第5話

「むう、なんと、弱者が強者に食われるのは道理であろう、ならぬか?」

「ヘレル様、あちらをご覧下さい」

 白い頭をした、蛇男の夜刀が言った。

 見ると、子ウサギたちがこちらを見ている。

「どうやらこの燃えているのが親だったようだな」

 ヘレルは、ふっと息を吹きかけて炎を消すと、ウサギを地面におく。

「このものの傷を癒やし、蘇りたまえ」

 地面から影が出てきたかと思うと、ウサギを飲み込んでからまばゆい光を発してうさぎは生き返った。

 何があったかわからぬ様子で、頭を上げるや左右を見て自分の子供たちの方へ走り去っていく。

 その様子を見ていたヘレルは何を思ったか、何やら呪文の言葉を唱え始めた。

 ウサギたちが去って行った方角で、中心から数百メートルが吹き飛ぶ爆発が起こった。

森はパチパチと音を立てながら燃えている。

 ヘレルは呵々大笑していた。








ヘレルは木漏れ日の中、横になり緑のへたをつまんで赤いものを口に運んでいた。半分ほどかじり、断面が白く回りが赤く縁取られたそれはなんとも言えない甘さと酸っぱさを兼ね備えた清涼な実だ。

 ヘレルが横になっている場所からは見えない場所で七人は話し合っている。

「ヘレル様のあの性格だと、この世界ではただの災厄になってしまうぞ」

「どうしてああなってしまったんだ」

「しょうがない生まれ持ったものだ、しかし……」

「とにかく仕事をこなせるよう、我々がお手伝いしなければ」

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