秘密の特訓

週末。

いつものメンバーで集まった。

みんなにはフル装備で集まってもらっている。

「ようやくトレーニングの準備ができたよ。これから出発だ!」

「どこにだ!?」

レオンのツッコミが入る。


「行ったらわかるよ。」

全員を連れて、寮のウィルの部屋に到着した。

入ってすぐに転移陣が設置されている。

「なんつ~、部屋だ。」

「これに順番に乗ってね。」

呆れつつも、誰も抵抗せずに乗っていく。

乗るとすぐに消えてしまう。

全員が転移した後、ウィルも追いかけた。


「みんなお待たせ。」

転移先はレザードの研究設備。

ここはモンスターを捕まえて置いておくのに最適の設備になっている。

「ここはどこですの?」

クラリスが疑問を口にする。


「『見果てぬ塔』の最深部じゃ。こんなに人を連れてきて、まったくワシの研究室をなんだと思ってるんだ。」

「ちょっと待ってくれ!情報が多過ぎて頭がついていかねぇよ。」

「えーと、ここは『見果てぬ塔』の最深部。こっちでプリプリしているゴーストがダンジョンマスターのレザード。みんなの秘密の特訓のために場所を借りたんだ。」

「もう、何からツッコんでいいのかわからないわ。」


「まぁ簡単に言えば、ほどよく格上のモンスターを用意しているから戦ってみて。ってことだね。」

「もういいわ。で、どこに行けばいいの?」

「ついて来て。」

全員がウィルに従って歩く。


「ここだよ。この扉の中にモンスターがいる。適正レベルは60~65ってとこかな。今まで戦ったどのモンスターよりも強いよ。うっかり殺されないようにね。

じゃあ行くよ。」

扉に触れると一瞬で中に入った。


そこには身長3メートルぐらい。

人の形で、全身が筋肉隆々。

頭には小さな角と眼が沢山ついている。

こちらの存在に気づき、睨み付けてきた。


クラリスたちも一気に戦闘モードに突入。

まずはカレン、リディア、キースの前衛3人がしかける。

体が大きい割に俊敏。パワーは見た目通り強い。モンスターのパンチを槍で受け止めたリディアが吹き飛ばされる。

その隙にクラリスが魔法を放つが、簡単に避けられてしまった。

クラリスの魔法を見たモンスターは、照準をクラリスに合わせて加速する。

キースが阻止しようと斬りつけるが、まったくの無視。

「なっ!硬え!」

驚くキースに、

「そんな攻撃じゃ足を止められないよ。」

ウィルのアドバイスが飛ぶ。


クラリス目掛けて突進するモンスターの真正面にエリュートロンが入り、盾を構えて体当りをした。

エリュートロンは吹き飛ばされたが、モンスターの突進を止めることに成功。

足を止めたモンスターにカレンとリディアが斬りかかる。

その間に、モーリンがエリュートロンを回復する。

エリュートロンは盾を装備しているため、メンバーの中では一番防御力が高い。


クラリスが、

「エリュートロンは常に仲間を庇えるポジショニング。モーリンはエリュートロンの回復を最優先。リディア、カレン、キースは無理をせずに細かく削って。大きな隙ができたら私が魔法を放ちます。」

「「「了解!」」」


クラリスの指揮のもと、戦いは持久戦になっていった。徐々にモンスターの動きにも慣れ、無駄なダメージを受けなくなっていった。


そんな時、

モンスターは足を止めた。

「ウオォォォォォォ!!」

叫びをあげたかと思うと、体の色が真っ赤に変色した。

「気をつけて!パワーやスピードが上がっている可能性が高いわ!」

クラリスの読み通り、ステータスアップをしてきた。


クラリスに向けて突進するモンスター。

エリュートロンが間に入り、盾を構える。

エリュートロンが吹き飛ばされるが、モンスターを止めきれない。

しかし、それを予想していたクラリスが炎弾を顔面にぶつける。そこにキースとカレンがタイミングを合わせて同時攻撃を行う。

そこにリディアが追撃を放った。


「カレンはエリュートロンのカバーを優先して。攻撃は余裕がある時だけでいい。」

クラリスが指示を出す。

「一番攻撃力の高いカレンを攻撃陣から外すのか?」

レオンが疑問を口にする。

「今は耐える時です。攻撃は後からでもできます。」


モンスターはモーリンに向けて突進してきた。

エリュートロンは盾を、カレンは剣を構えて間に入る。カレンは『スマッシュ』という相手を吹っ飛ばす剣技を、エリュートロンの体当りとタイミングを合わせて放った。

モンスター、エリュートロン、両者2、3歩下がって立ち止まる結果となった。

立ち止まったところにクラリスの魔法とレオンの銃撃が襲う。

直後にキース、リディアがしかけるがガードされてしまう。

逆に大暴れしたモンスターに2人は吹き飛ばされてしまう。


両者が攻めきれない膠着状態が続く。

しばらくすると、モンスターの体の色が元の緑色に戻った。

「チャンスです。カレンも攻撃に戻ってください。」

「はい!」

スピードとパワーの落ちた相手にカレン、キース、リディアが畳み掛ける。

その後、多少時間はかかったが無事に勝利できた。

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