クラス分け試験
筆記試験の会場を出て、面接会場に移動しました。
大きな待合室があった。
その先に面接室が多数用意されている。
そこに受験生が集まって、順番に呼ばれていくシステムみたいだね。
僕は筆記試験を早めに出たから、まだ待合室にも人がいない。
待合室に着いたら、そのまま面接室に案内された。
筆記試験を最後まで残っていると、この待合室でけっこう待つことになるんだろうね。
「どうぞお入りください。」
「失礼致します。」
「では受験票を出して、お名前を教えてください。」
僕は受験票を試験官の男性に渡した。
なかなか高齢の男性だね。
「ウィリアム=ドラクロアと申します。」
「あのドラクロア家の。
君の活躍を期待しているよ。
さて、本題の面接に入ろう。
面接は成績に反映されないから気楽に答えてくれればいいからね。」
「よろしくお願い致します。」
「まずは職業とレベルを教えてください。」
「標準職『フリーター』です。レベルは意味がありません。」
「なっ、、、いや、失礼しました。
明日の職業系統別の試験はどの系統を受けますか?」
「我が家は武門の家です。選べるのなら、戦闘職コースをお願い致します。」
「やはり、そうなりますか。
ですが、低レベルで戦い続けるのは危険が伴いますよ。宜しいのですか?」
「ドラクロア家の戦いに安全の約束されたものなどありません。」
「わかりました。では戦闘職コースとして受付ます。御武運をお祈り致します。
明日も本日と同時刻に受付を済ませてください。」
翌朝、受付を済ませると、
戦闘職コースの参加者はグランドに移動することになった。
学園に通う学生の、最も参加者が多いのが戦闘職コースだ。
貴族とは有事に先頭に立って戦う義務を負う存在だ。
当然ではあるが、貴族である以上、戦闘での能力を求められることになる。
もっとも、全員が本当に前線に立つ訳ではない。
内政担当もいれば、兵站担当もいる。
全員がただ戦うだけという単純な世界では無いってことだね。
たくさんの受験生が見つめるなか、試験官が現れた。
ゴリゴリのマッチョだ。
「戦闘職コースの試験官を務めるウルフだ。
これから試験の内容を説明する。
試験の内容は簡単だ。
あそこに並んでいる人形模型に一度攻撃をしてもらう。あの人形模型はダメージを測定する魔道具だ。測定されたダメージが得点となる。
魔法、物理攻撃、どちらでもかまわん。
ただし、装備品による差を避けるため、武器はこちらが用意した物を使用してもらう。
アクセサリーや防具などで底上げするのも禁止だ。そういった装備品はすべて外してくれ。
測定する前にチェックを行う、不正行為は筆記試験同様、大きなペナルティがある。
くだらないことはするなよ。
ここまでで何か質問はあるか?」
何人かの受験生が手を挙げた。
いくつかの質問が出た。
人形模型は壊れないのか?
答 壊せるものなら壊してみろ。
範囲魔法、範囲攻撃スキルも可能か?
答 他の受験生に迷惑をかけない範囲で可。
多段攻撃スキルも使用可能か?
答 可能。ただし、連続攻撃は合算ではなく、その中で最大のダメージの一撃のみを測定する。
自己強化スキルは使用可能か?
答 可能。ただし、他者に強化してもらうのは不可。
質問はだいたいこんな感じだった。
測定器を壊してみたいという欲求に駆られたけど、ちゃんと自制した。
時々、派手な技や魔法が出されては、歓声が上がっていた。
僕には『人間鑑定レベル10』があるから、見ただけで、名前と職業、レベルみたいな基本情報はわかってしまう。
本当はもっと詳細な情報が手に入るけど、自制している。
オオオオオオオ!
また歓声が上がった。
前に僕に絡んできたマルコ=プルートウが闇属性の派手な一撃を放ったからだ。
しばらく待っていると、僕の順番がきた。
一撃のダメージの大きさなら、基本的には魔法が有利だ。魔法使いは溜めが必要で魔力以外のステータスが低いから、守る必要があるけど、それでもパーティーに入れるのは、与えるダメージが大きいからだ。
しかし派手過ぎる魔法は使いたくないので、今回は物理攻撃にする。
武器は長剣、槍、斧、棍、弓、ロッド、杖など様々用意されている。
共通しているのはすべて物理攻撃力1、魔法攻撃力1のどちらかしかないということ。
僕は両手斧を手に取った。
斧なんて全然使わないけど、一撃勝負なら、両手持ちの武器の方が威力が上がる。
それに、日頃は使わないけど、斧スキルもカンストまで育っているので、威力は十分高いはず。
僕は人形模型の測定器の前に立ち、斧をそれっぽく構える。
まずは測定器の強度を調べる。
その強度から、壊れない範囲での攻撃スキルを検討する。
大技を使えば、測定器も斧も破壊してしまう。
仕方ないので、スキルっぽく、通常攻撃をする。
無駄に溜め時間なんか作ったからね。
これで試験は終了。
明日朝、登校すれば、クラス分けが貼り出されていることになっている。
「どんな結果になっているか楽しみだね。」ってソニアに言ったら、
「ウィル様なら、どうせA組ですよ。A組に入りそうなメンバーを調べてリストを作っているので、目を通しておいてください。」
なんか言い方がひどいけど、信頼ととらえていいんだよね?
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