クラス発表

翌朝。

ソニアと一緒に登校すると、校庭に人集りが出来ていた。

クラス分けが貼り出されている。


クラス分けの発表は、成績順に名前が書かれ、名前の横に得点まで公表されてしまう。

クラス毎に紙が分けられており、皆、自分の名前を探して右往左往している。


自分の名前を発見し、そのクラスに喜ぶ者、悲しむ者、悲喜交々だ。

クラス分けを見に来ているのは新入生だけではない。上級生も今年の新入生はどんなものかと見に来ている。



たくさんの生徒が入り乱れるなか、ウィルは迷わず、A組の発表用紙の前に来た。


1 ウィリアム=ドラクロア 400点

2 クラリス=プルミエール 391点


「さすがですね、ウィル様。満点で1位ですよ。オデロ様に良い報告ができますね。」

「順位を落とさないように精進しないといけないね。」


そんな話をしながら、ソニアと別れた。

新入生は講堂に集まり、クラス毎に並ぶことになっている。

A組の列に並んで待っていると、僕の面接を担当した高齢の男性が壇上に上がった。


「みなさん。入学おめでとう。

学園長を務めますエドガー=マードックです。

これから宜しくお願いします。


さて、みなさんは本日から3年間、この学園で勉学に勤しむことになります。

その結果が人生を左右することになるでしょう。

学園で無能のレッテルを貼られた人間は、99%、そのレッテルを返上すること無く、人生を終えることでしょう。

逆に才能を開花させ、優秀な成績を修めた者には成功者としての人生が待っています。


人生を賭けた、たった3年を頑張れない者に成功などあり得ない。

良い人生を送りたければ、死に物狂いで頑張ってください。

私が申し上げるのはそれだけです。


みなさんが笑顔で卒業式を迎えられることをお祈りしております。

それでは、良い学園生活を送ってください。」


なかなか、おっかないことばっかり言う学園長だね。


「続いて入学生代表クラリス=プルミエールです。」


可愛い女の子が登壇した。

金髪の髪を綺麗に編み込み、大きな瞳には強い意志を宿している。

抜群のスタイルに整った顔立ち、まるで絵画から飛び出したかのような美しさだ。


「ただいま紹介に預かりましたクラリス=プルミエールです。

これから共に学ぶ皆さんを前に宣誓致します。

私はこれからの3年間、全身全霊、学園生活に取り組みます。


エール王国は若い貴族の子女が平等に学ぶ場として、この学園を作りました。

学ぶ機会は平等にあります。

それを活かすも殺すも私たち次第です。

私はこの中の誰よりも学び、最高の結果を持って、胸を張って卒業したいと考えています。

みなさんも同じ覚悟でしょう。

覚悟の無い者は去ってください。

覚悟のある者は共に学びましょう。

栄光は自らの手で掴み取るものです。

共に栄光の道を歩みましょう。」

クラリスは一礼をして壇上から降りていった。



その後、クラス毎に教室に移動することになった。

最初に移動するのは。もちろんA組だ。

教室に入ると、座る席も成績順で決まっているみたいで、左端の一番前の席が指定されていた。

隣はクラリスだ。

可愛い女の子が横にいるのは嬉しいよね。


ソニアにもらった資料に、クラリスはA組候補の筆頭に書いてあった。

エール王国の第二王女。

失礼の無いように!と注意書きがされていた。


A 組の人数は40人。400人程度の生徒がこの席を狙っている。上位10%の狭き門。


前に僕に絡んできたマルコ=プルートウもA組にいた。凄い顔で睨んできたけど、軽く無視をしておいた。


A組は基本的に上位貴族の子どもが多い。

特に入学直後は家での学習が全てのため、差は歴然だ。


とりあえず、クラスメイトを全員鑑定し終えた。名前、職業、レベルだけに絞った、簡易な鑑定だけどね。


何人かはソニアのA組候補のリストに載っていない生徒もいた。


特筆すべきは、

カレン=フラジール

勇者(魔剣士偽装中)

レベル3


この世界の勇者がいたね。

しかも魔剣士偽装中で、レベル3。

いくら勇者でも、レベル3ではA組になる実力は無いだろう。

少し調べた方が良さそうだね。


そんなことをしていると、先生が入ってきた。


「A組の担任をするハワードだ。宜しく頼む。」

「副担任のカタリナです。宜しくお願いします。」


「今日は簡単なオリエンテーリングをして終わりだ。本格的な授業は明日からになる。

基本的に5日授業して2日休みというサイクルになる。授業に真面目に取り組む、予習・復習をするのは当たり前だ。

放課後と休日をどう過ごすかが重要だ。

勉強をする。

レベルを上げる。

スキルを磨く。

社交の輪を広げる。

貴族として、自分の将来に役立つ時間の使い方をするように。」


ハワード先生が厳しい顔で注意を促す。


「カリキュラムについては私から説明します。

午前中はクラス単位で教養科目が行われます。昼食後、午後からは選択科目となります。

例えば、剣術、攻撃魔法、用兵術、徴税、ダンジョン攻略、法律、など多岐に渡る科目が用意されています。

その中で、自身の成長に必要なものを選んでください。

1年の前期と後期に別れて選択科目は行われます。前期の選択科目の登録は今週中に提出してください。

何か質問はありますか?」


僕は手を挙げた。


「選択科目を選ぶ上で制約はありますか?

例えば、槍士は剣術を選択できないとか。」


「本人が希望すれば、どの科目も選択可能です。ですが、自身の役に立たない技能に時間を使ったり、適性の無い科目で低い評価を受けることは無意味ではないかしら。」

「ありがとうございます。」


「他に特に質問が無ければ、学園の施設案内に移る。

選択科目に何を選ぶかは重要だ。質問があれば、いつでも聞きに来てかまわん。

では、全員、私について来い。」

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