第27話















          パンッ!!!!































まるで光と闇が二つに分かれたようだった。

 荒い息をヘレルは漏らす。

 前を見ると、

 黒い肌をしたもう一人の自分がいた。

「なんだおまえは……」

 目の前のそいつはニヤリと笑って風の刃をヘレルに向かって放つ。

 左右の腕を顔の前で、交差させて防いだがヘレルの体は血を垂れ流していた。

「なにしてくれんだよおおおおおおおお」

 ヘレルは目の前の自分を炎で燃え上がらせる。

 が、黒いヘレルが腕をブンっと振るうと炎はすぐに消えた。

 なんだ……おかしい威力が出ないぞ……

 それに、いつもならもう治っているはすの傷がまだ治っていない……まさか!?

 ヘレルはありったけの力を使って目の前の自分を爆発させようと呪文を唱え始めたのにあわせて、目の前の黒いヘレルも呪文を唱える。

 力と力が拮抗しあい互いの空間で大爆発が起こった。

 いや、拮抗ではないヘレルが完全に押されている。

「ちくしょう! 力の大半をもっていったな! こいつ僕自身なのか、僕の負の感情のいらないと思ったほうの僕なのか……」

 爆発の煙で相手の姿が見えなくなっていた。

 黒い煙から腕が伸びてくる。

 ヘレルは首をもの凄い力で掴まれた。

「ぐがっ、あ、あ……あ」

 グンと腕が元の長さに戻って二人のヘレルは顔をつきあわせる。

 一人は苦しみ、一人は嬉しそうに高笑いをしていた。

(ちくしょう……)

ヘレルは無力だった。

 生まれたときから自分よりも強力な力を持ったものに出会ったことがないヘレルには初めての経験である。

 親でさえ同等程度の力のはずだ。

 自分の力が敵わない相手に出会ったことがなかった。

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