第11話 猫麺

昏上逢のトレーニングによって、敏捷が1上昇した。

敏捷クイック/C+(33)→C+(34)と言った具合に変わる。


次の日では、何時もの様に、彼女のトレーニングを見ようと思っていた矢先だった。


「旧壱さん、あの…はちまきをした猫さんが来ました」


早朝から、イベントが始まったらしい。

旧壱新多は体を起こすと、彼女の言った言葉に対して思わず笑みを浮かべる。


「猫さんか…」


「はい、あの、何故笑うんですか?」


笑ってしまうのも仕方が無い事だ。

はちまきをした猫と聞いて、思い当たるイベントがあるとすれば…。


「(またたび食堂だな)」


旧壱新多は確信した。


「猫さんは何処に居るんだい?」


「あ、えっと…広場で、屋台を出してます」


彼女の言葉に、旧壱新多は外へ出る準備をする。


「それじゃあ、食べに行こうか」


旧壱新多は病院服から着替えて、ビジネススーツを着込む。

首元のネクタイをきっちり締めた上で、緩める。

そして、旧壱新多は昏上逢を引き連れて、中庭へと移動する。


「こんにちは」


確かに、中庭に屋台が立てられている。

移動販売用の荷台に、暖簾が掛けられていた。

周囲には、様子を見に来た子供達が、器を片手にラーメンを啜っていた。


「(またたび食堂、食堂と言っても、販売しているのはラーメンだけど…そのラーメンが良いんだ)」


旧壱新多は、メニューには無い裏メニューから、特別なラーメンを頼む事にする。


「やあ大将」


そう言うと、三毛猫がラーメンを作っていた。

一瞥だけすると、近くに置かれたペットボトルから、水をコップに入れて差し出してくる。

寡黙な猫だった。


「さて。昏上、今日のイベントはラーメンだ。『大将の特別ラーメン』で頼んでくれ」


「えーっと…『大将の特別ラーメン』を一つ、お願いします」


そう言うと、猫のラーメン店主は首肯すると、早速ラーメンを作る作業に取り掛かる。

十分もしない内に、ラーメンが運ばれてきた。


「これを食べると、ステータスの何れかに+補正が着く様になっているんだ」


「ステータスの何れかに…+、ですか?」


ラーメンをふぅふぅと息を吹き掛けながら啜る昏上逢。


「あぁ…同列のランクとの拮抗状態になったら、+補正の付いた人物の方が勝る様になっている、出来れば、敏捷に+補正が掛かって欲しい所だけど…」


そこまでは高望みしても仕方が無いだろう。

ステータス補正が入るのはランダム。

流石に、旧壱新多の願い通りに叶う事は無かった。



『シルバーバレット』 LV.07

攻撃アタック/D(20)→D+(20)

防御ブロック/D(16)

敏捷クイック/C+(33)→C+(34)

器量スペック/D(15)

魔力マジック/C(21)


『職業』

/銃使いの魔法少女

『スキル』

/『秒読み取りカウントタップ

ランク:E

分類:予知系

説明:結末までの秒数を認識出来る

自動操銃オートロックオン

→ランク:B

分類:操作系

説明:対象物に狙いを点ける事で、自動的に弾丸軌道を設定し、弾丸がその軌道通りに射出される。


『魔装杖』

/『バレルブレイズ・ロッククシューター』

銃火器の魔装杖。

ライフルの様に長いロングバレルが特徴的。


攻撃に対して+補正が掛かる所を確認した。

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