第118話 作戦会議
最西端の部屋はすでに要塞化されつつあった。
部屋の中は砦化されており、幾重にも防壁が建てられている。
部屋の外にも外敵の侵入を防ぐ障害物が数多くあり、罠も至る所に配置されているようだ。
あの短期間でここまでのものを造るメタルボックスのミミック、アミナの手腕には驚かされるばかりだ。
もちろん、防壁ばかりではなく配置されているプレイヤーミミックの様子も依然と随分違う。
箱助によってとことん鍛えられているのだろう。
一体一体に精兵が持つようなオーラのようなものを感じる。
僕たちは一旦幹部を集め、それぞれの進捗状況を話し合った。
まず防壁についてアミナ。
(現在目標の50%くらいまで作成し終えました。後は部屋内の防壁や部屋内の設備をもう少し充実させたいと思います。)
十分整っていたと思ったが、まだ半分に満たないという。
一体完成したらどれほど強固な砦になるのだろう。
アミナの志の高さは僕の想像も及ばない所にあった。
ここはこのままアミナに任しておいてもよいだろう。
続いて練兵についてだ。
「新たにプレイヤーミミック50名、ミミック158名が同盟の加入を希望している。
一度光さんにチェックして欲しい。」
プレイヤーミミック50体・通常のミミック150体!
これは大きな戦力だ。
特に今の微妙な時期に戦力の増加はありがたい。
幹部候補もいるかもしれない。ぜひとも協力して欲しい。
パンドラボックスや周辺の情勢について。
偵察に行っていたジークフリートより、
(状況はあまり良くありません。今まで縄張りには一切関与していなかった魔族が最南東端のオーク達を襲撃。
オークの縄張りを奪ってしまいました。
その後最南端のエリアを魔人1体で襲撃。
たった1体の魔人によって最南端の部屋は陥落してしまいました。
その後、魔族たちがそのエリアを占領したようです。
パンドラボックスの行方は未だその場所にあるかは調査できていません。)
おそらくこの魔族の動きに関してリュウが関係している。
リュウがパンドラボックスを保持したと思ってもよいだろう。
(おそらく今後、魔族たちはその勢力を広げてくると思われます。
次に狙うのはオーガたちの縄張りである最南西端でしょう。)
(現在、最西端のリザードマンたちと同盟関係を結ぶことが出来た。
魔族たちのこれ以上の侵攻を防ぐためにオーガとも同盟を結ぶのはどうか?)
僕は皆に提案をした。
確かにリザードマンたちと同盟関係となったが、先の魔人との対決でかなり疲弊している。
しばらくは同盟といっても、大きな戦力にはならないだろう。
そこを期待するより、魔族と隣接しているオーガと同盟を組めば大きな抑止力となるだろう。
しかも僕たちは魔人を倒すことに成功した。
魔族たちの侵攻の歯止めになったかと思われる。
僕の意見に満場一致で賛成となった。
もともとオークやシャーマンたちと同盟を組んでいたのだ。
僕らと同盟を組むこと自体は抵抗が少ないかもしれない。
最後に獣神の鍵についてだ。
先の戦いで僕たちはリザードマンたちの信頼を得て、魔神の鍵が託された。
リュウが保持していると思われる、獣神の鍵の交換条件に提示されたアイテムだ。
これで交渉に持って行くことができるだろう。
僕たちが魔神の鍵を手に入れてから、リュウとのやり取りは行っていない。
(魔神の鍵の交渉条件に獣神の鍵だけじゃなく、パンドラボックスも要求しようよ!)
提案したのはうさぴょんだ。
(私たちって魔族の切り札である魔人をやっつけたでしょ。もっと強く出てもいいんじゃない?)
確かに面白い意見だ。
僕らは奴らの魔神の鍵を奪うという作戦を潰しただけでなく、貴重な戦力である魔人も倒したのだ。
強気の交渉をしても良いのかもしれない。ただ…
(それは面白い意見だと思う。確かに今優位に立ったのは僕らの方だよね。)
即座に回答をしたのはジークフリートだ。
彼がいなければ魔人を倒すことは不可能だった。
彼は頭脳面だけでなく、戦力としても心強い。
(ただ、魔人が本当に1体かどうかなんだ。そもそもこの階層に魔人がいることは稀だ。
その貴重な魔人を惜しげもなく、一体で縄張りの殲滅をさせるなんてパフォーマンスにしか見えない。
おそらく、数体の魔人を確保していると思っていた方がいいかもしれない。)
一同沈黙する。
おそらく誰もがその可能性を考えていたが、口には出せなかったことだ。
魔人が一体だけ。
そう仮定するよりも、複数存在すると考える方が自然だろう。
ピローン。
沈黙を破るように高い機械音が鳴り響く。
ナースだ。ナースはリュウからメッセージが来た際にすぐに分かるように着信音を設定したようだ。
ナースは急いでリュウからのメッセージを確認し、その内容を僕らに提示した。
「魔神の鍵と獣神の鍵を交換せえへんか?パンドラボックスもつけるで。」by関西弁ミミック
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