インヴィンシブル

第8話 ナンパ

時間はゆっくりと流れ、いつものように日が昇る。

翌日、伊藤拓馬は松山大学をぶらぶらと歩いた。

覚醒して以来、通っていた大学の中に入るのは初めてだった。

松山大学は、サクラ帝国最古の高等教育機関です。

17世紀末、サクラ帝国初代大統領によって松山自由連合大学として設立されたのが始まりです。

8つの学部と224の専攻を持つ大学です。

入学資格は世界各国にあり、自国の入学試験で100位以内に入ることが必要です。

また、高校3年間すべての成績証明書、全統模試の平均点が700点以上であることが必要です。

この学校に入るのは成績優秀者が多いが、もちろん素養のある者もそのまま入学できる。

学校全体が古代の王宮のような、厳粛で神聖な雰囲気に包まれています。

校舎全体が真ん中にあり、その背後には約6,000エーカーの淡水湖が広がっています。

一面の青々とした芝生に囲まれて。

芝生は人工的に作られたものではなく、長い年月をかけて自然に育ったもので、専門のスタッフが定期的に手入れをしています。

キャンパス内にはさまざまな美しい街路樹があり、中にはバナナファンのように青々とした葉を茂らせ、夏には素晴らしい木陰を提供してくれるものもあります。

枝の中には見栄えのするものもあり、日差しの後は地面に影が映り、まるでここで学生を迎え入れるように手招きしているように風に揺れます。

季節が変わると、葉は緑から黄色、そして場合によっては赤へと変化していきます。

秋になると、風に乗って葉が落ち、道全体が燃えるような赤いモミジの葉で覆われ、とにかく美しいです。

"まあ、学校？多元宇宙における学問の殿堂に似ている？"

伊藤拓磨の意志が一掃され、学校全体が一瞬にしてクリアになる。

伊藤拓馬は足を上げ、ゆっくりと学校の中に入っていった。

そろそろ授業も終わり、学生たちが続々と出てくる頃だ。

伊藤拓馬は一歩前に出ると、静かに立ち、通り過ぎる人々をぼんやりと眺めていた。

"あの人、カッコイイ！"

"誰かを待っているようだ"

通りかかった学生たちは、少し興味深そうに伊藤拓馬を見ていた。

やがて、二人の女性が腕を組んですたすたと歩き出し、その後に数人の男の子が続く。

女性の一人は身長180センチくらいで、ガチョウの卵のような顔をしていて、肩まで伸びた髪に蝶の形のピンクのヘアリボンをつけています。

上は青と白のチェックのシャツ、下はJKのスカート、肩にはピンクの小さなランドセルを背負って、若い女の子のような元気な姿です。

もう一人の女性は、身長170センチくらいで、中くらいの長さの巻き毛で、茶色の革製の小さなハンドバッグを持ち、頭の上に大きな茶色のベレー帽をかぶって、ちょうど頭全体を覆っています。

上はダークグレーのジャンパー、下はダークブラウンのズボン、足は黒の小さな革靴、顔は手のひらのように小さく、微笑んだ目は三日月に曲がっていて、穏やかで上品な雰囲気です。

一人は苗木桜子、もう一人は親友の苗木玲である。

しかし、伊藤拓磨にとっては、それは塵芥に過ぎない。

広大な多元宇宙には彼女を慕う女神や聖人が無数にいるが、彼には食べ物への愛しかない。

その理由は、当然のことながら、一瞥しただけで崩れてしまうほど弱いからだ。誰がモグラに恋するというのだろう。

"桜子、待ってて、一緒に行くから！"

その奥で、一人の男が不安そうな顔をして、みやざき桜子を追いかけるように声を上げていた。

"お前に興味はない、ほっといてくれ！"

みやざきさくらこは呆れたようにそう言って、もう一度みうらじゅんを引っ張って早足になった。

"櫻子はやめて、私にチャンスを！"

男は追いかけていって、また懇願した。

このとき、いとうたくまは足を動かして、ゆっくりと二人のほうへ歩いていった。

いとうたくまは、「みやざきさくらこですね、私はあなたのお父さんに雇われた、これからのあなたの身の安全を守る護衛です、さあ、一緒に来てください」と軽く言った。

言い争っていた観客はこれを聞いて、一斉に伊藤拓馬に目を向けた。

ミミラレイは頭を回転させて、みやざきさくらこを見、頭を上げて、「櫻子さん、あなたの......」と小さく微笑みながら尋ねた。ボディーガード？"

ミアザキ・桜子も戸惑い、首をかしげてミミライを無表情に見た。"どんなボディーガードなんだ？ 知らない奴だぞ！"と。

二人の女性の会話を聞いていた男の宮津辰男は、宮崎桜子の求婚者だと思い、面白がっていた。

"今時そんな大雑把な言い訳でナンパする奴がまだいるのかよ！"

いとうたくまに微笑みながら、"兄さん、櫻子は私の部下です、そんなの時代遅れです "と言ったのです。

"新津辰夫、お前は黙っていろ、繰り返す、私はお前の人間ではない、あまり遠くへ行くな！"

