状況を整理しよう その2

僕は名門貴族に産まれた。

父は『将軍』、上級職。

母は『ハイヒーラー』、中級職。

長男は『将軍』、上級職。

次男は『パラディン』、上級職。


上級職が一家にこんなに沢山いるのは、かなり異例なことなんだ。ドラクロア伯爵家は幸運の女神様の寵愛を受けていると、羨望の的になっていた。


僕も、さすがに3人連続で上級職は無いだろうとは思っていた。でも、微かに期待もしていた。もしかしたら、自分も続けるかもと。


それに、もし標準職になっても、社会に出る前に中級職に転職できるはずなので、心配はいらないはずだった。


なのに、結果は『フリーター』、非常に特殊な脱出不可能な標準職。

家中になんとも言えない重たい空気が流れたね。

貴族の家に産まれて、十分な跡取りがいる中で、極端に落ちこぼれた僕は、おそらく産まれなかったことにされるだろう。

良くて勘当。悪ければ処分。


そんな現実を受け入れられず、僕は崖から飛び降り、自殺した。



・・・そして、今の僕になった。



しかし!

僕は『フリーター』がハズレとは思っていない。

毎日転職、毎日レベル1からスタート。

それは、毎日レベルさえ上げれば、色々なジョブのスキルを身に付けられるということ。

転職しても手に入れたスキルは消えない。


僕が本気になれば、1日に大量レベルアップも夢じゃない。スキルの大量取得が可能。

しかも、運が良ければレベルアップの時にスキルもレベルアップすることがある。

レベルアップのチャンスが多いことは、ものすごいメリットだよ。

なにせ、元勇者だからね。

モンスター退治なんて余裕だしね♪


しかも、有難いことに、ステータスは死んだ時とほとんど同じなんだ!

レベル200の勇者のステータスをもってすれば、レベルアップなんてあっという間だね。

あっ、ほとんど同じって言ったのは追加されているスキルがあったんだ。


『女神の寵愛(小)』

運を100アップさせる


ありがとう!女神エルカレナ様!

僕からすれば『フリーター』は最高のジョブだよ!

希望しかないね!


でも、はしゃいでる場合じゃない。

僕は崖から飛び降り、河辺に打ち上げられたところを救助され、今に至るという状況だ。


僕は8歳の子供だ。しかも自殺未遂までしてしまっている。(本来は未遂じゃないけど)

上手く立ち回らないと、行動範囲が制約されてしまう。下手をすれば地下牢に閉じ込めるなんてこともあり得る。


明日の朝、僕は目を覚ます予定だ。

父上にそれっぽい事を言って、家を出よう。


僕のこの世界の知識は8歳の子供の物だ。

知らないことが多過ぎる。

情報が必要だ。

情報を集めて、最高の環境を手に入れてやる!


この人生を最大限楽しんでやるぞ!

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