本選出場者決定
「さぁ、第一会場で大きな動きがあったようです。残ったのはウィリアム騎士団だけのようです。これからどうするのでしょうか?」
赤い騎士たちは四方に散らばる。
そして立ち止まり向かい合う。
いきなり大乱戦が始まった。
「ガチだな。しかも無茶苦茶ハイレベルだ。他の参加者を先に排除したのはこのためか!」
「なるほど。ウィリアム騎士団だけで雌雄を決するつもりのようです。」
「この戦いは見ごたえがあるぞ。日頃から一緒に訓練をしている者同士の戦いだ。手の内はバレているし、実力差もほとんど無い。」
「では、誰が勝つかわからないってことですか?」
「いや。この乱戦だ。素早くてクレバーなヤツが勝つ。」
「なるほど。防御力や攻撃力ではなく、回避能力の高さが勝敗を分けそうですね。」
「おや、第二会場も動きがありそうです。アルガス=ドラクロア様率いるドラクロア軍が戦場を制覇したようです。」
「さすがドラクロア軍。最強の名を冠する部隊だ。簡単には止められんだろう。」
アルガスを中心に騎士たちが集まる。
そして一斉に膝をつく。
立っているのはアルガスのみ。
そして決着がついた。
「第二会場の突破者が決定しました。
アルガス=ドラクロア様です。
順当と言えば順当でしょう。」
「実力、知名度、実績。すべて非の打ちようが無いからな。」
「さすがに部下がアルガス様に剣を向ける訳にはいきませんからね。
これで第四会場のゴドウィン選手に続き2人目の本選出場決定です。
ウィリアム騎士団が乱戦を続ける第一会場。
有力参加者揃いの第三会場。
残り2人にまで絞られた第五会場。
次に決着がつくのはどの会場でしょうか?」
「第三会場が佳境だな。残り3人にまで減ったぞ。」
「Aランク冒険者のガーランド、凄腕傭兵のガダル、賞金稼ぎのヤリッチの3人です。睨み合ったまま動きません。」
「三竦みだな。先に動いた方が不利になるのはわかっているからな。」
「さぁ、最初に動くのは誰だ!?」
「ガダルだ!ガダルがガーランドに仕掛けたぞ。」
ガダルがガーランドに斬りかかる。
斬り結び、防ぐガーランド。
チャンスを伺うヤリッチ。
ガダルとガーランドが数合斬り合うが決着がつかない。
2人のハイレベルな斬り合いに会場が沸く。
不意に崩れるガーランド。
その背後から躍り出たヤリッチ。
ヤリッチの必殺の突きがガダルに迫る。
「もらった!!」
「読み通りなんだよ!」
刹那、ヤリッチの突きをかわしたガダルが隙を作ったヤリッチを斬り伏せる。
「決まった~~~!
第三会場の勝者はガダル選手です!
緊迫した戦いでした。」
「ガダルの経験の豊富さが勝敗を分けたな。一番対人経験の少ないガーランドに仕掛けて、ヤリッチが仕掛けたくなる隙を作った。隙をついてガーランドを仕留め、チャンスをものにしたと思い込んだヤリッチに隙ができた。そこを仕留めた。」
「なるほど。日頃モンスターの相手をしているガーランドは対人経験が少ないと考えて、ヤリッチに背中をさらすように誘導した。ガーランドを仕留め、その背後から奇襲を仕掛けたヤリッチだったが、その瞬間を待ち構えていたガダルに返り討ちにあったということですね。
本当に高度なやり取りです。」
「あぁ、勉強になるな。だが、頭でわかっていても、実戦で実行できるのは難しいぞ。」
「第一会場もそろそろ決まりそうです!」
「残ったのは2人か。」
「手元の資料によりますと、残ったのは一番隊隊長ギグス選手と二番隊隊長オズマ選手です。」
「なるほど、隊長格2人の一騎討ちか。見ごたえがありそうだな。
さっきの乱戦を見る限り、ギグスがスピード、オズマがパワーで相手に勝るようだぞ。」
「パワーとスピードの戦いでしょうか?」
「いや、あのオズマって選手はかなりのくせ者だぞ。緩急をつけた攻撃にフェイント、わざと隙を見せたりと単純なパワーファイターではないぞ。
逆にギグス選手はムダがない。洗練された動きは流れる水の如し、という感じだな。的確な攻撃で確実にダメージを与えていく。対称的な2人の戦いだぞ。」
2人の戦いはなかなか決着がつかない。
決定打を欠く展開が続いていく。
「なかなか勝敗がつかないですね。どちらが優勢でしょうか?」
「ギグスだな。」
「その理由は?」
「疲労度の違いだな。既に長い戦いを続けている。ギグスの戦い方の方が疲労が少ない。逆にオズマの戦い方は臨機応変、疲労は溜まりやすい。先にミスを犯すのはオズマの方が確率が高い。」
「あっ!ギグスの攻撃がオズマにヒット!
そのままギグスが連続攻撃!
どんどん押し込んでいく!
そのままダウンだ~!!」
「凄まじい連続攻撃だった。」
「ここで連絡です。
いつの間にか第五会場も決着がついていたようです。本選出場はマイリー選手です。」
「ハンスはよく粘った方だろう。」
「本選出場はギグス選手、アルガス選手、ガダル選手、ゴドウィン選手、マイリー選手です。」
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