スキル再現

見捨てられた地で色々実験してみた。

スキルは使えないけど、『失った』というよりも『引き出せない』って感じが近いかな。

体の中にはあるけど、それを外に出す方法がわからなくなってる感じだね。


剣技で試したら、意外と簡単に使えた。

剣技の初歩『スラッシュ』。

パッと見はただの上段斬り。

でもスキルなので、ちょっとだけ威力が高い。


何度も『スラッシュ』を意識しながら、上段斬りを試していたら、段々発動できるようになってきた。

次々といろんな武技系のスキルを試すと少しずつ発動するようになってきた。


身に付いたスキルは裏切らない!

いつも通りのモーション、いつも通りの力の出し方。何百回、何千回も使ったスキル。

体が覚えている。

スキルは発動すると、MP が減るので成功したのがわかるんだ。


でも魔法とか、特殊なスキルとかはまだ発動できない。

『体の動かし方』、みたいなわかりやすいヒントが無いのがネックだね。


武技系スキルの発動に馴れれば、次のステップに移ろう。それまでは武技系スキルを片っ端からマスターしていこう。

長剣、短剣、刺突剣、大剣、片手斧、両手斧、槍、短槍等々。

スキルは山ほどあるから、次から次へと試していけば、自然と馴れていけるだろう。


日が暮れる頃には武技系スキルはスムーズに発動できるようになった。

これは大きな前進だと思う。

次からは魔法にチャレンジしてみよう!



そして翌日の夕食後。

再び1人で見捨てられた地に行きました。


次は魔法にチャレンジ!


まずは水を出そう。

結果がわかりやすくて、安全だからね。


『水魔法』スキルレベル1

ウォーターボール

水の塊をぶつける魔法だ。


「ウォーターボール!」

そう口に出して、魔力を込める。

発動しない、、、


もっと魔力を込める。

普通ならレベル10の魔法を発動できる量の魔力を込めている。

発動しない、、、


もっともっと魔力を込める。

レベル10のが魔法、

2回分

3回分

4回分

5回分


ここで魔力が留まりきれず、解き放たれて、飛んでいった。

どっこぉぉぉーーーん

遠くで土煙が上がっている。



力業では無理みたい。

今度は丁寧に順を追ってやってみよう。


まずは魔力を水に変換するところから。

『生活魔法』に『給水』というスキルがある。飲み水を少し出すだけの魔法だ。

これを使った時の感覚を思い出しながら、魔力を操作する。


・・・できない。

そんな簡単じゃないよね。


転移陣を使ってダンジョンに移動。

生活魔法『給水』を使用。

転移陣を使って見捨てられた地に移動。

古代魔法のテスト。

このサイクルを何回も何回も繰り返した。


もうちょいでコツを掴める気がするんだけどな。


そうだ!

魔法を発動しながら転移陣を使ってみよう!


思いついたら、即実行。

転移陣の上に立って、『給水』を発動。

即座に転移陣も起動。

手から水を出しながら転移。


転移後も水が出続けている!

魔力操作に集中。

水を切らさないようにしながら、今の感覚を詳細に分析していく。

魔力の流れがダイレクトに感じられる。


今の感覚を参考にもう一度チャレンジ。

「生活魔法『給水』」

伸ばした手から水は、、、出ない。



それから毎晩、食後に魔法を使いながらの転移を繰り返した。


そして5日目。

水を出せるようになりました♪

光、火、なんかも出せるようになりました♪


でも、まだ単純に出すだけ。

複雑な加工はできていない。

これから練習だね。

どんどん出来る事を増やしていこう。

そのうち、飛行魔法やアイテムボックスも使えるようになれるかな。




見捨てられた地で魔法の練習をしている間も、昼間はちゃんと学園で勉強もしているんだよ。昼間もずっと練習をしたい誘惑に駆られるけど、ちゃんと我慢してるよ。


そんな中、教室にて。

ハワード先生が話し始めた。

「来週、校外研修を行う。3泊4日だ。

王都の近郊で野営をする。行軍の練習、夜営の準備などを体験してもらう。

テントは4人1組で張る。チームは事前に作っておけ。」


それだけ言って、先生は教室を出ていった。


「なぁなぁ、一緒にチーム組もうぜ。」

すぐにレオンが声をかけてきた。

「いいよ。残りのメンバーはどうするの?」

「そうだな。キースとノーマンに声をかけとくよ。」

「よろしくね。でも校外研修って何するの?レオン知ってる?」


「ウィルにとってはたいした事じゃないよ。万が一敵国に攻められた時に、貴族なら従軍しないといけない場合があるだろ。

でも、馴れてないとテントは張れない、保存食は食べられない、行軍についていけない、そういうトラブルを防ぐ為に、学生時代に体験させるのが目的らしいよ。

ウィルはドラクロア家だから、こんな演習は必要無いだろうけどな。」


「まぁね。でもみんなと泊まりで遊びに行くと思うと楽しみだね。」

「おいおい。そんなこと言ってるの先生に聞かれると叱られるぞ。」

「ハハハ、そうだね。でもせっかくなら楽しみたいから、色々準備しとくよ。」


来週が楽しみだね♪

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