いざ夏休み
そして夏休み。
本日出発です。
食糧などは全部僕が準備するから、荷物は少なくするように言ってある。
「おはよー」
「「「「おはよー」」」」
待ち合わせ場所には既にカレン、レオン、モーリン、エリュートロンが待っていた。
「みんな早いね。」
「楽しみで早く来ちゃったよ。」
「あっ!クラリス様とリディアが来たよ。」
クラリス王女とリディアもすぐに来た。
「やべ!俺が最後かよ。」
キースも予定時間より早く来た。
「全員そろったな。馬車はどんな感じなんだ?」
「もうすぐ来るよ。それともう1人、同乗者がいるんだ。ちょっと待っててね。」
「なかなか賑やかそうですな。」
「ようこそエイブラム先生。」
「あら、エイブラム様。お久しぶりですわね。」
「クラリス王女、お久しぶりです。まさかクラリス王女まで参加とは、驚きましたよ。」
「お父様が許可してくださったの。」
「ねえねえ、エイブラム様ってどういう方なの?」
モーリンがエリュートロンに聞いている。
「王都では著名な先生ですわ。今の王都の家庭教師はエイブラム先生の弟子が大半ですの。先生の先生にあたる方ですわ。」
「すごい先生なんですね。」
「今回のドラクロア領への移動にはエイブラム先生にも同行して頂きます。移動中はやれることが限られるからね。しっかり勉強に使う予定だよ。」
「どんだけ贅沢な先生を用意してるんだよ!」
レオンが驚きの声を上げている。
こういう反応をしてくれると準備した甲斐があったってもんだよ。
しばらくすると馬車が2台到着した。
「でけぇ!」
「なんですの、この馬は??」
「驚くのは中に入ってからだよ。
みんな、こっちの馬車に乗って!」
「全員ですか?さすがに1台にこの人数は無理があります。クラリス様をぎゅうぎゅうの馬車に押し込むようなことはさせられません。」
「心配せずに、とりあえず乗ってよ。
クレームは乗ってから聞くから。」
「「「「なんだこれ!?」」」」
「とりあえず、座ってよ。
移動しながら、色々馬車について説明するから。」
クラリス王女、リディア、エリュートロン、モーリン、カレン、レオン、キース、エイブラム先生、ウィル。
9人が乗っても十分余裕がある。
「さてと、たぶんみんなも色々と疑問があるだろうから、先に簡単に説明するよ。
これは快適性とスピードを極限まで高めた馬車だ。僕が個人的に採算度外視で作った世界に1つだけの馬車だよ。
馬はウォーホースというモンスターを使っているんだ。普通の馬とは比べものにならないスピードとスタミナがあるよ。
馬車の内部は魔道具のアイテムバッグと同じ空間拡張の効果があって、広々している。防音、防振動の対策もばっちりで動いているとさえ感じないよ。
更に僕らが乗っていない方の馬車には休憩中の馬と業者が乗っている。交代で休憩を取りながら夜間も走れるから、大幅に時間短縮ができる。
特にトラブルがなければ4日ぐらいで到着できる予定だよ。」
「くそ~。すべてが謎過ぎて、何から質問すればいいかわからねぇ。」
レオンが頭を抱えている。
「この馬車を売ってもらうことはできるのかしら?」
「残念ながら、無理だね。父上からも頼まれたけど、あまりにも特殊だからお断りしてるんだ。クラリス様の父上からお願いされても無理だよ。」
「そう。残念ね。」
ここであっさり引き下がるのがクラリス様のいいところだね。これで誰も頼めなくなったし。
「それでこの馬車はいつになったら出発するのかしら?」
「ふふ~ん♪もう走ってるよ。この快適性すごいでしょ。これなら移動しながら勉強するのも問題無いだろ。」
「とんでもない技術が詰め込まれてるな。この静かさ、振動の無さで走ってるとか信じられねぇよ。」
「これでは襲われてもわからないんのでは?」
「大丈夫。外には緊急通報装置もあるし、侵入を防ぐ結界も用意してあるよ。
そもそも走ってるこの馬車に追いつける乗り物は無いよ。
そもそもドラクロア家の紋章を掲げるこの馬車を襲うのは相当なバカだけだよ。」
「確かにな。」
「時間は有限だよ。さっそく勉強を開始しよう。エイブラム先生も宜しくお願い致します。」
「わかりました。短い期間ですが、皆さん宜しくお願いします。」
馬車での勉強会は順調で、休憩時間以外はみんな真剣に勉強に取り組んだ。
やっぱりエイブラム先生に教えてもらえる貴重な時間を無駄にしたくないって感じだった。
食事はウィルのアイテムボックスから出したけど、皆にはもう1つの馬車で用意をしているように見せかけた。
特にトラブルも無く、順調にドラクロア領、アデードに到着した。
街に入るのは時間がかかるので街の近くを通過するだけだけどね。
ここまで来れば、目的地ウィリアムの街までもう少しだ。
今回はクラリス王女が一緒だったため、父上や母上、エリック兄さんにアルガス兄さん、アルマが街の外まで出てきて、挨拶をするために待っていた。
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