第5話やっと合格ライン

美樹は朝9時まで夜勤をして、シャワーを浴びて、一眠りした。

アラームを14時にセットした。15時から神様がセッティングしてくれた、デートが待っている。

アラームが鳴る。起きてスマホのアラームを解除して布団をはがすと、美樹の隣で神様も寝ていた。

美樹は神様のおでこをパチンと叩いた。

「なんじゃ?もう朝かの?」

「朝かのじゃねぇよ!ジジイ」

「なっ、神様の私をジジイと呼ぶとは!……それも、ウフッいいかも」


美樹はさっそくメイクして、迷いに迷った服を選んだ。

「そうだ、美樹。今日は私は付いていかん。相手は、折田俊一君じゃ。15時に駅前のスタバで待ち合わせじゃ。目印は入口に立っている若者。わしの孫として紹介してある。さぁ、行くがよい。我が美樹よ」

「神様は何してんの?」

「私は、お主だけに聴こえる言葉で指示を出す」

美樹はそれを聞くと、スタバに向かった。


スタバの入口に近付いた。


あっ、カッコいい。


「あのう、折田さんですか?」

男は不意を突かれた感じで、

「もしかして、市川美樹さん?」

「はい」

2人はスタバの店内に向かった。

「あ、あのう。折田さんは何のお仕事をしているんですか?」

「高校教師です。世界史を教えています」

「今日は平日ですが。今日は用事があると言って休みました。美樹さんはどんな職業なんですか?」

「わたしは介護職員です。介護福祉士です」


美樹は目の前の青年に釘付けだ。鍛え上げられた胸筋。ウエストも引き締まっている。


【美樹、身長を聞くんじゃ!男は身長を誉められると、喜ばれんだよ!】


「あの~、折田さん。何センチですか?」

折田は、口に含んだコーヒーを吹いた!

「ち、チン長ですか?勃起時に23センチあります」

「……デカイですね」


【こら、美樹!バカ者めが!身長だっちゅうの!何で、ちんこの大きさ聞いてどうすんだよ!】


「美樹さんは、普段何をしてるんですか?仕事が休みの日とか」


【美樹、ケーキかクッキー焼いてると言いなさい。女子力をアピールしなさい】


「キックとか焼いてます」

「へ、へ~、キックってお菓子ですか?」


【おいおい、美樹、お前はバカか?キック焼いてどうする。聴こえてこないのかな?本日は曇天どんてんなり、本日は曇天なり】


「本日は曇天なり、本日は曇天なり」

「は?」

「お、折田さんの好きなタイプはどんな方ですか?」

「美樹さんみたいに面白い女性です」

「いえいえ、わたしは面白くありません」

「そうだ、内で夜ご飯食べませんか?」

「え、え、いいんですか?」

「内の料理で不味いモノはありません」

「じゃ、頂きます」

「美樹さん、ちょっと電話していいですか?」

「はいっ」

折田はスマホを操り、

「あ、ママ?今日のご飯何?今から、女の子連れて行くから。ママ、ワインはあったかな?……ならいいや」

「お、折田さん。ママって言う方は?」

「僕のママ。お母さんの事です」


【美樹、今回もチェックメイトだ!ずらかれ!】


「や、やっぱり初対面の方の家に行くのはつらいです。今回はごめんなさい。わたし、帰ります」


美樹は、帰り道に酒を大量に買い、神様相手に管を巻いた。

「今回は、ルックスと身体は合格。だけど、マザコンは嫌だわ~」

「私もマザコンまでは知らなかった、でもチン長は不味いね」

「あれは、神様がいけないんでしょ?神様なんだから、たまには神様らしいこと起こしてよ」

神様は呪文を唱えている。

「出てこい、出てこい、オッペケぺー」

「ダサい呪文」


ボンッ!


テーブルの上に刺盛りが現れた。

「お、お刺身?」

「うん。食べてみな」

「美味しい、やっぱり神様だ!」

2人は深夜まで飲み明かしたのであった。

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