ハイレベルな街
翌朝、再びバルベン家に集合。
マリベルさん、メル、ミル、ルル。
それ以外が7人いた。
ちょうどいいかな。
「おはよう。朝から集まってもらって悪いね。」
「おはようございます、ウィリアム様。
今日は何をされるおつもりですか?」
「とりあえずついて来て。
移動しながら説明するよ。」
僕は歩きながら、説明する。
「せっかくだから、みんなのレベルを上げようと思ってね。ただ昨日上げた3人はわざわざダンジョンの外に行ったけど、今日はダンジョン内でできる簡易版。
上げられるレベルも少ないけど、費用対効果はかなり良いはず。」
転移陣を利用して20階に移動した。
そこにはドアがズラリと並んでいる。
「このドアを開けて、中に入らずに、この『デスハウリング』を中に1人1個放り込む。
1回の適正人数はだいたい10人ぐらいだね。
しばらく待つと中のモンスターが全滅しているはずだから、中に入ってドロップアイテムを集める。それでおしまい。
だいたいレベル50~55ぐらいに上がる予定だよ。
しかも、ドロップするアイテムが『デスハウリング』の原料になるから、無限に繰り返せるよ。
上げられるレベルが50ぐらいだから、伝説職には成れないけど、上級職にはみんな成れるね。
それと、1回の人数が15人を越えるとレベルが50に上がらない可能性があるから止めてね。」
ざわざわざわ
「マリベル様、ウィリアム様は何をおっしゃっているのですか?」
「気にしなくていいです。とにかく指示に従ってください。」
「わかりました。」
あっという間にみんな上級職のレベル50オーバーになりました。
「何が起きたのでしょうか?」
「深く考えてはダメよ。落ち着きなさい。」
「良かった、良かった。また昼過ぎに来るから、住民のレベルアップの順番を決めといて。1日に50人ぐらいかな。6日あれば全員終わらせられるんじゃない。」
全員が上級職レベル50の街。
どんな感じになるか楽しみだね。
そして1週間後、
僕、カシム、ソニア、マリベル、メル、ミル、ルルの7人で夕食を食べてる。
「ミル、みんなどんな感じになってる?」
「ダンジョン街も落ち着いてきました。」
「ダンジョン街?」
「そうです。住民は『ダンジョン街』と呼んでいます。」
「たしかに呼び名が無いのは不便だよね。」
「いつの間にか、ダンジョン街と呼ばれるようになっていました。いかが致しますか?」
「好きに呼んだらいいんじゃない。」
「では、そのまま『ダンジョン街』と呼びましょう。
住民は農業関係の職業が多く、作物の成長スピードを上げたり、収穫量を上げる、品質を良くするスキルなどを取得しています。想定よりも早く、自給自足は達成できそうです。」
「順調そうで良かったよ。問題は無いの?」
「ゼロではありません。今一番問題になっているのは、スキルをいかせない職業の者達の不満です。
農業関係の職業の者は上級職のハイレベルになった恩恵を大きく受けていますが、何の恩恵も受けていない職業もあります。
こちらが住人の職業一覧です。」
「ありがと。」
ざっと目を通していくと、確かに今のダンジョン街では何もできない職業も少なからずいるね。
採掘系は鉱山が無いとダメ。
鍛冶や錬成関係も同じだね。
漁師系は海や川が無いとダメ。
羊飼いなんてのもあるけど、羊がいない。
機織り、服飾関係も今は何もできないかな。
他にも色々いるね。
「従来、みんなのレベルが低かった時は職業による差もほとんど無かったので、あまり気にされなかったのですが、レベルが上がったことによって職業による差が大きくなったことが原因のようです。」
「そういう弊害もあるんだね。」
「贅沢過ぎませんか。今までよりもレベルが上がってるんだから、適正が無くたって、以前の自分よりもできることは増えているんだから。」
「ソニアの意見ももっともだけど、人の欲にはキリがないし、せっかくなら自分のスキルを活用したいと思うのは自然なことだよ。」
カシムが悟ってるね。
本当に見習い騎士なの?
落ち着き過ぎだと思う。
「いいんじゃない。どんどん希望は出してよ。街としても、住民のスキルが活用される方が良いし。」
「確かにおっしゃる通りですが、解決策はあるんですか?」
「とりあえず、海の階層と、鉱山の階層を作って、家畜や作物も種類を増やすよ。」
「えっ?」
「ん?なんか間違えてた?」
「いえ。ただ、あまりに簡単に海や鉱山を出すとおっしゃるので、驚いただけです。」
「確かにね。ダンジョンポイントはけっこう使うから、今度補充しとかないと。」
「ウィル、おそらくズレてるよ。」
「?」
カシムが指摘してくるけど、何がズレてるのか、よくわからないね。
「今、
1階が居住スペース、
2階が農業スペース、
3階が畜産スペースになってるよね。
これから追加で
4階を海産スペースにして、
5階を鉱山スペースにしようと思う。
他に何かあるかな?」
ルルの手が上がる。
「はい、ルルちゃん。」
「森はどうでしょうか。」
「採用!」
「やった~♪」
「ちょっと待ってください。ダンジョンの外は森です。わざわざダンジョンの中に作る必要がありません。」
「ミルのケチ。」
「ダンジョンの無駄遣いは止めてください。」
「じゃあ、他に何かある?」
再びルルちゃんの手が上がる。
「はい、ルルちゃん。」
「雪山はどうでしょうか。」
「採用!」
「やった~♪」
「雪山なんて作ってどうするんですか。」
「気温が低ければ、食物が腐りにくい。貯蔵庫として使ったりもできると思うよ。それに高山植物なんかには回復アイテムを作るのに有効な素材も多い。普通だと行きにくい場所がダンジョン内だと、すぐに行けるからメリットは大きいよ。」
「は~、なんで今回はちゃんと考えているんですか。」
なんか、ミルがどんどん疲れてってる気がする。
とりあえずの作戦会議は終了。
明日から色々と調達に走り回らないと。
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