緒に戦ったからわかる。嘘偽りなく実現できるとな。」
「間違いないな。現在の政権運営でも外交面では特に助けられている。各国の王に緊急連絡を自由に入れられ、教会にまで顔が利く。おまけに経済や流通も牛耳っている。」
「帝国よりもウィリアムと敵対する方が恐ろしいな。」
「さてと、ウィリアムが言う以上、ドルマ帝国がすぐに攻めてくることはないだろう。
その間に国を安定させねばならん。
ロンゾ、引き続き軍の調整を頼むぞ。」
「承知致しました。」
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