見捨てられた地への準備
「本当に古代魔法考察なんて選んだのか?」
「未知への探求だよ。面白そうじゃん。」
「いやいや、成績落とすぞ。」
「なんで?」
「未知への探求だろ。成果が出ないんだよ。だから、歴代、成績が悪い生徒が最低限の評価を確保するために受講する授業なんだよ。
ウィルであっても満点は取れないぜ。」
「心配してくれているんだ。レオンは優しいね~。」
「おいおい、ふざけてる場合かよ。」
「全然ふざけてないよ。簡単なことだからね。古代魔法を復活させたら間違いなく満点でしょ。」
「マジか、、、」
やっぱり『古代魔法考察』は不人気授業らしい。なにせ担当しているダリア先生も、まだ何の成果も出せていないため、選択した生徒も成果を出せない。
レポートさえ提出すれば、最低限の点数は貰えるが、決して上位クラスを狙える点数にはならないってことらしい。
僕の魔法スキルは当然、世界トップクラス。
その僕がチャレンジするんだ。
僕が無理だったら、不可能って結論が出せるだろう。
そんなレポートを出す気はないけどね。
まずは見捨てられた地への移動手段の確保だ。
ドラゴンのテイムを考えている。
ドラゴンの背に乗っての移動なら、速いし、襲ってくるモンスターも返り討ちにできる。
しかも背中にポータブル転移陣を設置すれば、ずっと乗っておく必要もない。
しかし、問題もある。
スキル使用不可。
見捨てられた地に入った瞬間にドラゴンが指揮下から外れて襲ってくるかもしれない。
転移陣も使用できないかもしれない。
幾つか保険をかけて挑戦してみよう。
まずはドラゴンだけど、色んな状況に対応できる知能の高さを持った種族がいいな。
エンシェントドラゴンにしようかな。
竜種の中で一番知能が高いってなってたし。
何頭か用意して、見捨てられた地との境界付近で色んなテストをしてみよう。
1頭の背中にポータブル転移陣を設置しておけば、行き来も簡単だし。
大陸からどれぐらい離れているかわからないから、時間には余裕を見て進めたいね。
誰も帰ってきてないから、情報は何も無い。
古代魔法を自分で生み出す方法も研究を開始したけど、すぐに成果を出せるほど、簡単じゃないってことはわかった。
スキルによる魔法はスムーズに発動するから、途中を変更するとか、一部を省略するとか全然できなかった。
そんなに簡単にできるなら、既に誰か実現しているはずだよ。
とりあえず、古代魔法を自力で復活させる練習は継続しながら、見捨てられた地への到達を第一目標にすることにした。
今日から準備を整えて、来週末ぐらいに最初の挑戦をしてみたいな。
ということで、いつも通りダンジョン街の自宅でみんなと夕食を食べた後、ダンジョンに乗り込むことにした。
エンシェントドラゴンは27~28階に住む上位のドラゴンだ。
僕もモンスターをテイムするのは初めてだから、カシムとソニアに付いてきてもらうことにした。
「ウィル様。モンスターをテイムするのはどのように行うのですか?」
「テイムスキルを使いながら戦うだけでいいみたいだよ。ある程度ダメージを与えるとテイムできるみたい。
でも、そうするとテイムできた時にはドラゴンは瀕死になっているかもしれないから、カシムとソニアで守って回復させといて。」
「エンシェントドラゴンって最強クラスのドラゴンですよね。それを守ってあげろ、って感覚がおかしくなりそうです。」
「仕方ないよ。久しぶりだけど、これがウィル様の普通だよ。」
「ウィル様が学校に通うようになって、平穏な日常が送れると思っていたのに。」
「ソニア、諦めよう。」
僕が色々なドラゴンをぶっ飛ばしている間に、2人が失礼な会話をしてる。
「そこ、戦闘に集中する。
このエンシェントドラゴンがテイムできそうな感じだから、そっちに飛ばすよ。
テイムできたか、まだわかんないから、気をつけて。」
「了解!」
ドラゴンの巨体がふっ飛んでいくのをカシムが盾で受け止める。
傷だらけのドラゴンがうっすら輝き、ドラゴンの意思のような物が伝わってきた。
「テイム成功だ。とりあえず回復させて、死なないようにしといてね。」
「お任せください。」
ソニアが回復アイテムをドラゴンに振りかけると、全身の傷が塞がっていく。
大丈夫そうだね。
テイムのコツも掴んだ。
HP 1割を下回るぐらいが成功ラインみたいだ。
死なないけど、まともに動けないぐらいまでボコボコにするだけだ。
失敗しても特に問題無いし。
どんどんやってみよう♪
そして、夜も更けた頃。
僕の前に頭を垂れる10頭のエンシェントドラゴン。
スキルの影響で意思疎通もスムーズにできる。
どうやらスキル『モンスター会話』レベル10がいい仕事をしてくれているみたいだね。
エンシェントドラゴン曰く、知能が高いから、明確な言語になっているらしい。
知能が低いと、腹へったとか、戦いたいとか、本能的な意思表示だけらしい。
『マスターよ。我々はどうすればいい。』
「今度手伝って欲しいことがあるんだ。それまでは特にやることも無いから、自由にしてていいよ。」
『わかりました。ですが、この部屋で待機していると我々も負傷し、場合によっては数を減らすかもしれません。』
「そうか。じゃあ移動しよう。
ちなみに、皆は何を食べるの?」
『ダンジョン内にいる限り、何も食べる必要は無い。ダンジョンの外にいる場合はモンスターか人間等を食べる必要がある。』
「人間は食べ無いでね。それから、モンスターがもう少し弱いフロアに移動するよ。
そこなら大ケガは無いだろうからね。」
24階に竜の巣を作りました。
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