第8話

「む?なんの音だ」

 何かが炸裂した音が山に響いて、ヘレルは耳をすます。

 五キロほど先で人間が苦しんでいるようだった。

「どれ」

なにげなく、そちらに行くことにした。

 











意識がハッキリとしなかった。

腹が痛い……

当てていた手がべとりと、血で濡れているのがわかる。

 なにか近づく氣配がした。

 助けが来てくれたのだろうか?

 朦朧として、視界がぼやける。

 その氣配の主は俺の目の前に立ち、俺を眺めていたようだった。

なんだろうか……人じゃない?

 人ではない、圧力のようなものが感じられる。

「おい、おまえ、生きたいか?」

「た……たすけ……」

 それは俺に触れていた。

「なかなか良い行いをしているようだな。よし、いいだろう」

 あたたかい光につつまれているよな氣がした。

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