卒業式
ついに学園生活も最後の日を迎えた。
今年は魔王降臨という一大事があり、例年のようなお祝い一色にはならないが、それでも学園は独特の雰囲気に包まれている。
良い成績で胸を張って卒業式を迎える者。
成績を落とし今後の人生に不安を覚える者。
悲喜こもごもな学生たち、そして保護者の貴族たち。ウィルのところもオデロとマリアンヌが来ている。もちろんウィルは首席卒業のため、両親とも誇らしげだ。
卒業式はマードック学園長の話から始まった。
「学生の諸君。
卒業おめでとう。
君たちはこの3年間に多くのことを学んだことだろう。
しっかりと学び、成績を残した者は胸を張って社会に出ていってほしい。
学びが足らず、不甲斐ない成績を取ってしまった者も、反省をすればこれからやりなおすこともできるだろう。
学びの時は終わった。これからは学んだことを王国のために発揮してほしい。
今、世界は魔王の存在によりかつて無い不安に包まれている。しかし、君たちなら、そんな不安を払拭して、王国に平安をもたらしてくれると信じている。
ここで学んだことを胸に、困難に立ち向かってほしい。
君たちの前途に幸多からんことを女神様に祈願して、挨拶を終えさせてもらう。」
マードック学園長の挨拶、途中からカレンたち勇者パーティーに向けてなかったか。
魔王倒してほしいのはわかるけど、こんな場面で、お願いしなくてもいいんじゃない。
次に学生代表でクラリスが挨拶をする。
壇上に登ると、凛とした立ち姿が本当にカッコいい。みんなの前に立つことが当たり前という人種だからこそなのだと思う。
「学生代表を務めるクラリス=プルミエールです。私は首席卒業ではございません。本来であれば首席卒業であるウィリアム=ドラクロアが挨拶をするのが筋です。私は彼を目標に3年間勉学に励みました。結果、一度も勝つことができませんでした。
でも悔いはありません。そのおかげで私は道を見失わず、ひたすらに進み続けることができました。追うべき背中があったことで私は成長できました。
ですが、私たちはようやくスタートラインに立ったに過ぎません。これからも成長を続けなければなりません。私は為すべきことを為すまで立ち止まりません。
決意表明をもって私の挨拶を終えます。」
さすがクラリス。
学生代表として恥ずかしくないスピーチだった。
その後、卒業生の表彰に移った。
「これより、優秀な生徒の表彰を開始する。
名前を呼ばれた生徒は壇上に上がるように。」
クラリス、リディア、エリュートロン、カレン、モーリン、レオン、キースを含む9人の生徒が呼ばれた。
成績2位~9位の生徒が壇上に呼ばれ、その優秀な成績を表彰された。
「最後に最優秀生徒の表彰を行う。
本年の最優秀生徒はウィリアム=ドラクロアです。
彼の成績は学園史上最高の成績でした。今後も彼を超える存在が出てくるとは私には想像できません。そんな歴史的な瞬間に学園長として立ち会えたことを幸運に思う。
ウィリアム、一言挨拶をしてくれ。」
ウィルは壇上に呼ばれた。
「只今紹介頂きましたウィリアム=ドラクロアです。表彰頂き有難うございます。
ですが、私にとって成績は二の次でした。
最高の仲間たちと最高の時間を過ごせた。そのことの方が重要です。
これから社会に出れば、学園時代よりも自由にやりたいことができます。それと共に、王国の一端を担う者として恥ずかしくない生き方を求められることでしょう。
私は誓う。『エール王国にウィリアム=ドラクロアあり』と言われるようになってみせましょう。
ここにいる卒業生も皆、胸に大志を抱いていることだと思う。ですが、大志は実現してこそ意味がある。
やってみせろ!
私からはそれだけです。」
そうして卒業式は無事に終わった。
「明日は王宮に行くんだろ。」
「そうだよ。陛下から今後の行動とか色々話があるみたい。」
「プレゼントも用意しているみたいよ。」
「国王陛下からのプレゼントか~。一生もののお宝になるぜ。」
「ちょっと!大事なのは今後の行動の方だよ。」
「わかってるって。」
「王宮での用事が終わったら、私の部屋においでよ。私からも冒険に役立つプレゼントを用意しとくから。」
「ウィルからのプレゼントか!期待しちゃうわ。」
「ちょっとしたアイテムとかだよ。」
「わざわざウィルが用意してくれるんだ。役に立つことは間違いない。」
「じゃあ、また明日ね」
さぁ、プレゼントの用意をしないとね♪
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