結果発表

今朝は登校する学生たちがみんなザワザワしている。

今日は期末試験の結果発表。

結果発表を見て、ホームルームを実施、それが終われば、1年目の学生生活も終了になる。


「おはよう」

「「おはよう」」

登校中にカレンとエリュートロンに出会った。

「どんな成績か楽しみですわ。」

「私もです。」

「僕もクラリスに勝てたかどうか気になるよ。」

「ウィルは試験でもやらかしたみたいじゃない。古代魔法考察の噂は聞いたわよ。」

「ウィルなら、古代魔法を使ったとしても驚かないけどね。」

「ちょっとだけ使えるようになったんだ。」

「ウィルと一緒にいると常識を見失いそうだわ。」

「圧倒的に非常識だからね。」

「ちょっと待ってよ~。」


そんな話をしながら、成績発表の貼り出してある廊下に到着。

学年毎に通路を分けており、ここには1年生しかいない。

成績順に貼り出してある。たくさんの学生が自分の名前を探している。成績発表の紙には順位、名前、点数、来年のクラスが書かれている。


ウィルたちは名前を探す学生たちを無視してどんどん奥に進んで行く。

まったく立ち止まることなく、一番奥まで行った。


1位 ウィリアム=ドラクロア 800点 A

2位 クラリス=プルミエール 795点 A

3位 エリュートロン=バラデロ 788点 A

8位 カレン=フラジール 765点 A


「やったー!」

「やりましたわ♪」

「やったね~♪」

3人ともが喜んだ。

「さすがウィル。今回も満点だね。」

「カレンもすごいよ。入学試験の成績から物凄くアップしてるよ。」

「本当にカレンは頑張りましたわ。」

「ありがとう!エリュートロンもクラリスの次なんてすごいよ。3位だもん。」

「まだ上に2つも上がれると思うとやる気が湧いてきますわ。」

「ハッハッハッ、僕は首位を譲る気は無いよ。」


ちなみにいつものメンバーで上位を独占した。

1位 ウィル

2位 クラリス

3位 エリュートロン

4位 リディア

5位 キース

6位 レオン

7位 モーリン

8位 カレン


もともとA組のメンバーだから、スタートラインは上位にいたし、そこから日々の勉強会や強化合宿で更に周囲と差をつけた状況だ。


教室に入ると明らかに明暗が分かれていた。A組に残れた人、下のクラスに落ちた人。

実力主義の学園では、成績を落とした者には容赦はない。来年は下のクラスで努力をして、這い上がるしかない。そして3年の卒業の時に少しでも上の順位を獲得することを目指す。当然、成績上位の者も努力をしているので、その差を詰めるのは容易ではない。

A 組に残れた者も、落ち込んでいるクラスメイトを見ながら、他人事ではない、明日は我が身と、気持ちを引き締めている。


ハワード先生とカタリナ先生が入ってきた。

「これで1年目が終わった。残すは後2年。来年もA組が決まった者も油断していては一瞬で順位を落とすぞ。そして降格が決まった者は来年の授業が始まるまでに今年の遅れを取り返すしかないぞ。新学年が始まるまでの休み期間を有効に使った者と緊張の糸が切れて無為に過ごした者の差はとてつもなく大きい。休みだからと言って無駄にできる時間は無いと思え。」

相変わらずハワード先生は厳しいね。


「それでは、私から休み期間中の注意事項と、新学年スタートの時までに用意する物について説明します。忘れ物の無いように、よく聞いてください。」

その後カタリナ先生から細かい説明があった。


ホームルームを終えて解散することになった。

「では皆さん、また来年の新学期にお会いしましょう。」

「また来年もよろしくお願いします。」

クラリスとリディアが挨拶をして去って行った。


「ウィルの馬車を体験してから、余計に馬車が苦行に感じるよ。あの馬車売ってくれない?」

「ダ~メ。誰かに売るとクラリスのお父様に断り難くなるからね。クラリスのお父様との交渉を断ってくれるなら考えてもいいよ。」

「だよな~。仕方ない。我慢して帰るよ。それじゃあな。」

「キースはまだいいよ。高級馬車だから。私は安物だし、長旅だし。は~。」

「馬車は無理だけど、来年には特製座布団を用意するよ。」

「やった♪ウィル、約束だからね!」

キースとモーリンが去って行った。


「さてと、僕もそろそろ行こうかな。」

「あんまりハメを外すなよ。」

「大丈夫だって。休みだからって非行に走ったりしないって。」

「ちげぇよ。周りに人の目がないからって非常識なことをやるなよって意味だよ。」

「そうだね。ウィルって常識が無いからね。」

「大丈夫だって!僕を信用してよ。じゃあまたね。」

手を振って去って行くウィル。


「アイツに常識を説いても無駄なんだろうな。」

「頭は抜群に良いんだけど、それが逆効果になっている気がするわ。」

「来年も楽しくなりそうですね。」

「だな。」


こうして、怒涛の1年は終わった。

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