旅立ちの決意
翌朝、僕は目を覚ました。
それを見たメイドたちが走り回っていたね。
僕は何事もなかったかのように家族のダイニングに入った。
僕以外のみんながそろっていた。
都合がいい。
「父上、ご心配をおかけし、申し訳ございませんでした。すっかり元気になりました。」
「うむ。良かった。まずは座りなさい。」
母上から、
「食事は食べられそうなの?」
と声をかけられた。
優しいね。
「はい。お腹がペコペコです。」
そのまま何事もなかったかのように座って食事を始めた。
パンとスープ、ベーコン、サラダ、フルーツ。
泣けてくる。
僕は勇者として、単身、魔王と戦う日々には、優雅な朝食なんてなかった。
モンスターを倒して、その肉を焼いて食う。
そんな毎日を10年以上過ごしたんだ。
こんな美味しい朝食は何時ぶりだろう。
僕が涙ながらにパンを食べる姿を皆が優しく見守ってくれていた。
・・・たぶん、泣いてる理由は勘違いしてるよね。。。
しばらく朝食を味わって、気持ちが落ち着いた頃、僕は口を開いた。
「父上、お話したいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」
「それは家族みんなに聞かせたい話か?」
「はい。」僕は頷く。
「わかった。家族以外は席を外してくれ。」
メイドや執事が部屋を出て行った。
全員が部屋を出たのを確認し、
「さて、聞こうか。」
「ありがとうございます。」
僕はペコリと一礼する。
「僕はドラクロアの名を捨て、家を出ようと思います。」
「何故だ。『フリーター』だからか?」
「もちろん、それもあります。
ですが、悪い意味ではございません。
私は『フリーター』である自分自身の可能性を信じて、独立したいと考えました。」
「自暴自棄になったわけではないと?」
「もちろんです。私は自分の未来に希望しかございません。」
「何時出発するつもりだ?」
「今日にでも。」
「明日まで待て。」
「わかりました。」
母上が驚き、父上を見た。
「あなた!あんまりではございませんか!」
「カレン。話は後で聞こう。朝食はこれまでだ。」
父上が立ち上がり出て行った。
母上も後を追うように出た。
兄たちが妹を伴って出て行った。
1人残された僕は、戻ってきたメイドさんにお願いして、おかわりを貰いました。
美味しかったです。
部屋に帰って、旅立ちの準備をしたいけど、どうしようかな?
とりあえず、お金をどうするかだな。
屋敷にある備品を頂戴して、売りさばくかな。でも、それはさすがに恩知らず過ぎるよね。
コンコン
ドアがノックされた。
「エリックだ。いいかな?」
「どうぞ。」
何の用かな?
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