第116話 反撃開始
僕たちが魔人と思って攻撃していたのはキングだった。
大きな音を立てその場に倒れるキング。
一体どうして?
リザードマンたちは突然の出来事に呆然とし、戦意を失ってしまった。
僕はナースにキングの治療を任せ、魔人を探した。
すると先ほどまでキングがいた位置に魔人を発見。
魔人は周囲にいるリザードマンたちを斬り刻みながら、最西端の部屋へと向かっていた。
おそらく奴は華【物質変換】のスキルを使ったようだ。
攻撃を受けながらキングと魔人の位置を入れ替えたのだ。
魔人は強い。
素でも僕らを圧倒する強さの上、強力なスキルまで持っているのだ。
今のままでは勝てないかもしれない。
今の僕には魔人に勝てるイメージが浮かばないのだ。
ただ、このまま魔人を最西端の部屋に向かわせてはいけない。
部屋には傷ついたリリア達もいるのだ。
僕たちは再度魔人に襲いかかった。
遠距離攻撃だとまた【物質転移】で逃げられる恐れがある。
ここは接近戦で着実にダメージを与えるしかない。
僕は宝箱の中からエルフの剣を取り出し、【能力解放Lv8】を使用。
うさぴょん・タケルもそれぞれ武器を装備し、多方向から同時に攻撃を行った。
(舐めんじゃないわよ!)
うさぴょんの舌が魔神に腰に巻きつき、魔人の動きを制止させる。
間髪入れずに両側から斬りかかる僕とタケル。
僕の攻撃を大剣で受け止めたが、タケルの攻撃は魔人の鎧にヒット。
魔人の鎧の一部を切り裂いたのだ。
魔人は胴に巻きついた舌を引っこ抜き、うさぴょんを地面に叩きつけようと高く持ち上げる。
その隙を見逃さない僕とタケル。
魔人の空いた胸部と腹部に深々と剣を刺し込んだ。
それでも魔人は止まらない。
うさぴょんを地面に叩きつけ、僕たちに向かって剣を横なぎに振ってきた。
余裕をもってかわす僕とタケルだったが、鋭い痛みが僕たちを襲う。
僕たちの宝箱に大きな斬撃痕がつけられていたのだ。
おそらくリザードマンの兵士たちを斬殺したのはこの攻撃だろう。
何らかのスキルを使っているに違いない。
(お待たせしました!)
そこに現れたのがジークフリートとしのぶ。
偵察任務から最西端の部屋へと向かってくれていたのだ。
「俺はいいからあいつらのところに行ってくれ」
重傷を負っていたキングも、ナースの回復魔法である程度動けるようになっていた。
キングの言葉に頷くナース。
ナースも戦線に復帰したのだ。
「ここで食い止めろ!」
キングの号令が意気消沈していたリザードマンを再度奮い立たせる。
リザードマンたちの雄たけびが、部屋全体に響き渡った。
ここからが本番だ。
一旦離れた僕らは、ジークフリートたちに現在までの状況を伝えた。
(なるほど、よく分かりました。それなら僕の出番かもしれないですね。)
雪崩のような勢いで魔人たちに襲いかかるリザードマンたち。
しかし魔人が剣を振るごとに、次々と死体の山が積み重なっていく。
(僕のレアスキルは【スキル無効】なんです。どんなスキルを使用しても瞬時にスキルを消すことが出来るんです。)
ジークフリートは自分のスキルの内容を明かした。
スキルを無効に出来るスキル!?
それなら魔人のスキルを無効化することが出来るかもしれない。
(ただこのスキルには欠点があって、スキルを永久に無効化することは出来ないんです。
相手がその時使ったスキルのみ無効化出来るので、その瞬間を狙わないと効果はありません。
また、失敗したら大ダメージを受けるので、諸刃の剣ではありますね。)
確かに連続してスキルを使われると対応できないかもしれない。
(また、バレてしまうと次回以降は対策されてしまうので、一発逆転を狙う時意外は使いにくいですね。)
確かに、使い勝手は悪そうだが、相手の意表を突くには有効だろう。
(実は光さんに一度使っているんです。ミミックバトルの際に、ブラックホールのスキル使ったでしょ?あれ全部消したの僕なんです。)
審判をしていたジークフリートが、実は戦闘にも介入していた。
僕の攻撃を無効化したのは、その時は重複亭箱太郎だと思っていたのだ。
話の間中も、リザードマンたちが魔人に倒されていく。
ただ今までとは違ったのは、魔人が前に進めなくなったことだ。
リザードマンたちの執念が、魔人を足止めしている。
しかし、あくまでも足止めにしかならない。
魔人の進行を送らせているだけなのだ。
僕らは、魔人に対抗するための作戦を立てた。
やはり、魔人を倒すには僕のもつ【暴食】しか無さそうだ。
僕らは再度魔人に向かって行った。
タケルとジークリート、ナースは【重力操作】を使用し、魔人の動きを止める。
間髪入れずにうさぴょんとしのぶが魔人に接近戦を挑んだのだ。
うさぴょんの新生モーニングスターが、魔人の胸にまともにヒット。
後方にぐらついた魔人に、しのぶの斬撃が鎧の隙間を狙う。
その間にリザードマンたちの飛び道具が一斉に魔人に襲いかかった。
頭に槍が刺さり、弓が魔人の腕や脚を射貫く。
しかし、どの攻撃も魔人には大きなダメージとはなっていない。
魔人は「ぐろぉぉぉッ」と叫ぶと、黒いオーラが体からあふれ出し、重力操作の影響をかき消したのだ。
剣を構え、リザードマンたちに向かって突進する魔人。
リザードマンに近寄ると、一振り、また一振りとリザードマンを斬り殺していったのだ。
魔人が狙っていたのはリザードマンではない。
その後ろで号令を出しているキングなのだ。
リーダー直前まで斬り進む魔人。
リーダーまであと少しと迫った時に、剣を大きく振るった。
しかし、今度は魔人の攻撃が機能しない。
ジークリートが【スキル無効】のスキルを使ったのだ。
スキルが発動しないことを不思議がる魔人。
その一瞬の隙をつき、僕の【暴食】スキルが、魔人の剣を持つ手を平らげた。
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