この時、ミザキクラコはいとうたくまの正体について考える余裕はなかった。

そして、この「いづたつお」の恥知らずな言葉を聞いた彼は、彼を指差して怒りの反論をしたのです。

伊藤拓磨は焦ってしまい、偽の手を押してしまった。

質量は無限に増えます。

背中に山を背負ったように、ニヤツ・タツオたちは顔を真っ赤にしていた。

"パチン！"

何人かは圧力に耐えられず、地面にへたり込んでしまった。

"どうして動けないんだ！"

にいずたつお慌てて叫んだ。

"ボス、私たちも動けません！"

彼の従者たちは、恐ろしい顔で彼の後に叫びました。

残る2人の女性の言葉を待たず、伊藤拓馬は大きく手を振った。

空気は急速に渦を巻き、その中に2人の女性はあっという間に吸い込まれていく。

伊藤拓磨は足を上げ、その場に消える。

しかし、周囲の人々からは、これらすべてが当たり前のこととして捉えられている。

"なぜこいつらは地上にいるんだ？"

"ちょっとカメに似てる"

突然、顔を真っ赤にして地面にへたり込んでしまった彼を見て、観客はいぶかしげな表情を浮かべた。

恥ずかしくて、地割れを探したくなりました。

伊藤拓磨の作品だと思うのですが、私は伊藤拓磨が熱烈に嫌いです。

"絶対に逃がさない！"

その光景を「見た」のではなく、「自分を困らせたのは、いとうたくまだ」ということだけを知っていたのだ。

これは、伊藤拓磨が呪術を施された者にとって、施された呪術が自分の力をはるかに超える場合、それを普通と受け止められるように歪曲して、それを施した者と傍観者の心に提示するという論理を自ら設定したことによる。

したがって、井筒夫もまた、井筒夫と琢磨に報復したいのである。

シーンはシロウ・ガ・ミマコトの運転する車に移り、伊藤拓馬は女性2人を直接シロウ・ガ・ミマコトにテレポートさせる。

このとき、伊藤拓馬は座席にもたれかかり、目をつぶっている。

後部座席では、美亜崎桜子がシートクッションに座り、バックミラー越しに伊藤拓磨を観察している。

緑と白の服を着て、地味な外観で、眠たそうな表情をしている。

宮崎桜子は内心で侮蔑しながらも、「池谷彰さん、この人がパパに頼まれたボディーガードってことですか？本気ですか？パパにボディーガードを探せなんて 言ってない！仮にそうだとしても、こんなボディーガードはいないよ！"と。

池谷彰さんは、"お嬢さん、伊藤さんをなめんなよ、すごいんだから！"とニヤニヤしていました。

信じられないという顔で、宮崎桜子は目を丸くして、糸崎拓真に向かって、"おい、ボディーガード、見せてみろ！"と言ったのだ。

糸崎桜子は目を閉じたまま、糸崎桜子を完全に無視した。

ちょっとイラッとした宮崎桜子は、"おい、手を見せろって言っただろ、聞いてるのか？"と再び言い放ちました。

伊藤拓馬は目を見開いて、"それは私の職務ではありません "とかすかに言った。

ミアザキ・桜子は、"お前はボディーガードだ、私はお前のボスだ、私の言うことは何でも聞け！"と威圧的な態度で言った。

糸崎桜子は、みやざきさくらこを見て、かすかに "あなたは何？"と言った。

宮崎櫻子は言い返そうとしたが、声が出ないことに愕然とした。

彼女は、「むにゃむにゃ」と音を立てながら、一本の指を口に当て、もう片方の手を馬鹿みたいに振り回し続けていた。

顔をしかめたまま、いっとうたくま、みやざきさくらこは、肩が重荷になったように席に押し込まれ、目だけがときおり丸くなる。

この光景を見て、池谷彰坊は言葉を秤にかけ、"伊藤さん、お嬢さんは大女将になっただけだから、気品があるね "と言ったのです。

伊藤拓馬は、"ちょっと教えてあげるだけ、やっぱり雇い主の顔は出さないとね、すぐ治るから "と軽く言った。

そう言って、彼は目を閉じて休み続けた。

池谷彰坊はあきらめるしかなかった。何しろ、会長から説明を受けたのだ。

その隣でミミラレイは、その光景に驚く様子もなく、ただ口を覆ってニタニタ笑っていた。

宮崎桜子と美浦嶺の家は近く、美浦嶺が車から降りたのは間もなくだった。

......

数分後、車は深く静かな車線に停車した。

車から降りた伊藤拓馬は、ゆっくりと別荘に近づき、リビングルームに入ってお茶を注いで腰を下ろした。

彼は紅茶のカップを手に取り一口飲むと、"悪くないね "と軽く言った。

リビングには、"いけやあき "と "みやざきさくらこ "が入ってきて、ソファに座っていた。

この時、苗崎桜子は回復していたが、まだ何も話さない。まるで、今起こったことをすべて消化しているようだった。

消化されるのは、当然ながら歪んだものばかりです。