幕間 メルのお祭り

「ミルちゃん、どうしたの?

仕事部屋に呼ぶなんて珍しいね。」

「今日はお仕事の話をしたいから、ここに来てもらったの。」

「そうなんだ!お姉ちゃんになんでも任せなさい。」


「良かった。お姉ちゃんに任せたいお仕事があったんだ。」

「どんなお仕事なの?」

「お祭りの企画と運営だよ。

もうすぐウィリアムの街が出来て1年になるでしょ。だからイベントをやろうという話になったの。

自由に動けて、どんな部門の人にも声をかけられる立場で、自分自身でも出演者として盛り上げられる。

お姉ちゃん以上の適任者はいないと思うの。」


「よーし、お姉ちゃん頑張るよ!

・・・で、具体的に何をしたらいいのかな?」

「そうね。ミレーヌさん、トーマスさん、ムラーノさん、とかに相談してみたらどうかな。」

「わかった。行ってくるね!」



まずはムラーノさん。

「こんにちは、ムラーノさん、相談したいことがあるんですけど。今いいですか?」

「どうしました。今は休憩時間なので大丈夫ですよ。」

「今度、街でお祭りを計画してるんです。ウィリアムの街、初めてのお祭りなんで、ムラーノさんのご意見を聞かせてもらえませんか!」


「お祭りと言えば、屋台ですよ!

いつもとは違う雰囲気で食べる屋台グルメは格別ですよ。」

「確かに、お祭りの日に屋台で買い食いするのは楽しいですよね。」

「ええ。せっかくなら最高の屋台グルメを作ってみたいですね。」

「ムラーノさんが作る屋台グルメか~。私も食べたいです♪」

「ありがとうございます。料理人たちにお祭りの準備をするように言っておきますよ。詳細が決まったら教えてください。」

「わかりました。よろしくお願いします。」



次はトーマスさん、

「こんにちは、トーマスさん、相談したいことがあるんですけど。今いいですか?」

「どうしたんですか?冒険者ギルドにいらっしゃるなんて珍しい。」

「今度、ウィリアムの街でお祭りを計画してるんです。トーマスさんって、そういうことに詳しそうなので教えて頂こうと思いまして。」


「詳しいわけではないですが、私の考えをお伝えしましょう。」

「お願いします!」

「ウィリアムの街はドラクロアダンジョンのある冒険者の街です。

冒険者達は武道会などが開催されると盛り上がりますよ。観戦や賭けの対象として、一般市民にも人気ですね。」

「武道会ですか!いいですね!

武道会を開催するにはどうしたらいいんですか?」


「冒険者達を集めるのは簡単ですよ。私の方で情報を流せば、すぐに集まります。

後は景品ですね。武道会には豪華商品はつきものですからね。それが豪華であればあるほど、冒険者達は盛り上がります。」

「豪華商品ですね!

わかりました。ウィル様に相談してみます。

冒険者としても活躍されているウィル様なら、きっと冒険者さん達が喜ぶ品を用意してくださると思います。」


「では私の方で武道会の運営方法は検討しておきます。景品が決まったら教えてくださいませ。」

「わかりました。よろしくお願いします。」



次はウィル様だね。

「ウィル様、ご相談があるんですけど。」

みんなで晩ごはんを食べている時に相談をしてみた。


「どうしたんだい?」

「今度、街で武道会を開く計画をしているんですけど、優勝の景品に相応しいアイテムないですか?」

「優勝商品か~。多少豪華にしないとね。」

「はい!トーマスさんも豪華な方がいいって言ってました。」


「それなら、このオリハルコンの剣なんてどうかな?珍しいんじゃない。」

「珍しい剣ですか。いいんですね♪」


「「ダメ~(です。)」」

ミルとカシムが制止した。

「お姉ちゃん、景品はミレーヌさんに相談して。ウィル様はたぶんとんでもない景品を用意するからダメよ。」

「失礼しちゃうね。ちゃんと考えてるよ。」


「残念ながら、オリハルコンの剣はかつての勇者が使ったような伝説の武器です。そんな武器が出品されたらパニックがおきます。」


「大袈裟だな~。オリハルコンぐらいで。」

「ウィル様、オリハルコンは伝説の素材です。各国が国宝級に大切にしている武器に使われているぐらいです。」


「とにかく、お姉ちゃん。相談相手はミレーヌさんね。わかった?」

「は~い。」



翌日ミレーヌさんに相談に行きました。

「は~、ウィル様はオリハルコンの剣を景品にしようとしたの?」

「そうです。ダメなんですよね?」

「止めてくれて良かったわ。下手すれば戦争の原因になりうるレベルの武器よ。」

「そんなにですか。。。」


「まぁ、ウィル様だからね。

景品はこちらで用意するわ。ちょうどいいレベルの武器や防具、アクセサリーを用意しておくわ。」

「ありがとうございます!」


「それと、私からもメルにお願いしたいことがあるんだけどいいかな?」

「なんでもどうぞ!」

「街の職人達の作品発表の場が欲しいんだ。どうしても性能が良過ぎて街から出せない製品が多いからさ。みんなのモチベーション維持につながるようなイベントにしたいの。」

「どんな感じで発表するんですか?」


「理想はコンテストとかかな。自分の作品をウィル様に見てもらえたら、みんな喜ぶと思うし。

ただ、普通に性能を競い合うと大惨事になりそうだから、ネタに走った面白装備ってことにしようかな。

それなら一般の人も観客として楽しめそうだし。」

「いいですね♪ぜひ、やりましょう!」


こうして準備は着々と進んでいった。

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