第2話


 私があいつと出会ったのは低学年の時に転校した学校だった。


 そして、実はこの時点で「友達を作る」という事に魅力も何も感じていなかったため、クラスメイトと距離を取っていた。


 ――今思うと……嫌なヤツだなぁ。


 ただ、この時「イジメ」などに発展しなかったのは……多分 当時の私は他の子たちと比べて頭一個分くらい身長が高かったからではないだろうか。


 ――後は私の態度かな。


 多分、周りに人たちからは「腫れ物」として見られている実感はあったけれど、直接何かをしてくる事はなかった。


「君、どこから来たの?」


 そんな中で私に話しかけてきたのが、有紀人だった。


「……」


 タイミング的に転校してしばらく経った頃だったと思うから、最初に話しかけてこなかったのは、多分有紀人としては「気になるけど、みんながいる時は話しかけにくい」と思っていたのだろう。


「別に、どこでもいいでしょ」


 でも、私はぶっきらぼうに答えた。


 なぜなら、大抵の場合はこんな態度を取ると「あ、そっか」と言ってしばらくしているといなくなっていたからだ。


 しかし、有紀人は違っていた。


「あ、じゃあ好きなテレビは? あ! アニメでも良いよ! 僕はねぇ――」


 なんて有紀人は私の答えとも言えない答えに目を輝かせて、更に質問を重ねて勝手に話をしている。

 それはまるで「無視せずに答えてくれた!」と言わんばかりの様子だった。でも、そんな彼に対し私は言うと……。


『何、こいつ』


 あまりにも私に話をしてくる同級生にイライラしつつ文句をいってやろうと顔を上げた。その時初めて有紀人の顔を見たのだけど……。


「……」


 前もって言って置くが、私は決して人を顔で判断する人間ではない。


 ――でも、今にして思うと……あれが私の「初恋」だったのかなぁ。


 なんて思う。


 彼の見た目は当時からどことなく日本人離れしていて、目もパッチリで髪もサラサラ、髪の色は黒だったけど、その当時は私よりも小さくて……まるで『天使』の様に見えた。


 ――まぁ、あの時は「かっこいい」よりも「かわいい」って感じだったのよね。さすがに『天使』は言い過ぎかも知れないけど。


 幼い自分の娘や息子溺愛する親がこういった表現をする事があるけれど、この時の私が彼に抱いた印象はまさしくそれだった。


 ――多分「一目惚れ」だったんだろうなぁ。


 私自身、今となっては自分に色々とツッコミを入れたいけれど容姿に惹かれてしまったのは仕方がない。


 でも、その事があった後も私が有紀人に対して素直に接する事はなくて……いや、本当は素直でいたかったけれどなぜか出来なくて。そんな最中で……私は『ある出来事』に巻き込まれた。

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