ウィリアムの街
「クラリス王女、ようこそお出でくださいました。」
「ドラクロア卿、出迎えご苦労様です。
此度はウィリアムに招きにより参りました。ドラクロア卿は今、準備に忙しい時期でしょう。私のことは気にせずに、公務に集中してくださいませ。」
「問題ございません。今日はウィリアムの父として、友人に会っておきたいと思っただけです。準備は滞りなく進んでおります。」
「そうですね。勝利は常にドラクロアと共にあることでしょう。」
「はっ!」
父上が敬礼をした。
「ウィリアム、今回は級友との合宿と聞いている。お前のことだから心配はしていないが、最高の時間を過ごしてこい。」
「はい!いっぱい楽しんできます!」
父上たちと別れて、馬車は出発した。
「すげ~。あの生きる伝説。ドラクロア卿に会えたよ。テンション上がるわ~。」
「キースって父上のファンなの?」
「バカ!俺たち世代はガキの頃からドラクロア卿の活躍を聞いて育つからな。よくごっこ遊びでドラクロア卿のマネをしたりしてたんだぜ。その本人に会えるなんて夢みたいだろ!」
男子チームはテンションが上がって、しきりに父上を褒め讃えている。
女子チームは冷静な感じ。
父上が皆の憧れの存在ってのは気分がいいね。
ようやくウィリアムの街に到着。
「皆さん、お疲れ様でした。どうぞこちらへ。」
「カシムが迎えに来てくれたんだ。ありがとう。」
「屋敷までご案内致します。皆さんついてきてください。」
カシムに従って、屋敷の食堂に集まった。
カシムとソニアが前に出る。
「改めまして、皆さま、ようこそお出でくださいました。私はウィリアム様に仕えるカシムと申します。滞在中は護衛役になります。何かございましたら、なんなりとお申し付けください。」
「ウィリアム様に仕えるメイドのソニアと申します。滞在中は皆さまのお世話を致します。宜しくお願い致します。」
2人揃って頭を下げた。
「ここは僕の家なんだ。日頃僕がいないから、メイドも最低限しかいないんだ。多少の不便はあるかもしれないけど、許してね。」
「かまいませんわ。こちらには強化合宿で来ているんですもの。」
こういう時に率先して発言してくれるクラリス様は助かるね。
「ありがとう。
今日はもう遅いから、明日から強化合宿スタートするよ。基本的には午前中は勉強。午後はダンジョンで実戦とレベル上げって流れかな。何か質問ある?」
「ドラクロアダンジョンってどんなダンジョンなんですか?」
リディアが質問してきた。
「特徴は多種多様なモンスターが大量に出てくるのが特徴だね。普通のダンジョンはモンスターを探して歩き回るけど、ドラクロアダンジョンは各フロアに戦闘スペースがいくつもあって、そこに入れば大量のモンスターが出てくる。篝火ダンジョンみたいに火に弱いモンスターばっかり、とかは無いからね。モンスターごとの特徴を考えながら、大量のモンスターに対応する能力が求められるんだ。レベルの上昇以上に戦闘経験として役に立つと思うよ。」
「レベルアップはどれぐらいまでできるんだ?」
「ここを拠点にしている冒険者はレベル30を超えている人が多いよ。」
「じゃあ、私も中級職を狙えるのかな。」
「もちろん。最低でもレベル30は超える予定だよ。ここなら転職もできるから心配しないで。」
モーリンだけは標準職のため、そこを気にしてたみたい。
「俺やモーリンのレベル上げはどうするんだ?」
「もちろん、皆と一緒に戦ってもらうよ。ただし、遠距離攻撃用の武器をこちらで用意しとくから心配しないで大丈夫だよ。」
そこにソニアがやって来た。
「皆さま、夕食の準備が整いました。食堂にお越しください。」
「美味しい!」
「こんなの初めて!」
「うめぇ!」
みんなが口々に料理を讃える。
食事が一段落すると、
「喜んでもらえて良かったよ。
ソニア、ムラーノを呼んできて。」
「承知しました。」
「料理を担当してくれているムラーノだ。彼の料理は最高だろ。」
「ムラーノさん。素晴らしい料理をありがとうございます。王宮でもここまで美味しい料理はなかなか出てきませんわ。」
「へっ?王宮?」
「良かったな、ムラーノ。王女様に褒めてもらえるなんて光栄だろ。」
「なんと!!
ウィリアム様のご友人とだけ聞いておりましたが、王女様まで!
ウィリアム様の近くにいると特別な経験ができますね。」
「明日からもみんなの食事を頼むよ。」
「腕によりをかけて作りますよ。」
「さあ、明日からハードスケジュールだから、今日は早めに休んでね。
部屋は
クラリス様、リディア。
エリュートロン、モーリン、カレン。
レオン、キース。
それぞれ案内するからついてきて。」
明日からはみんなでダンジョンだ。
頑張るぞ!
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