マリベル

とりあえず、全員に家を割り振って、その日は終了。

夜になって、

マリベルさん、メル、ミル、ルルのお家に来ています。

「お疲れさま」

「本当に疲れました~」

メルが早速弱音を吐いてるね。


「ウィル先生、

色々と整理したいのですが。」

「いいよ。その前に僕からもいいかな。」

「どうぞ」

「マリベルさんって何の職業なの?」

「私は『仲裁人』です。」

「そうですか。集団生活には有効そうですね。よし、じゃあマリベルさんとメル、ミルはちょっと一緒に行こうか。」

「「「えっ」」」


そのまま、『帰らずの回廊』に転移。

キルアに手伝ってもらって瞬間レベルアップコースを実施。


メル

『歌手』から伝説職『世界の歌姫』

ミル

『村長』から伝説職『カリスマ市長』

マリベル

『仲裁人』から伝説職『神々の裁定者』


「ウィリアム様、1日に色々あり過ぎて理解が追いつきません。」

マリベルさんは頭を抱えている。

「とにかく、状況を整理させて下さい。」

「もちろん。協力するよ。」

「は~」

ミルがなんとか頑張ってくれている。


「じゃあ、順を追って説明していくね。質問があれば、いつでも言ってね。

あっ、カシムとソニアを呼んでくるよ。

マリベルさんとはちゃんと挨拶もできてないしね。」

そう言って、転移して、すぐに2人を連れて戻ってきた。


「ウィル先生、そういう常識はずれの行動は自重してください。」

「ミルさん、ウィルと関わっていくには、これぐらいで驚いていては身体がもたないよ。」

「カシム様有難うございます。確かにそうですね。」


なんか失礼な気がするけど。。。


とりあえず自己紹介を済ませて、

僕は説明を始めた。


「じゃあ説明するよ。

まず、僕の名前はウィリアム=ドラクロア。ドラクロア伯爵の三男だ。今は訳あって家を出て冒険者をしている。

そして、ここはドラクロア領の未開地の奥地で僕が発見したダンジョンだ。

僕がダンジョンマスターをしているから、多少の変更はできる。」

「ウィル先生、ダンジョンマスターとはなんですか?」


「あぁ、その説明も必要だね。

簡単に言えば、一部のダンジョンの、一番奥にたどり着くとダンジョンのコアがあって、そこで登録をするとダンジョンマスターになれる。ダンジョンマスターはダンジョンの中なら、かなり自由度が高く変更ができる。

この1階のように、モンスター無し、家が建ち並ぶ区画を作ることもできるし、2階のような農地に適するように、用水路を配置することもできる。3階のように柵だけを沢山作って家畜を育てられるようにすることもできる。

そっから先はモンスターが出るから、進まないようにみんなに注意しといてね。」

「つまり、このダンジョンの中なら、ウィル先生のやりたい放題にできるってことですか?」

メルがざっくりまとめる。

「まあ、そういう感じだね。」


「ウィル様はダンジョンの外でもやりたい放題やってるけどね。」

「たしかに。」

ソニアとミルのやり取りは心外だね。

「え~、けっこう自重してるつもりなんだけど。」

「ウィルの自重しているは、我々の常識外です。ウィルの能力は規格外過ぎるので仕方ありませんが。」

「ドラクロア伯爵家はエール王国最強と評判ですが、これ程だったとは驚きです。」

「マリベルさん、ウィルだけです。当主様含め、他の皆様は常識の範囲内です。ウィルだけです。

ウィルは『見果てぬ塔』と『帰らずの回廊』の両方を単身でクリアしてしまうほどの能力を持っています。多少自重しても、規格外なのです。」

「たしかに、ウィリアム様のような方が何人もいたら、世界は大きく変わってしまいますね。」


「こほん。話を戻すね。

今回、ドルマ帝国の攻撃によって家を失った人たちを受け入れるためにダンジョンを使うことにしたんだ。

ただ、いくつもの村の人たちが雑多に集まっているから、管理する人が必要かなと思ってね。元男爵家の人たちなら適任かと思って声をかけさせてもらったんだ。」

「たしかに、これだけの人数を無秩序に放置する訳にはいかないでしょう。私たちに仕事を与えて頂いて有難うございます。

30階にあった食糧や備品もダンジョンマスターの力で出されたのですか?」

「いや、ダンジョンマスターもそこまではできないよ。あれはアイルバーグから盗んできた。」

「盗んできた。。。

あの量を。。。

あのアイルバーグから。。。」

ミルがフリーズしている。

「ミルさん、落ち着いてください。

すべて事実として、まずは考えずに受け入れてください。」

カシムがなにかを悟っている。


「それでウィル様は、これからどうされるおつもりですか?」

ソニアが話を進めていく。

「まずはデリアン一家の力を借りて、みんなを落ち着かせたいと思っている。足りない物があれば言ってね。

それから、未開地に道を作りたい。

さすがに山奥にポツンと孤立していて、移動手段が僕の転移だけってのは好ましくないからね。

マリベルさんはどう思う?」


「おっしゃる通りです。

それから、家を失った方々はすぐに落ち着くでしょう。もっと悪い状況を想定していたのに、家も当面の食糧も農地も与えられたので、驚きながらも、とても喜んでいます。不満が出るとしたら、この生活に慣れてしまった後でしょう。それまでにルールの整備等を行う必要があるでしょう。

その後で未開地に道を作るのも賛成です。ただ、森には野生のモンスターがいます。道作りには護衛の冒険者が必要です。そちらを用意することは可能でしょうか?」

「大丈夫だよ。僕は『冒険者の街』バルベンにいるんだから。」


「有難うございます。それなら当面は問題無く生活を整えていけると思います。」

「あっ、そうだ。

ちょっと試したいことがあるから、バルベン家についてきた人たちを朝一番に集めてくれない。」

「わかりました。何をされるおつもりですか?」

「それは明日のお楽しみで♪」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る