第2話神様
美樹は目の前の老人が神様とは思えないが、半分は信じてしまった自分がいる。
「美樹ちゃん。立ち話もあれだから、上がりなさいよ」
「そ、それはわたしの言葉です。15分だけですよ」
神様はテーブルの上の五芒星を見た。
「やっぱり~、美樹ちゃん。ろうそく立てたら若い女性の神様が来たのに、お香焚いたから私が来たんだよ。美樹ちゃん、私を信じなさい。名前も知ってる。過去に手痛い失恋もしてるね。好きな食べ物は雪見だいふく、嫌いな食べ物はゴウヤチャンプル。さぁ、どうだい?」
「か、神様の交代は出来ますか?」
「えっ、何だって?」
「神様の交代は出来ますか?」
「とんでもねぇ事言いやがる。できねぇよ!」
「おじいさん、、、神様はロマンスの神様ですよね?」
「まだ、疑ってんの?あらっ、缶ビール?まだ、ある?」
神様は美樹に缶ビールを所望した。
「どうぞ、神様」
グビッグビッグビッグビッ
「プファ~旨いね。仕事の後の一杯は効くね。うんうん」
神様は、レバニラの残りをつまんだ。
「神様、まだ仕事前ですが」
「いや、今日はね、出雲大社で会合があってね、私の担当がこれから女性になってね。500年間男性の縁結びをしてきたが、この度、初の女性担当になって気合い入ってんのよ。後、缶ビールもう1本」
美樹は冷蔵庫から缶ビールを取り出しながら、
「神様は今何歳なの?」
「えっ、私?……10万78歳」
「閣下か?デーモンさん?」
「……本題に入る前に、シャワー浴びて来ていい?出雲大社帰りだから、汗かいちゃった」
「ど、どうぞ」
20分後。
「いや~、気持ち良かった」
「神様は寝る前はTシャツにジャージなんですね」
「今の時代に、合わせるのよ。どの時代でも」
「神様、一ついいですか?」
「わたしに彼氏を紹介してくれないんですか?」
「君!キミは明日は休みだね?」
「はい、いい男を紹介してやる」
「えっ、本当に?」
「神様はウソはつきません。男らしいぞアイツは」
神様は缶ビールの残りを飲むと、横になった。
この2時間で、飛んでも八分歩いて五分の状況をすんなり受け入れられず、美樹は深夜まで眠れなかった。
そうして、朝を迎えた。
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