第13話 反省

ハイエナガエルに辛勝した僕は、勝った喜びと共に慢心していたことを反省。

今まで移動でしか使っていなかった体当たりLv3の破壊力になんとか救われた形だ。

こう使うものだと思い込んでいた、スキルの使い方についても再考する必要があるだろう。


外壁が剥がれ、蓋が取れてしまい、体力すら使い果たした僕にはもう戦う力がない。

蓋が無い僕にはハイエナガエルを食べることすら出来ないのだ。


ここはアバターポイントを使用するしかない。

ステータス画面でアバターポイントを確認すると、340Pもある。


まずは補修材と補修キットを購入しよう。


「補修材を購入しました」

「補修キットを購入しました」


前回補修キットを使用した際には20分程修理に要した。

修理中は無防備だ。

おそらく前回以上にダメージを受けた今回はもう少し時間がかかるだろう。

この間に襲われるとどうすることもできない。

しかし、このままとどまっていても回復することはない。


僕は自分の運を信じ、補修キットを作動させた。

箱を青白い光が包む。

前回と同じく全く動くことができず、僕は修復まで待たざるを得なかった。


パチパチと音を立てて、破壊された外壁が修復されていく。

蝶番がどこからか現れ、蓋が少しずつ形が形成されていった。

何度見てもどういう仕組みで修復されているのかがわからない。

壊れた箱が人の手を用いずに、自然に修復されているのだ。


(魔法の一種なのだろうか?)


幸いにも修復中に、敵が現れることは無かった。

前回の3倍ほど時間がかかったが、箱の修復は完了した。


まずはスキルを取得しよう。

僕は目の前で死んでいるハイエナガエルを食べ始めた。


(うう、まずい…。毒も含まれている…。)


「あなたのレベルが上がりました」

「HP・MP・SPが回復しました」


【ステータス】

名前:光

種族:ミミック

クラス:見習い

Lv:4→5

HP(体力):180→250

MP(魔力):300→400

SP(スキルポイント):350→500

筋力:30→50

耐久:70→100

知力:100→150

器用:30→60

俊敏:10→20

運:2500→4000


スキル:食べるLv3、溶解Lv3、方向転換Lv3、視覚Lv2、聴覚Lv2、毒針Lv4 、鑑定Lv4、毒耐性Lv3、溶解耐性Lv2、擬態Lv1 体当たりLv3


アバターポイント:240P


レベルが上がって体力もスキルも回復したようだ。

これで一安心。心置きなく、食事に集中しよう。


「舌Lv1を獲得しました」


(えっ?舌?)


一体これはどんなスキルだろう?

鑑定Lv4出スキルを確認した。


【舌】

恒常スキルの一種。伸縮自在の器官で、食物の取り込みの補助や味覚の強化、攻撃にも使用できる。


これは非常に使えそうなスキルだ。

アイデア次第でさまざまな効果を発揮するだろう。

鍛えれば手足のようになるかもしれない。

そういや確かミミックって舌があったよな。


しかもこのスキルは恒常スキルなので、SPを使用せずにいつでも使用できる。

現に今もハイエナガエルを捕食の最中でも、舌が大きな役割を果たしている。

以前は食べるスキルで食べ散らかした破片でも、舌を使うと綺麗に全部食べられるのだ。

このスキルを駆使することで今まで食べ残していた部分が全て食べられ、食片が散乱するという状況が防げる。

これでハイエナガエルなどから、餌を狙われることが減るだろう。


「舌のレベルが上がりました」

早速鑑定スキルで確認すると、舌の伸縮距離が伸び、舌を自体を堅くさせることができるようになった。

これで舌を攻撃に使うことが出来るだろう。


ハイエナガエルを食べ終えた僕は、今まで食べ散らかしていた破片を全て捕食。

ようやくこのエリアから残骸がなくなった。

僕は元居た壁際に移動し、擬態Lv1を使用しながら今後の対策を練った。


現在、移動することが出来るようになったものの、あくまで移動スキルの代用スキル。

体当たりは方向転換は使うたびにSPを消費する上に、箱の底にも傷を付ける。

移動できる距離もしれている。

このスキルは代用できるもあくまで戦闘用だろう。

やはり、恒常的に使用できる移動スキルが必要だろう。


チュートリアルのやつはこの階層にも移動スキルを持つ者がいるともらした。

もう少しこのエリアで粘ってみてもいいのかもしれない。

そういえば、移動スキルが無くても移動する方法があるとも言っていた。

あの言い方からすると、体当たりスキルなどではないだろう。

もっと別の方法があるのかもしれない。


戦闘に関して移動スキルが無い僕にとって、体当たりと方向転換のスキルは命綱だ。

ただ、使用しすぎると箱の底が傷つき、破損してしまう。

ハイエナガエルの戦闘で、箱の底に穴が空いて、危うく死にそうになってしまった。

修理だけでなく、箱自体をを強化していく必要があるだろう。


最近の戦闘では相手から攻撃されることが多かった。

チュートリアルが言う通り、僕はミミックになり切れていなかったように思う。

ミミックの戦いは相手の意表を突くことが重要だ。

そのためにはいかに相手に攻撃の瞬間まで気づかれないか、リスクを犯さず敵を倒す戦術が必要なのだろう。


「擬態のレベルが上がりました」


擬態は恒常スキルではないが、スキルの消費が緩やかだ。

可能な限り使い続けるのがいいのかもしれない。


擬態で敵を騙し、隙をついて捕食する。

実はこれが一番難しい。

隙をついても一撃で倒せなかった場合はどうするか?

倒せなければ反撃を受け、戦局も悪化する。


それなら、事前に弱らせておけばいいんじゃないか。

弱り切った敵の隙をつけば、一回の攻撃で倒せる確率も上がるだろう。


そうだ、罠だ!事前に罠を仕掛けておけばいいのだ!


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