城塞都市アイルバーグ
城塞都市アイルバーグはドルマ帝国の大都市だ。エール王国に程近く、エール王国侵攻の前線基地となる街である。
大きな外壁に囲まれた難攻不落の街として有名である。
今回、小規模ではあるが、エール王国侵攻作戦を行ったということは、その侵攻部隊の基地として使われていたと考えられる。
そんな街に侵入しました。
気配を消して、街に入る荷物に紛れ込み、あっさり侵入完了。日中は街を歩き回りスキルによる『マッピング』を行った。
本当に便利なスキルだよ。
歩き回るだけで、どこに兵舎があって、兵糧庫があって、武器庫があるのか。
すべて丸見えになっちゃうんだからね。
作戦は簡単。
ドルマ帝国の攻撃によって難民となってしまった人々の食糧をドルマ帝国から調達すること。
僕はダンジョン内になら、一瞬で家を建てられる。
家を建てて、食糧を用意して、僕と一緒にダンジョンに転移してもらう。
農地もダンジョンのワンフロアを使用すればいい。それで収穫までしのげば、生活が安定する。
ダンジョン内に干ばつや長雨なんかの天候不順は無いからね。
農地や住居としてダンジョンを活用する。
我ながら良い思いつきだと思ってる。
日が落ちて、夜も更けてきた頃、
まずは食糧庫に忍び込む。
当然見張りはいるけど、立ったまま、眠りと麻痺の状態異常にしていく。
とりあえず押さない限り立ちっぱなしなので、すぐには見つからないだろう。
食糧庫には大量の食糧が山積みになっていた。本来ならもっと侵攻する予定だったのが、ドラクロア家によって出鼻を挫かれたから、使わないで残ったんだろう。
僕はアイテムボックスに入るだけ入れて、ダンジョンに転移、荷物を降ろして、食糧庫に転移を2往復したら、全部運べた。
次に鶏舎に移動。
牛や豚に比べて狭いスペースで飼えるので、鶏が都市部では選ばれることが多い。
生き物はアイテムボックスに入れられないので、眠らせて一ヶ所に集めて、一緒に転移を行った。
さすがに、これは時間がかかった。
次に商店を次々と荒らしていく。布、衣服、食器、農具などなど生活必需品、日用品をどんどん街中で調達していく。
本当にただの泥棒だよね。
そんなことを繰り返している内に、徐々に盗まれたことが発覚して、騒ぎが大きくなっていく。
そろそろ潮時かな。
僕はダンジョンに転移して荷物の仕分けを行った。
すごい量になってしまった。
これを整理したり、管理する人を雇いたいレベルだよ。
荷物は一旦、ダンジョンの30階にすべて置いてきた。30階は僕のプライベートスペースにしようと考えていたけど、ただの物置になりそうだよ。
その後、バルベンの宿に戻って休憩。
2時間ぐらいしか休めなかったけど、元勇者の体力はこの程度、全然問題無い。昔は3日3晩戦い続けたこともあったからね。
いつも通りカシム、ソニアと朝食を食べていると、なんと、メル、ミルの姉妹がやって来た。
「どうしたの?」
「朝早くに申し訳ございません。
昨夜、伺ったところ不在でしたので朝から確認に来てしまいました。」
「ウィル先生のおかげで、私たち戦場でも生き残ることができました。
ありがとうございます。」
「2人が頑張った結果だよ。
とにかく無事で良かったよ。」
「今日はお礼とお借りしていた装備品を返しに参りました。」
「そんな、急がなくても大丈夫なのに。」
「いいえ、私たちは家族や使用人たちと、これから未開地に行き、開拓に従事する予定です。おそらく数年はこちらに顔を出すこともできないでしょう。」
「どうして未開地に?恩赦は貰えたんじゃなかったの?」
「ウィル先生のおかげで恩赦は頂けました。ただ、昔からの使用人や部下達がついて来てくれています。共に暮らすには他に選択肢がございませんでした。」
「街でバラバラになって暮らすより、不自由な生活でも一緒に暮らしたいと考えています。」
「そっか~、、、
ねぇ、僕の実家のそばにオススメの未開地があるんだけど、来ない?」
「オススメの未開地ですか?」
「そうそう。僕のオススメ♪
まだまだ開拓は進んでないけど、すぐに使える空き家はあるから、便利だよ。」
「どうしようミルちゃん。」
「ウィル先生は信頼に値する自分です。私たちに不利益になるような提案はされないでしょう。」
「そうだよね!
宜しくお願いします。ウィル先生!」
「良かった。じゃあ昼に街の門のところで待ち合わせしよう。」
メルミル姉妹と別れた後、カシムとソニアには現状と計画を話した。
かなり驚いていたみたいだけど、計画自体には賛成してくれたよ。
これから忙しくなるぞ!
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