学園編

結果報告

僕が家を出て、早2年。

家を出てからの成果を報告するために、カシム、ソニアと一緒に実家に帰ってきた。


「あっという間の2年だったね。」

「お館を出たのが、昨日のことのようです。」

「その時には、まさか銃を射ちまくる生活を送るとは思ってなかったわ。」


「でも、寂しくなるね。カシムもソニアも本来の役目に戻っちゃうんだよね。」

「このままウィル様と一緒にいられないか、相談してみます。」

「私もお父様を通じてお願いしてみるわ。」


「ありがとう。でもいいの?騎士になるのがカシムの夢だったんじゃないの?」

「そうですね。ではオデロ様の許可が出ましたら、ウィル様の騎士にして下さい。」

「もちろん!カシムがいると頼もしいからね。」



そんな話をしながら、領主の館に到着した。

普通は馬車で数日かかる道のりだけど。

ウィルの転移魔法を使っているので、町外れから、歩くだけの簡単な帰省だった。


屋敷に到着すると、カシムやソニアと別れて、1人で父上の執務室を訪れた。


コンコンコン

「ウィリアムです。」

「入れ。」

「失礼致します。」


「ウィリアム、この2年、よくやってくれた。お前の作った街によって、我が領内は活気に満ちている。」

「お褒め頂き、光栄です。」

「お前の活躍は誰もが認めるところだ。ドラクロア家の当主として、私も鼻が高い。」


「まだまだ街は発展しますよ。」

「頼もしい言葉だ。期待して待っておこう。

ところで、ウィリアムよ。

お前は今後、何を目指すつもりだ。」


「そうですね。父上やエリック兄さんの力になれるように精進したいと思います。」


「聡いな。時には子供らしさも必要だぞ。

まぁいい。

今後の予定を話しておこう。

エリックの結婚が決まった。

既にエリックとマリアンヌは先に王都に入っている。

我々も3日後に王都に向けて出発するぞ。」


「わかりました。ちなみにお相手はどなたですか?」

「フルブライト公爵のご令嬢、ローザリア嬢だ。」


「エリック兄さんが選んだ相手なら間違いないでしょうね。」


「そうだな。王都に着けば、結婚式が行われる。国王陛下も参加される予定だ。失礼の無いようにな。」

「もちろんです。」


「その後、お前はそのまま王都に残り、学院に通うための準備をするように。」


「わかりました。学院に通うのは今から楽しみです。」


「楽しみにする余裕は無いぞ。普通は入学に向けて、家庭教師に勉学を教わるのだが、お前はこの2年間、家庭教師がついていなかったからな。入学までに急いで準備せねばならん。」


「父上、ご心配は無用です。

エイブラム先生に紹介して頂いたリィナに教わっておりました。

既に学院卒業レベルには達していると太鼓判を頂いております。」


「なんと!

さすがだな。そんなところも抜かりが無いとわな。

まぁいい。お前は学院が始まるまで好きに過ごせばいい。」


「わかりました。では王都に出発する準備を致します。」


「ああ、抜かりの無いようにな。

それとアルマのところにも顔を出してやってくれ。

先日、『就職の儀』を終えたのでな。

話したくて仕方ないみたいだからな。」


「僕もアルマと会いたかったから、すぐに会いに行きますよ。」




アルマの部屋に到着。

ノックをしようとすると、


ダダダダダダダダ


「ウィル兄さま!お久しぶりです!」

飛びついてくるアルマを受け止める。


「久しぶりだね。アルマ。元気にしてたかい。」


「 もちろん♪ウィル兄さま、なかなか来てくれないから、寂しかったよ。」


「すまなかったね。でも2年間、外に出たことで僕も少しは成長できたと思うしさ。許してよ。」


「少しじゃないよ!ウィル兄さまは別人かってぐらい大人っぽくなってるよ。」


「ハッハッハッ、ありがとう。

アルマもすごく成長したね。

『就職の儀』も済ませたんだろ?」


「そうなの!

私がどんな職業になったかわかる?」


「それだけ嬉しそうに言うってことは、当たりの職業になれたってことだな。母上と同じ回復系の職業かな。」


「正解!さすがウィル兄さま♪

お母様と同じ『ハイヒーラー』になれたの!」


「そうか!それは良かった!

じゃあ、お祝いに今度ダンジョン産の回復職向けのアイテムをプレゼントするよ。」


「やった!ウィル兄さま大好き!」


「何か希望はある?」

「ウィル兄さまから頂けるなら、なんでも嬉しいですわ♪」


「う~ん。アルマはレベル上げはするの?」

「はい。学院入学までにドラクロアダンジョンで騎士団の方に手伝って頂いてレベル上げをする予定です。」


「じゃあ、その時に役に立つアイテムをプレゼントするよ。ダンジョンは危険なところだからね。」


「ありがとうございます、ウィル兄さま。」

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