第44話
遠くで光がみえた。
なんだ。
眩しいな。
かざした手の間から光が漏れでる。
どこか懐かしい。
ヘレルはゆっくり光源に向かって歩きだした。
なんとあたたかい光なんだ……
「やっと来てくれたか」
「何度も、死にたいと思った。一人だけだと、寂しいものだな、心がおかしくなるんだ。なにをしても何も反応が返ってこず、ただ、ただただ自分が存在しているだけだ。何もやることが無く、何をやっても意味をなさない、自殺しようと思った。けれども、彼女との約束が俺をつなぎ止めてくれた。俺の心の支えになってくれた。だから今こうして生きている」
ヘレルは互いに歩み合い、重なり、一つになった。
少年は両膝をおって、ぐちゃぐちゃに号泣した。
混沌は二つに別れた。
ただ、別れた二つは知ってしまった。
お互いが必要なことに。
表裏が一体なように。
無くてはならない存在だった。
求め合った。
自分にはないものを。
そしてまた一つになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます