レベルアップ

翌朝にはカシムも吹っ切れたみたい。

話を聞くと、

「格上のモンスターを倒せるのはレベルアップのチャンスです。

しっかりレベルを上げて、この装備に見合う騎士になればいい。

そう考えるようにしました。」

「そうだね。前向きにいこうよ。

転職目指して頑張っていこう!

あっ、そうだ。昨日『神官』になったから、いつでも『転職の儀』できるから、条件が整ったら声かけてね。」

「ウィルはなんでもありだな。

もう驚かないよ。」

何故かカシムが疲れていたね。



そして1ヶ月後。

ついに『錬金術』のスキルを手に入れた。

前世の知識通りなら、かなり使えるはず。

素材を集めて、錬金術を発動させればアイテムが生産できる。

武器、防具、アクセサリー、消耗品、なんでもこいだ。

但し、鍛冶スキルを使って作る方が性能の良い武器が作れる、という感じで、専門スキルで作るよりがは性能面で劣ってしまう。

でも素材とMPさえあればサクサク作れるメリットは大きい。


もちろん、さっさとスキルレベルを10まで上げました。これでようやくアイテム不足が解消できるね。


そして、ある程度のアイテムが用意できたので、夕食の時、

「明日の午後は予定を空けておいて。

サプライズがあるから。

昼ごはん食べたら2人ともダンジョン前に集合ね。」

と宣言しました。


明日は忙しくなるぞ~。



翌日、僕はいつも通り49階でモンスター討伐をして、終わったらキルアのところに行った。昼ごはんを食べながら、

「キルア!予定通り今日実行するよ。」

「そうか!楽しみだね。じゃあ一緒に行こうか。」


食後、

キルアと一緒にダンジョンの外に出た。

カシムとソニアはもう待っててくれた。

「ごめんね。お待たせしちゃったかな。」

「いえ、私たちも先ほど来たばかりです。そちらの方はどなたですか?」

「こちらはキルア。僕の友人だよ。ダンジョンのスペシャリストだよ。

こちらはカシムとソニア。僕の仲間だよ。」


「よろしくお願いします。」

「よろしくね~。今日はウィルに頼まれて皆を案内するよ。」


「私もダンジョンに入るんですか?」

ソニアが不安そうだね。

「大丈夫だよ。とりあえず一緒に入ろうか。

それからキルアのところに集合しようか。」


キルアに集合した瞬間、転移しました。

ダンジョンマスターはダンジョン内だとかなり反則な能力を持っている。

いつでも好きな階に転移できるのも、その能力の1つだ。


「今のは?」

「後で説明するから、とりあえずついて来て。」


少し歩くといくつか扉があった。

そこで僕は小さなアイテムを2人に渡す。

「何も聞かずに扉を少し開けて、これを中に放り込んで、その後、扉を閉めて。」


2人とも?って顔をしてるけど、僕の言うことに従って、アイテムを投げ入れて、扉の外で待つ。

暇だね。


そろそろいいかな。

「じゃあ、2人とも自分のステータスを見てみて。」

「「エェェェェェェ!!」」

2人の叫び声がシンクロしていた。


「おめでとう♪

2人ともレベル50になったよね。

じゃあ転職しようか♪」

「ちょっと待ってください!

状況を説明してください!」


やっぱり慣れかな。

カシムが復活するのが早くなってきたね。


「順番にいくよ。

ここは『帰らずの回廊』の42階。

キルアに転移してもらったんだよ。

それで、さっきの扉はモンスターハウス。

扉を開けると、モンスターが大量に発生するんだよ。

で、投げ入れたのが『再生の聖域』っていう名前の回復アイテムだ。範囲内を継続回復するアイテムなんだけど、さっきのモンスターハウスは発生するモンスターがすべてアンデッドだから、回復効果がダメージになるんだ。

アイテムでモンスターは全滅できるんだけど、発生するモンスターがレベル70オーバーだから、レベルも70前後まで一気に上がるよ。」


「今までのレベル上げってなんだったんだ。。。」

「私がレベル50。。。」


なんか受け入れるのに時間がかかるみたい。


「はいはい。まだまだ、やることがいっぱいあるからね。

転職するよ~。

どっちからいく?カシムでいいかな。」


「は~。

私が思ってた転職のイメージが。。。

とにかく、お願い致します。」

頑張れ!カシム


「じゃあ、『転職の儀』いくよ。」

カシムの身体がうっすら光輝いて、消えた。

「これでカシムは中級職『テンプルナイト』だね。次はソニアいくよ。」


「はい。」

ソニアもカシムが転職している間に気持ちの整理ができたみたい。


ソニアの身体もうっすら光輝いて、消えた。

「ソニアは中級職『メイド長』だね。」

「まさか私が中級職になれるなんて。」


2人とも混乱してるね。

「まだまだ扉はあるよ~。

じゃあ、もう1回いってみよう♪」



数分後、

「おめでとう!

カシムは上級職『パラディン』、ソニアも上級職『戦場メイド』だね。」


「私がアルガス様と同じ『パラディン』。」

「メイドの私が上級職なんて。」


上級職になった喜びをパニックが勝っているみたい。

本当はみんなで喜びを分かち合う予定だったのにな~。


よし!

「まだ扉はあるよ~。」



数分後、

「『パラディン』レベル74。。。」

「『戦場メイド』レベル74。。。」

2人とも独り言ばっかりで会話にならない。

こんなはずじゃなかったんだけどな~。

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