第41話

「待たせたな」

 男は突然現れた。

 空間がねじ曲がり光の帯が見えるとヌっとでてきたのである。

 その人物は信也と同じくらいの年齢だろうか。

 白いマントと木の杖を持っている。

「ご無沙汰だな、小僧。いや今はおやじか」

「お前もな! 久しぶり」

 信也は次元の魔女と呼ばれる男に用件を説明した。

「礼は一食のご飯で手をうって貰いたい」

「三食!」

 渋々承諾。

「おやすい御用だ、準備が整ったら早速いってもらおうか」

 一時間後。

「では、始めるぞ」

「今ここに、時空の扉開かん!」

 杖を水平に持ち上げ、言葉を言い放つと、次元の魔女の立っている床の半径一メートルに白い光で魔法陣が浮かび上がる、光が飛び交い、光の欠片が飛び散った。

 ゴーン、ゴーンとどこからともなく鐘の音が聞こえる。

 するとどうであろう、次元の魔女の体側面に線が浮かび上がり光が漏れ出した。次元の魔女が回転した。いや、体の後ろ半分と、前半分が割れて、後ろの部分はそのままに前半分が顔の部分を軸にして時計回りに回って天井に足をつけた。

 萌はその光景を見て驚愕する。

 逆転した顔面のまま次元の魔女は言った。

「さあ、ゆけ! 時間は限られているぞ!」

 信也、萌、ヘレルの三人は次元の魔女の開けた扉? 後ろ半分の体の虹の輝きの見える入り口に飛び込んだ。

「おじさんあれも魔法なの?」

「そうだね」

(あの魔法は習いたくない)

 明るい、光の飛び交う空間を超えて降り立った。

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