第44話

 


 遠くで光がみえた。




 なんだ。




 眩しいな。




 かざした手の間から光が漏れでる。




 どこか懐かしい。




 ヘレルはゆっくり光源に向かって歩きだした。




 なんとあたたかい光なんだ……

「やっと来てくれたか」

「何度も、死にたいと思った。一人だけだと、寂しいものだな、心がおかしくなるんだ。なにをしても何も反応が返ってこず、ただ、ただただ自分が存在しているだけだ。何もやることが無く、何をやっても意味をなさない、自殺しようと思った。けれども、彼女との約束が俺をつなぎ止めてくれた。俺の心の支えになってくれた。だから今こうして生きている」

 ヘレルは互いに歩み合い、重なり、一つになった。

 少年は両膝をおって、ぐちゃぐちゃに号泣した。

混沌は二つに別れた。

 ただ、別れた二つは知ってしまった。

 お互いが必要なことに。

表裏が一体なように。

 無くてはならない存在だった。

 求め合った。

 自分にはないものを。

 そしてまた一つになった。

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