カレンの今後


翌朝。

「おはよう。よく眠れたかい?」

「お、おはようございます。ここはウィル君の部屋?」

「そうだよ。まずは朝食を食べよう。

ソニア、用意して。」


「かしこまりました。」


今日の朝食は

クロカンブッシュと野菜たっぷりスープ、フルーツとヨーグルトのデザート。


「いただきます。」

一心不乱に食べ続けるカレン。



「美味しかったです。

こんなに美味しいご飯を食べたのは初めてです。ウィル君はいつもこんなに美味しいご飯食べているんですか?」


「食にはこだわりたいからね。

喜んで食べてもらえたなら良かったよ。」


「あの、、、昨日はすいませんでした。

街に着いたところで気を失ってしまって。」

「大丈夫だよ。

ソニアに世話をお願いしたからね。」


「ソニアさん。申し訳ございませんでした。」

慌てて頭を下げるカレン。


「お気になさらずに。」

スマートに一礼するソニア。



「さてと、カレン。

少しまじめな話をいいかな。」

「な、なんでしょうか?」


「カレンはこれからの学園生活をどうしたい?

正直、クラスの授業についていけないんじゃないかと心配してたんだけど、昨日のカレンを見てて、ちゃんとした指導を受ければ、十分やっていけると思うんだ。」


「私、授業についていけ無くて、でも、何をどう頑張ればいいか、わからなくて。。。

私もA組に見合った成績を取りたいです!

落ちこぼれを卒業したいです!」


「ならさ、僕に指導を任せてみないかい。

学園でトップクラスになれるよ。」

「でも、、、ウィル君にそんなに迷惑をかけられないし。。。」


「大丈夫だよ。全部を僕が教えるわけじゃないから。」

「???。どういうことですか?」


「クラスには優秀な人がたくさんいるんだよ。それぞれ得意分野を教えてもらえばいいんだよ。」


「そんなことできるんですか?」


「やるんだよ。カレンが。

大丈夫。僕に作戦があるから。

明日、僕の言う通りに動いてね。」


「ウィル君の言う通りにすれば、みんなに教えてもらえるんですか?」

「いや、成功するかどうかはカレン次第だよ。説得するのはカレンの言葉だ。気持ちをちゃんと伝える伝えないと、人は動かないよ。」


「わかりました。やります!

やらしてください!」


「よし、そのやる気は明日発揮してね。

今日はカレンの冒険者登録をしておこうか。

昨日のドロップアイテムを売らないとね。」


「えっ、あっ、そうですね。

ごめんなさい。明日ですよね。

冒険者登録ってやった方がいいんですか?」


「そうだね。今後もダンジョンには行くことになるはずだし、登録しといて損はないよ。

登録しておけばドロップアイテムを売るのもスムーズだよ。

朝ごはん食べ終わったら、制服に着替えて出発しよう。」


「制服に着替えるんですか?」


「学園の制服を着ているってことは貴族だって証明だよ。貴族にわざわざ喧嘩を売る馬鹿はいないからね。トラブル回避の為に着るんだよ。」

「わかりました。宜しくお願いします。」



2人で制服を着て、冒険者ギルドに向けて寮を出発した。

「ウィル君は冒険者登録を既に済ませてるんだよね?」

「そうだよ。冒険者としては先輩だね。

登録とか、ドロップアイテムの売却とかは僕に任せてよ。」


王都の冒険者ギルドはかなり大きかった。

冒険者の街バルベンのギルドよりは少し小さいけど、国内最大級だろうね。


中に入ると、窓口がたくさんあった。

近くにいた冒険者に冒険者登録窓口はどこかを尋ねたら、丁寧に対応してくれた。

「冒険者って、もっと乱暴なイメージでしたけど、とても腰が低いですね。」

「貴族相手に乱暴に振る舞うバカはそうそういないよ。そのための制服だからね。」


教えてもらった窓口に着くと、

窓口のおばちゃんが、

「今日はどうされましたか?」

と、やはり丁寧に尋ねてきた。


「彼女の冒険者登録とドロップアイテムの売却をしたいんだけど。」

「わかりました。こちらの書類に必要事項を記入してください。

ドロップアイテムの評価は2人で半々にして宜しいでしょうか?」

「僕はいいや。今回のドロップアイテムは全部彼女に入れてあげて。」

「承知しました。では彼女の登録を行っている間に、こちらのカードを持って、あちらの買取り窓口にドロップアイテムを出してきてください。」


わかりました。

書類を提出し終えたカレンと一緒に買取り窓口に行った。

まだ午前中だから、窓口も空いているね。

並ばずにすぐに対応してくれた。


「ようこそいらっしゃいました。

こちらにドロップアイテムを出してください。」

僕は次々とカバンからドロップアイテムを取り出していく。

「泥んこダンジョンですね

低レベルモンスターのアイテムですが、なかなかの数がありますね。

学園生には不人気のダンジョンだから、あそこで狩ってきてくれると助かりますよ。

個人的には汚れることを除けば、良い戦闘訓練になるダンジョンだと思いますよ。」


「ええ、僕も腕を磨くなら、篝火ダンジョンよりも泥んこダンジョンだと思います。」


「アイテムの審査に少しお時間を頂きます。完了するまで、あちらのベンチでお待ちください。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る