本選直前
翌日。
ウィリアムの街の郊外にできた観覧席は満員となっていた。席に座れなかった人向けのモニターも用意されていた。
周囲には屋台が建ち並び、活気が満ちあふれていた。
「皆さん聴こえていますでしょうか?
本日も実況を務めます、レオンです。
宜しくお願い致します。
本日の解説はこちら、エリック=ドラクロア様にお願いしております。」
「エリックです。宜しくお願い致します。」
「エリック様はドラクロア家の長男として数々の戦場で武勲を立てられた方です。今回も豊富な知見を披露して頂ければと思います。
さて、まずは本選の基本的なルールと今後の流れを説明します。
本選出場は16名です。16名によるトーナメントで優勝を競います。本日は一回戦8試合を行います。一回戦終了後抽選を実施し明日の対戦カードを決めます。
明日は二回戦、4試合を実施します。
そして3日目に準決勝、三位決定戦、決勝戦を実施致します。
なお、聖女リンカ様、ミリアさん、モーリンさんの3名が治療担当でスタンバイしております。怪我をしてもすぐに完全回復致しますのでご安心ください。また、大量のMP ポーションも用意しております。MP の心配なく魔法やスキルをご使用ください。
審判はウィリアム=ドラクロア氏が務めます。参加者が死亡しないようにするための配慮です。今回は非常にハイレベルな戦いが予想されます。万全な体制でのぞむための措置です。ご理解をお願い致します。」
「今回はクラリス王女も参加されています。順当な措置だと思います。」
「観覧席にヘンリー王子がいらっしゃいました。今回の大会の注目度の高さがわかります。」
「王都の武術大会でも王族の方が直接御覧になることは稀です。今回の大会はそれだけの価値があるということでしょう。」
「それでは選手入場の前に今回の賞品を紹介致します。
今回は4つの賞品が用意されています。
優勝者から順番に欲しい賞品を指定することができます。ですのでベスト4に入れば何かしらの賞品を手に入れることができます。
1つ目の賞品は金貨5000枚です。
先日バルベンで行われた大会の優勝賞金が金貨300枚ですから、その破格ぶりがわかるでしょう。」
「凄いな!よく一生遊んで暮らせるという表現があるけど、一生遊んでも使いきれない金額だね。」
「2つ目の賞品は究極の快眠グッズ詰合せです。パジャマ、布団、枕、ベッドです。」
ざわざわざわざわざわざわざわざわ
「ふざけている訳ではありません。すべて超一流品。価格がつけられないような逸品です。パジャマだけでも豪邸が建つほどの価値があります。着心地最高。防御力はミスリル製の鎧並み。自動清浄機能、自動修繕機能付き。毒無効。自然回復力増強。環境変化無効。そんな理解不能な性能がついています。究極の贅沢品です。」
「3つ目の賞品はオリハルコン製武器をオーダーメイドで提供致します。
そう!オリハルコンです。伝説級の武器を自分の好みに合わせられます。
オリハルコンの斧。オリハルコンの槍。大剣、ナイフ。なんでもOK です。」
「「「おおぉぉぉぉ!!!」」」
会場がどよめく。
「オリハルコン製の武器なんて一生に一度は見てみたい、という伝説的な存在です。それをオーダーメイドで手に入れられるなんて夢のようですね。」
「4つ目の賞品は究極のコース料理です。」
ざわざわざわざわざわざわざわざわ
再び会場が混乱に包まれる。
「ウィリアム氏が用意した究極の食材を、天才料理人ムラーノ氏が、最高の料理に仕上げます。
前菜はリバイアサンと世界樹の実のカルパッチョを予定しているそうです。
そうです!英雄譚でしか聞いたことのない伝説の存在を食すのです。今回を逃せば一生食べられません。」
「究極の贅沢品だね。金をいくら積んでも手に入らない、まさに夢のような体験でしょう。」
「それでは本日の対戦カードを紹介致します。
第一試合 ギグス対ディーン
第二試合 キルア対キース
第三試合 クラリス王女対アルガス
第四試合 カシム対エリュートロン
第五試合 ガダル対ソニア
第六試合 ウィリアム対リディア
第七試合 カレン対マイリー
第八試合 ゴドウィン対ゲオルグ
以上の8試合を予定しております。
エリック様、注目の試合はございますか?」
「そうですね。注目カードの連続ですからね。あえて挙げればクラリス王女対アルガスの試合でしょうか。やはりクラリス王女様の戦う姿を一度拝見してみたいところです。」
「確かに気になる試合ばかりです。
さあ、そろそろ第一試合の選手が入場して参ります。ご期待ください!」
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