伝説職

ある日の夕食にて、

「今日で『見果てぬ塔』の攻略が完了しました!」

「・・・そうですか。」


あれ?予想してた反応と違う。

カシムはテンション低いし、ソニアは黙ったままだし。


まぁいいか。

次の話でテンション上がるだろうし。

「それでさ、本拠地をバルベンに移そうと思うんだ。さすがにアンデッドの相手ばかりも飽きてきたでしょ。『見果てぬ塔』の方が収入も良くなりそうだしね。」

「いつ移動される予定ですか?」

「明日に色々準備して、明後日に移動したいけど、2人とも大丈夫かな?」


「私は大丈夫です。」

「私も大丈夫です。」

「良かった。じゃあ、明日の午後、予定開けておいて。レベル90までサクッと上げてから、伝説職に転職して、レベル70ぐらいに上げとこうか。」

「「は~~~」」


あれ?なんか2人のため息がシンクロしている。

「ウィル、そんな発言は他に人がいるところでしたら、いけませんよ。」

「えっ」

「伝説職への転職は、それこそ伝説の中にしか存在しないんです。」

「ふ~ん。わかったよ。

でも最近時々思うんだけど、みんなレベルの上げ方が下手だよね。」

「ウィルが特殊なんじゃない。」

ソニアが冷たい。。。


「まぁいいか。

明日の午後、よろしくね。」



翌日昼過ぎ、ダンジョン前で集合しました。

午前中はいつもとルートを変えて、『見果てぬ塔』でレベルを100にしてきた。

その後、邪龍ガルガイアとカオスドラゴンを倒して、フロアにはドラゴンゾンビとボーンドラゴンだけにしている。


隠し通路を抜けて49階に転移。

「今日はここでレベル上げするよ。

基本はドラゴンゾンビとボーンドラゴンだけにしてるから、それでレベルを稼ぐよ。

もしかしたら、カオスドラゴンが復活してくるかもしれないから、その時は下がってね。」


「・・・私ムリ。」

「さすがにドラゴンの群れは荷が重過ぎます。」

「普通ならね。

でもちゃんと対策アイテムを用意してあるから大丈夫だよ。

前回も使った『再生の聖域』と新アイテム『聖夜のベール』、『破魔の結界』。

敵は継続ダメージ、こちらは常時回復。

アンデッドの弱体化、

アンデッドへのダメージへのダメージ大幅アップ。

もちろん僕もサポートするから、心配無用だよ。」


そんな話をしながらアイテムを2人に渡していく。

「じゃあ、早速やってみよう!」

2人はそれぞれにアイテムを発動させる。

周囲のドラゴンたちが苦しみだした。

カシムが前衛に出て、ソニアがサポートする陣形だね。

まだまだ練習は必要だけど、ソニアの動きもかなり様になっている。カシムは安定しているし、ソニアも狙われにくいポジショニングができている。カシムへの援護射撃も悪くない。


僕はドラゴンたちの群の中を縦横無尽に動き回り、軽くダメージを与えながら、カシムに攻撃が集中しないように惹き付ける。


カシム達は攻撃に厚みが無いのが欠点かな。

でも今はアイテムで継続ダメージが入るので、攻撃力不足はカバーできている。



しばらく戦っているとアイテムの効果が切れる時間が迫ってくる。

「一旦下がって、アイテム発動して。」

「「了解!」」


それを3サイクル繰り返す間に、ドラゴンを全滅させることができました。

「それじゃ、50階に一旦移動しようか。」



ということでキルアの家に移動。

「ようこそ。ここに来たってことは2人ともレベル90になれたのかな?」

「やったね。じゃあ『伝説職への転職』という歴史的瞬間を始めようか。」


僕とキルアが話している間もカシムとソニアは、目の焦点が合って無い。

「・・・生きてる。」

「ドラゴンが1匹、ドラゴンが2匹、ドラゴンが3匹。。。」


・・・

「ちょっと休息が必要そうだね。

客室で休んでもらおう。」



夕方、

「すいません。取り乱しました。」

「ドラゴンの群れはインパクトあり過ぎですよ。」

2人とも戻ってきたね。


「それじゃ、『転職の儀』いってみよう♪」

「では私から。」

カシムが前に出る。

「オーケー、じゃあいくよ!」

カシムの身体から強い光が輝く。

それが治まるのを待って、

「おめでとう!

これでカシムは伝説職『聖盾のパラディン』だ。」


『聖盾のパラディン』はパラディンの上位互換職。パラディンを防御特化にパワーアップした職。

物理防御力、魔法防御力はトップクラス。

攻撃力もパラディンよりがは多少アップしている。


「すごい。。。私が伝説職。。。」

カシムが自分の世界に入っている。

置いておこう。



「次はソニアね。」

「はい。」

「よし、いくよ。」

ソニアの身体から強い光が輝く。

それが治まるのを待って、

「おめでとう!

ソニアは伝説職『伝説のメイド』になったよ。」


『伝説のメイド』

名前にそのまま『伝説』が入っちゃうんだね。

『戦場メイド』は器用さと素早さに特化していたが、そこから、防御力のアップと広域攻撃が追加されている。

単身で敵の大群と戦える実力を持っている職業だ。


「信じられないわ。。。」



「はいは~い。

2人とも現実に戻ってきてね。

今からレベル上げに行くよ。」


前回同様、一瞬でレベル70過ぎまで上げておきました。

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