第9話

氣がつくと廻りに人がいて、大丈夫か?傷はどうしたと聞かれていた。

 傷はいつの間にか無くなっていたのである。

 俺は立ち上がて、

「あれ? おかしいな……まあいっか。心配させたみたいだな」

 幸いこの日、ヴェトイは命をとりとめたが、ある噂が立つようになる。

ヴェトイは不死身だ    と、そこから尾ひれを引いてヴェトイは魔法使いと見なされるようになった。

 彼の牛と馬が村で一番沢山増え、田畑の実りが良いのは魔法を使う悪魔の一味だとみなが言うようになった。







ネズミの大量発生。

 肉、野菜、雑穀、あらゆる食べ物が荒らされ、ため池ではネズミが泳ぎ、床の下から天井からチューチューと声が聞こえる。

 糞がそこらに落ちていた。

 嘔吐、下痢、発熱に悩まされる者。

 赤子がかじられて死亡する被害まででた。

 噛まれた者は、全身が腫れたり、呼吸困難、意識を失ったりした。

 全身からの出血、流産。

 服や家具はかじられ、収穫前の苗をかじられた。

 そんなある日、いつものユーモアからヴェトイはあることを考える。

 皆をびっくりさせようと思った出来心だった。

「よってらっしゃいっみてらっしゃい」

 広場の中央でヴェトイは見せ物をすることにした。

ヴェトイは小脇に大きな袋を抱え、

「さあ皆さん、そこらにある小石を二十個、この袋の中に入れてくれ!」

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