戦後処理
戦いを終えて3日後。
各国の代表がフィガロ王宮に集まった。
フィガロ王
「皆のおかげで闇の軍勢に勝利することができた。改めて礼を言いたい。
本当にありがとう。
本来であれば盛大な祝勝会を開きたいところだが、我が国には今そんな余裕が無い。
食べる物がなく、寝る場所もない、そんな民が沢山いる状態なのだ。
礼は必ずさせてもらう。
だが、国が落ち着くまで少しだけ待って欲しい。国を救ってもらいながら、何も渡せない私の力不足を笑ってくれ。
復興の目処が立てば必ず礼はする。
何卒、理解を賜りたい。」
各国の代表を前に頭を下げるフィガロ王。
「フィガロ王、よろしいかな。」
ロンム王国のウィリアム王子が最初に発言した。
「私としてはロンム王国を代表して参戦し、勝利に貢献したと自負している。
なんの礼も無いというのは考えられない。
早々に礼を頂きたい!
・
・
・
そのためにフィガロ王国の復興支援をする許可を頂けますかな?」
ニヤリと笑うウィリアム王子。
「早々に復興して頂き、最高の礼を頂きたい。私は強欲なのでね。」
パチパチパチ
拍手をしたのはヘンリー王子だった。
「さすがはウィリアム王子!
私も見習わせて頂きたい。
フィガロ王は義を重んじる方。
復興後の礼が楽しみで仕方ないですね。」
大国の代表2人がフィガロ王の申し出を受け入れ、更に支援をするとまで言い出したため、反対できる者はいなかった。
「この恩は一生忘れはしない。
ありがとう。。。」
こうして各国の軍はそれぞれの国に帰還することになった。
ヘンリー王子に対してウィルは、
「先ほど申し出られたフィガロ王国の支援は私に任せてくださいませんか。」
「ウィルがやってくれるなら心強いが、いいのか?」
「もちろん。」
そんなウィルに対して、
「やり過ぎにだけは気をつけるんだよ。」
「大丈夫だよ。私がババーンと、、」
「ご安心ください。支援活動の指揮は私が取ります。ウィル様はあまり張り切らないように。」
「リクソン~~~」
「ウィリアム騎士団が支援にあたるのか。フィガロ王も喜ぶだろう。」
「私の扱いがひどい気がするのですが?」
「ヘンリー王子の適応力が高いだけだ。ウィルが気にすることはない。」
「フルブライト様まで」
そんなことを話していると近づいてくる人がいた。
「ヘンリー王子、少しだけよろしいかな?」
「もちろんです。ウィリアム王子。私も貴方と話をしたいと思っておりました。」
「そう言って貰えるとありがたい。一言お礼を言っておきたくてな。」
「お礼?ですか」
「そうだ。今回の戦い、エール王国軍の活躍が無ければ負けていたであろう。誰がどう見てもエール王国軍のおかげだ。残念ながらロンム王国軍の活躍はエール王国軍に及ばない。圧倒的な差だ。」
「いや、ロンム王国軍が左翼を支えてくれたからの勝利だ。フィガロ、ロンム、エール、誰が欠けても勝利は無かった。私はそう考えている。」
「ありがとう。だが、エール王国と戦争はするまいと心に誓ったよ。」
「発言してもよろしいでしょうか?」
王子同士の会話にウィルが入った。
「私はかまわんが。」
「ヘンリー王子、紹介致します。彼はウィリアム=ドラクロアです。」
「ほう、ドラクロア家の方か。」
「よろしくお願い致します。」
「うむ。それで何か言いたいことがあるのか?」
「失礼を承知で申し上げます。貴方を支援させて頂きたい。」
「なっ」
周囲にいたロンム王国関係者、エール王国の面々、全員が絶句した。
「ハッハッハッ。なかなか面白い男だ。理由を聞かせてもらおう。」
「殿下のことを気に入りました。くだらないお家騒動で苦労されているのを手助けしたいと思いました。」
ロンム王国関係者の目つきが厳しくなる。
「歯に衣着せぬ男だな。面白い。だが他国の者の手を借りる気はない。」
「エール王国は関係なく、一個人として、手助けしますよ。それも目立たないように。」
「気持ちは受け取ろう。だが、君一個人にできることなどたかがしれている。それにすがる程困窮してないよ。」
ウィルの出過ぎた発言にロンム王国関係者は殺気立っている。
「ウィリアム王子、失礼を承知で言おう。
ウィリアムの申し出を受けた方がいい。
俄に信じがたいだろうが、ウィリアムの支援には一国を左右するだけの力がある。
私を信じて、申し出を受け入れては頂けないだろうか。」
「それほどなのか。」
「もし、ウィリアムが父上に『エール王国を全力で支援するから王女を側室に欲しい』と言ったとしたら、即座に受け入れるだろう。」
「それは、、、言い過ぎではないのか?」
「今回の戦いで活躍した赤の一団はウィリアムの私兵です。私の命令には従いません。圧倒的な力を持っています。
それに内政でも特別です。たった数年で開拓村を国内2番目の街まで成長させました。
とにかく常識の枠におさまらない男です。」
「・・・わかった。ウィリアム、支援の申し出、有り難く受け入れよう。」
「よろしくお願い致します。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます