第6話
俺の名前はヴェトイ、仕事は畑を耕し、家畜を世話している。
種をまき、水をまき、餌をまき、干し草をまき、糞をとり、実りをとり、卵をとり、子供を産ませ、土を作り、また種を植える。
まきまき、まきまき、とるとる、とるとる、まきとりまきとり。
子供の頃から勉強が好きで、他の人の知らない知識を知っていた。
俺の農場は知識のおかげで、他の農場よりも良い作物を収穫する。
他の農場よりも物が高く売れて、他よりも豊かに暮らせた。
俺はユーモアのある人間で通っている。
「なに着てんだおめえ」
俺を見かけた人が発した言葉だ。
俺はその時、ピンクの生地にフリルの付いた丈の短いスカート、ドレープのかかった上着を着て、農作業をしていたのである。
「がっはははは、趣味だ! 趣味!」
おれは豪快に笑う。
毎日の変わらない日常を彩ってくれるのは些細なユーモアだと俺は思っている。
身長百九十の体と野良仕事で鍛えられた筋肉は、その服装をとても強調してくれていた。
その服を着ていた日に俺の家に人が来た。
俺は椅子に腰掛けて足を机に投げ出して、本を読んでいた。
戸が勢いよく開けられる。
「ヴェトイ来てくれ! 宿でよその奴が酔っ払って喧嘩をしだした! ってなんだその服は!?」
パンッと本を閉じ机において、まかせろ!と走って家を飛び出す。
最後の質問はむしして。
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