第32話

一人でいると無性に人が恋しくなるときがある。

 人の温もりに触れたいときがある。

 会話がしたいときがある。

 寂しいときがある。

 つらいときがある。

 孤独。

 自分のやりたいことへの代償。

 じぶんのやりたいことをするための引き換えに。

 出かけたり、人と会ったりすると治るけどまたしばらくすると同じ氣持ちになってしまう。

 けれど、あなたが来てくれてもうそんな氣持ちとはバイバイした。

 人はきっと世の中にただ一人になってしまったら、生き物がいなくなった全くの無の世界へ行ったら、孤独と寂しさで死んでしまうんだろうな。

 

 ヘレルは突然血を吐いた。

 机の上に血だまりができる。

「ヘレル!」

 胸を押さえていた。

 息が荒い。

「自分が忌々しい……どうやらやられたようだなあいつ。あいつがやられるのはいいけど……まさか心臓が繋がってるとは厄介だな……」

「治るんでしょ!?」

「いや、これは父にやられたみたいだから、致命的だと思う……無理そうかな」

 ヘレルは赤い液体を口元につけながら花のように笑っていた。

 私は少年の手を握る。

「よし! 決めた。妖精さん出てきなさい」

 小さい手のひらだいの羽の生えた妖精が部屋のいたる所から顔をだす。

どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

 どうしたの。

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